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「いつか使う」可能性は1%? 捨てられないモノへの執着が消える考え方

大村信夫(片付けパパ)

2024年11月28日 公開

大村信夫著『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣』

整理できる人とできない人の差は大きい。その考え方の違いはどこにあるのか。整理ができる人は 「劣後順位」を考え、できない人は 「必要なモノ」を考えると言う。仕事でも家庭でも使える片付けのコツを大村信夫氏が語る。

※本稿は、大村信夫著『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)より一部抜粋・編集したものです。

 

「いつか使うかも」って、いつ使うの?

片付けでモノを整理しているとき「いつか使うかも...」と思って、結局ほとんど捨てられない、という経験はありませんか?

もともと人間には「損失回避の法則」という性質があります。過去に下した自分の判断に対して失敗を認めたがらず、正当化するために「いつか使うだろう」というあいまいな基準を作り上げ、結果的に不要なモノで部屋があふれてしまうのです。

それを断ち切るために「劣後順位」という考え方があります。

劣後順位とは、「やらないことを決めること」です。

かの有名な経営学・者のピーター・ドラッカーは、この「やらないことを決めること」が重要であり、難しいと言っています。

これは片付けも同じで、モノに対しても明確な「劣後順位」を決めることで、本当に必要なモノだけを残すことができます。

私がオススメする基準は、「1年間使わなかったモノで、使う日程が現時点で決まっていないモノは手放す」というものです。

この1年という期間は、アメリカのナレムコ( 国際記録管理協議会: National Records Management  Council)の統計をもとにしています。

この統計で、作成や収集された文書のうち、半年後に利用される文書は10%、1年後に利用される文書は1%であると示されました。

つまり、1年間使われなかった書類は、その後も99%使われないのです。

これは書類に関するレポートですが、モノに関しても同じだというのが、私が多くの方の状況を見て導き出した見解です。

 

1%に備えるために、使う可能性のない99%のモノをとっておくのはもったいない

そうは言っても、「思い切って捨ててしまったけど、使うことになった。あの時に捨てなければよかった」という経験は誰にでもあります。

でも、それは「1%の偶然」です。

例えば天気予報で降水確率が1%だったら、あなたは傘を持っていきますか?

片付けも同じで、その1%に備えるために、使う可能性のない99%のモノをとっておくと、そのための収納スペースの確保や、管理工数(管理する手間)がかかってしまいます。

それって、かえってもったいない気がしませんか?

特に再購入できるモノは潔く捨て、もしたまたま使うときがあったとしたら、使っていなかった期間を数えて「〇〇ヵ月もスペースを広く使えた」と考えてみましょう。

少し余談ですが「捨てる」という言葉を使わないようにした結果、モノの整理ができるようになったという方もいます。

「捨てる」という言葉はどうしてもネガティブなイメージになり、罪悪感を感じるというのです。その場合には、「手放す」という言葉を使ってみることをオススメします。 実際に「捨てる」ではなく「手放す」という言葉を使うようにした結果、モノの整理ができるようになったという方もいます。

手放すにはポジティブな意味合いがあります。とにかくモノを捨てられないという皆さんの「執着」を手放してほしいのです。

このように、整理では「劣後順位」を明確にするとモノの必要・不要を分けるようにできます。

著者紹介

大村信夫(おおむら・のぶお)

片付けパパ

青森県三沢市生まれ。静岡県掛川市にて育ち、現在は東京都在住。共働きで3 児(大・高・中)の子育てパパ。
国立大学法人東京農工大学卒業後、家電メーカーに入社。現在もフルタイムで勤務しながら「片付けパパ」として活動。モノを整理することで「心」や「思考」も整理され、プライベートや仕事の進め方、人間関係など人生全体に好循環が生まれるオリジナルメソッドを提唱。これまで企業を中心に「片付け」「仕事の生産性」「キャリア」などのテーマで3 万人以上が受講し、満足度(5 段階評価4 以上)は96%を超える。
新聞や雑誌をはじめメディア取材、執筆など幅広く活動中。

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