6匹の保護猫たちと暮らす晴さん。そのうちの一匹、"らい"は交通事故に遭い下半身が動かない状態で保護されました。下半身のハンデをものともせず明るく活発な性格のらいに、晴さんが抱く特別な想いとは。
また、SNSでも話題になった、認知症になった柴犬"しの"の介護をしていた猫の"くぅ"。しのが亡くなってから、寂しそうに過ごすようになったくぅを一番そばで支え、元気を取り戻すきっかけを作ったのはらいでした。
今年2月に『らい 下半身不随の猫』が出版され、らいとの出会いから現在に至るまでが綴られています。そんな晴さんに改めてらいとの出来事や、保護猫たちとの暮らしについてお話をお聞きしました。
交通事故に遭い、殺処分寸前だったらい
――らいちゃんとはどのように出会ったのでしょうか?
【晴】らいは、2018年2月、Instagramに届いたダイレクトメッセージが出会いのきっかけでした。一匹の猫が交通事故に遭って、保健所に収容され殺処分寸前の状況を拡散してほしいと。期限はあと2日。これから引き取り手を見つけるのは難しいと判断し、うちで預かると決めてメッセージを返しました。
その頃、しのの介護もあってすぐ迎えに行くことができなかったので、現地のボランティアさんが保健所から引き出してくれて病院で手術を受けることになりました。無事に抜糸まで終わり、らいが保護されている山口まで、広島から片道2時間の道を迷いながら4時間かけて迎えにいきました。
出会ったときは、とても人懐っこい子という印象でしたね。ケージの中で横になっていたらいを見て、下半身不随というハンデを負い不自由なこと、辛いこともあると思いますが、この子が一生幸せでいられるように頑張ろうと思いました。せっかくうちで引き取るので。うちの子になるからには、幸せに過ごしてほしいので。
3、4時間おきの圧迫排泄
――下半身が動かなくなってしまったらいちゃんですが、お世話はどのようなことが大変でしたか?
排泄が難しかったです。引き取りに行ったときに、一度だけ膀胱を押さえておしっことうんちの出し方を教えてもらったんですけど、すぐには難しくて。らいも嫌がって動きますし、慣れるまで時間がかかってしまいました。
感覚はなくても、やっぱり押される圧迫感があったんだと思うんです。毎日6時間おきの圧迫排泄で、最初はもう嫌がったんですけど、毎日続くことですから最終的には諦めてどうぞって感じでしたね。
おしっこの後にみんなのご飯を食べさせていたので「おしっこが終わったらご飯」というのを覚えたんでしょうね。だから今は、自分からベッドを出てスタンバイしてます笑
また、最初は自分でも体の動かし方がよくわかってなかったみたいで、よく後ろ足が交差したり、絡まったりしてたんです。それをほどくことも意識的にやっていました。
さらに同じ方向に足先がずっと向いたまま何時間もいたりすると、褥瘡(じょくそう)の恐れもあったので予防するために右左交互に足をずらしていました。
現在は、3,4時間おきに圧迫排泄をしています。ごはんに水を含ませていのるで、おしっこが溜まりやすいんですよね。なので膀胱がいっぱいにならないように気を付けています。その後、体位交換もしてあげていますね。
大変ではあるのですが、当たり前のことになっています。3歳の子どもが外出先で帰りたくないとぐずっても「らいちゃんのおしっこを出さないといけないから」と言うと素直に帰ってくれるようになりました。おしっこを出さないと病気になってしまうと教えたことを覚えてくれたんですね。