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照明にロウソクの使用はNG? 停電した時に「絶対取ってはいけない」行動

辻直美(国際災害レスキューナース)

2024年09月27日 公開

照明にロウソクの使用はNG? 停電した時に「絶対取ってはいけない」行動

台風や豪雨、地震など、日本は自然災害が多い国です。『PHPくらしラク~る♪』では、あなたの住む地域が停電してしまった場合の対処法や、そうなる前の備えについて、国際災害レスキューナースの辻直美さんにお話を伺いました。(取材・構成・文:クリエイティブ・スイート)

※本稿は、『PHPくらしラク~る♪』2024年10月号より、一部を抜粋編集したものです。

 

災害大国の日本、備えあれば憂いなし!

日本は、災害大国と言っても過言ではありません。毎年のように豪雨や大型の台風に見舞われ、大きな地震も頻繁に起こります。

例えば、今年(2024年)の元日、そして6月3日に発生した能登半島地震。家屋の倒壊や火災、津波などにより、甚大な被害が出ました。今でも多くの方が避難所での生活を余儀なくされています。

元日の能登半島地震は、東日本大震災よりも地震の規模は小さかったものの、電気の復旧は遅かったというデータが残っています。現地の方の多くは、1週間以上電気のない生活を送っていたといいます。

これは他人事ではありません。いつ、地震や台風などの自然災害で電気のない生活を強いられるかわかりません。そのためにも、日頃から準備をしておくことが一番大事なのです。

ただ、漠然と準備と言われても何をすれば良いのかわかりませんよね。ここでは、電気が使えなくなった場合に役立つ情報をお届けします。

 

一晩だけ電気を使わない日を体験しよう!

停電への備えのために、百聞は一見にしかずで、体験してみるのが一番でしょう。無理のない範囲で構いませんので、スマートフォンや照明、空調のない生活を体験してみてください。

 

例えば...

・暑い! 寒い!

空調が使えないので、暑かったり寒かったり不快な思いをしてしまいます。特に夜は、睡眠をとるために快適な環境は不可欠。たとえば暑い場合は、扇子やうちわを用意しておくといいでしょう。

 

・やることがない

電気を必要とするTVやTVゲームなどが使えず、娯楽がなくなります。人間、暇になると余計なことを考えて不安になりがちです。自分の心が落ち着くグッズを用意しておくといいですね。

 

・足元が見えない

夜、照明がないと足元は見えません。たとえ勝手知ったる自室でも、暗闇の中で身動きするのは怖いもの。停電になっても使える照明(火を使うロウソクはNG)を用意しておきましょう。

 

電気がつかない!? 停電かも...そんな時にまずやるべきこと

停電時は、冷静になって行動するのが第一。二次災害を引き起こさないように、注意点を覚えておこう!

 

【その①】コンセントからプラグを抜く!

停電になってしまった場合、電気コードのプラグは抜くようにしましょう。通電火災の原因になります。通電火災とは、電気が復旧した際に起こる火災です。

特に地震で停電している場合は、辺りに物が散乱していることも多く、火が燃え広がりやすい状況にあります。必ず全てのプラグを抜き、ブレーカーを落としましょう。

 

\教えて! 辻センセイ/

冷蔵庫のプラグは抜くべき?

地震以外の場合はプラグを挿したままでも構いません。ですが地震で停電した際は必ずプラグを抜いてください。冷蔵庫は庫内が十分に冷え切っている状態であれば、停電しても冷凍は24時間、冷蔵は約3時間冷えを保つことができます。災害などによって突然停電した場合は、保冷剤や冷凍食品、凍らせたペットボトルなどを冷蔵室の一番上の棚に移し替えると、庫内温度の上昇を抑えることができます。

ただし、頻繁に開け閉めをすると、温度を保てる時間も短くなってしまうので、ドアの開閉は極力控えましょう。

 

【その②】情報収集をしよう!

停電になったら、どの範囲で停電が起きているのか、復旧の目処は立っているのかなどを知る必要があります。スマートフォンや電池式ラジオなどで情報収集をしましょう。

ただし、個人が発信するSNSの情報をむやみに信じてはいけません。フェイクニュースも多く、ナーバスになっている時は情報に翻弄されてしまいますので、電力会社のホームページや公共放送など正しい情報を収集するようにしましょう。

 

今までの当たり前を見直そう

情報が古いままだと、NGな行動をとってしまうおそれがあります! 代表的な2例をご紹介します。

 

【NG行動①】停電時の照明にはロウソクを使う!

明かりとしてロウソクを使用するのは絶対にやめましょう。普段裸火を取り扱わず火の怖さを知らない人がロウソクを使うと、火事の元となります。また、仏壇の線香の火が燃え広がり火事になったというニュースも最近ありました。火の取り扱いには十分に注意しましょう。

 

【NG行動②】防災リュックを買ったので、備えはバッチリ!

防災リュックには、種類がたくさんあります。なかには、懐中電灯本体は入っていても肝心の電池が入っていないものや、スプーンや箸は入っているのに食料が入っていないものも。購入したら中身をチェックして、必要に応じて足りないものは自分で足しておきましょう。

 

停電対策で大事なことは心の準備と使えるグッズ

自分がもし停電に遭ったらという想像を働かせるのが大事。自分の弱さを知って、防災に活かしましょう。

 

・まずは自分の"弱み"を知ろう

自分がどういった非常時の環境に弱いのかを知っておくことが重要です。人の弱さは、十人十色です。暑さに弱い人、寒さに弱い人、空腹が耐えられない人、集団生活が苦手な人など。電気が使えなくなった時のことを想像して、自分が最も嫌だなと思うことを知っておきましょう。

 

・弱みをカバーするアイテムを用意する

自分の弱みを知ったなら、次はそれをカバーする準備が大切です。防災リュックの中身を見直したり、いつ停電や災害が起こっても対処できるように、つねに持ち歩く用の防災ポーチを用意するのもいいですね。特にモバイルバッテリーは、弱みに関係なく持っておくと安心です。こまめに充電をして備えておきましょう。

 

・どう行動するか心の準備をしておく

自分の弱みを知り、それに対しての備えができれば、あとは心の準備のみです。停電になっても焦らず、身の安全を守る行動をしてください。また昔から愛用しているブランケットやタオル、ぬいぐるみなど心が落ち着くものがあれば、それも立派な防災グッズです。心の安寧のために、万が一の時はそれらを持っていきましょう。

停電対策で必要な防災グッズ

 

著者紹介

辻直美(つじ・なおみ)

国際災害レスキューナース

阪神・淡路大震災で被災したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活躍。現在はフリーランスのナースとして国内で講演や防災教育を中心に、要請があれば被災地で活動している。『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)など著書多数。

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