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文系だったらITスキルは必要ないのか? 「市場価値が高い人」が身につけている素養

グロービス経営大学院

2024年12月23日 公開

文系だったらITスキルは必要ないのか? 「市場価値が高い人」が身につけている素養

AIやDXの進展は、働き方を大きく変化させています。かつては専門家だけの領域とされていたITスキルが、今やビジネスパーソンにとって必須のスキルとなりつつあるのです。テクノロジーを理解し活用できることが、一般のビジネスパーソンにどこまで求められるのか、書籍『ビジネススクールで教えている武器としてのAI×TECHスキル』より解説します。

※本稿は、グロービス経営大学院『ビジネススクールで教えている武器としてのAI×TECHスキル』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

 

テクノロジーを理解し関連スキルを身につけると、ビジネスパーソンの価値はどう変わるか

グロービス

数年前から「これからはテクノロジー、特にITを活用できるかどうかでビジネスパーソンの価値や企業の競争力は大きく変わる」と言われていました。その傾向は、テクノロジーが進化するにしたがってますます強くなっています。

IT先進国のアメリカ企業、特にMAAMA(メタ、アマゾン、アップル、マイクロソフト、アルファベットの頭文字をとったもの。メタとアルファベットの社名変更以前はGAFAMやGAMFAと呼ばれていました。現在でもこう呼ぶ人は少なくありません)とも称される巨大テクノロジー企業が世界レベルで圧倒的な優位性を構築していることからも、ITの重要度については改めて説明するまでもないでしょう。

従来型のMBAで教えていた経営学の基本に加え、テクノロジーを理解して価値創造できるかどうかが「勝ち組」となるための分水嶺となりつつあるのです。

ビジネスパーソン個人が、テクノロジーを理解することの効用を手短にご紹介します。

1つ目は、大学や専門学校までの専攻にもよりますが、職業や業務の幅が広がることです。

たとえば、データサイエンティスト、プログラマー、デジタルマーケターなどは、国内でもますます需要が高まっています。

データサイエンティストともなるとかなり高度な数学を必要とするので、いわゆる「文系」の人間が急になれるわけではありませんが、プログラマーやデジタルマーケターなどはそこまで高度な数学を直接的には必要としません。それゆえ、テクノロジーを学ぶことで仕事の幅が広がるのです。

また、データドリブンな意思決定が重要となる現代の環境下では、テクノロジーを理解してデータを分析し、洞察を得ることで、的確な意思決定が可能となります。それができると、より重要な職責を任される可能性が増します。

2つ目は、業務処理の効率化、高速化です。

たとえば、データ解析やプロジェクト管理などのツールやソフトウェアを使いこなせることで、業務の生産性が向上します。ツールやソフトウェアそのものは一個人で導入するのは難しいですが、その効果的な活用方法を知ることで、業務を圧倒的に効率化できます。そこで空いた時間を用いて部下のマネジメントやより高度な仕事に取り組むことができれば、それだけで生産性が大きく向上します。

3つ目は、ビジネスパーソンの必須の能力とも言える問題解決能力(課題解決能力)の向上です。

ビジネスとは問題解決の連続です。テクノロジーに精通していることで、より効率的かつ創造的な問題解決が可能となります。新しい技術を学び、うまく取り入れることができれば、従来の手法では解決が難しかった課題をクリアすることも可能になります。

4つ目は、新しい技術の導入や既存技術との組み合わせによって、イノベーティブな製品やサービス、ビジネスモデルを構想できることです。今後、このスキルを持つ人材はますます重宝されるようになり、転職にあたって有利になるでしょう。

ここでは典型的なものを4つご紹介しましたが、1つ目の後半から4つ目までは「文系」のビジネスパーソンであっても無視できない現実です。特に3つ目や4つ目の要素はビジネスパーソンの優勝劣敗を大きく加速させるでしょう。最初に伝えたように、MBAで以前から教えられてきた経営学の基本に加え、テクノロジーを理解して価値創造できるかどうかが成功の分水嶺となるのです。

 

何をどこまで知っておけば大丈夫か、ラインを明確に提示する

では、ビジネスパーソンはどこまでのスキルや素養を身につけておく必要があるのか。当然のように使いこなすべきものとして、業務に必要なデジタルツールに関するスキル、具体的には、電子メール、スプレッドシート、オンライン会議ツール、オンラインドキュメント共有といった、「基本のキ」とも言えるスキルがあります。

そのうえで、2024年現在、「基本的な原理も含め、知らないとまずい(Mustな)」テクノロジーあるいはテクノロジー関連領域としては以下があります。

● AI、生成AI、プロンプトエンジニアリング(プロンプトの適切な与え方)
● クリティカル・シンキング、テクノベート・シンキング
● DX(デジタルトランスフォーメーション)、クラウド
● アルゴリズム、データ構造、要件定義、要求定義

これらはその基本を知っているのといないのでは、ビジネスパーソンとして大きな差が生じるものです。

「知っておくに越したことがない(Nice to Have)」テクノロジー領域としては、次があります。専門家や特定の業界の人、あるいは起業家にとってはMustなものもありますが、多くのビジネスパーソンにとっては「現時点ではある程度まで理解しておけばいい」「ユーザーとして使いこなせればいい(大きな使用ミスをしなければいい)」テクノロジーです。

● ブロックチェーン、Web3.0、メタバース、デザイン・シンキング
● フィンテック、オートテック、ヘルステック、エドテック等の「XTECH」

ただ、数年後にはMustのテクノロジーに代わる可能性のあるものも、少なからず存在します。メタバース(それと連関してのVR[仮想現実]やAR[拡張現実])などはその可能性が高そうです。常に情報はアップデートすることが望ましいでしょう。

 

著者紹介

グロービス経営大学院(ぐろーびすけいえいだいがくいん)

社会に創造と変革をもたらすビジネスリーダーを育成するとともに、グロービスがさまざまな活動を通じて蓄積した知見に基づく、実践的な経営ノウハウの研究・開発・発信を行っている。
https://mba.globis.ac.jp/

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