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講演のプロが指摘する「感情を込めて話すと伝わる」は精神論にすぎない

佐藤政樹(企業研修講師/講演家)

2023年06月12日 公開 2024年12月16日 更新

講演のプロが指摘する「感情を込めて話すと伝わる」は精神論にすぎない

上手に話すにはテンションを上げなければいけない...多くの人がこのように誤解しているが、ハイテンションに話すことはかえって逆効果になる場合も。佐藤政樹氏が、「人を惹きつける」ために必要な話し方について語る。

※本稿は佐藤政樹著『人を「惹きつける」話し方』(プレジデント社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

ハイテンションの意外なリスク

よくある誤解があります。話すときの「テンション」や「感情」についてです。あなたは、人を惹きつけるためには、テンションを上げて明るいキャラ作りをする必要があると思っていませんか? または、自分の感情を強調すれば、人を惹きつけられると思っていませんか?

実は私も、話し方で人を惹きつけるためには、「テンションを上げて、しっかりと感情を込めて、伝えたいことを熱意で押すしかない...」とずっと考えていました。

しかし、人を惹きつけるためには「ハイテンションで話す必要性」も「感情を込める必要性」もありません。「テンションを上げて情動的に話せば伝わる」や「感情を込めれば伝わる」などは、精神論に近いです。

なぜか。それは、感情を込めると「自分だけがやった気になってしまって、相手にはそれほど届いていない可能性をはらんでいる」からです。

 

自己満足な話し方とは...

ここでもう一つ、劇団四季創設者のカリスマ・浅利慶太さんに繰り返し教えてもらった言葉を紹介します。

「張り切るな」
「感情は込めるな」

・テンションを上げて張り切ろうとする気持ちが湧き出てきても、常に並なみの心構えを保つ。
・感情面ばかりを強調すると、"自分はしっかりと相手に伝えた"と思い込んでしまう。
・この誤った認識によって、伝えたつもりが、伝える側の自己満足になっている可能性が高くなる。

私はこの言葉をきっかけに、それまで凝り固まっていた自分の考えが180度変わり「テンションも感情も必要ないんだ...」と納得するきっかけになりました。

これも、浅利さんから繰り返し叩き込まれた「伝えることの本質」の一つです。

人前に立って話すときや、営業のクロージングなど大事な場面になればなるほど、誰しもつい、張り切ってしまうものです。しかし、その感情や勢いに任せて突っ込もうとすると、逆に空振りしてしまいます。

あなたが感情を込めたり、テンションを高くしてしまうと、聞き手の気持ちを置いてけぼりにしてしまう恐れがあるのです。

伝えたい気持ちが大きくなったときに、焦って感情を強調すると、逆に安っぽく見えることもあります。実はそのようなときこそ、神経の高ぶりを抑えて淡々と話したほうがよっぽどよい結果に結びつきます。

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「滑舌のよさ」や「流暢さ」よりも大事なこと

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