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心理カウンセラーが説く「ネガティブ思考」と「住まい」の密接な関係

中島輝(心理カウンセラー )

2024年03月11日 公開

心理カウンセラーが説く「ネガティブ思考」と「住まい」の密接な関係

毎日視界に入るインテリアは、自己肯定感にも大きな影響を与えます。日々をポジティブに過ごすために気を遣うべき「住環境の整え方」を、心理カウンセラーの中島輝さんが解説します。

※本稿は、中島輝著『自己肯定感を高めるインテリアブック』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

 

自己肯定感は幸せに生きる力

最初に少し、自己肯定感についてお話ししましょう。自己肯定感というと難しい感じがしますが、自分は自分のままでいいと受け入れている感覚のことです。自己肯定感が高いというのは、どんなことがあっても自分に「YES! OK!」と言える状態です。

このように言える人は自分を信じる気持ちが根底にある人。周囲からどう思われていても気になりませんし、他人に注意されても落ち込まず、自分はもっと成長できる! と前向きにとらえることができます。

物事がうまくいかなかったり失敗をしたりすると、誰もが「自分はダメな人間だな」と凹みますが、自己肯定感が高いと、たとえそのような感情を抱いたとしても、その思いに押しつぶされることはありません。立ち直りが早いのです。自己肯定感が高いほど生きやすく、幸せに生きていくことができるんですね。

逆に、自己肯定感が低い場合は、ささいなことで「自分はダメな人間だ」「自分には価値がない」という認識に陥りがち。いつも他人と自分を比べたり、他人の目を気にしたりしているので、心はヘトヘト状態です。そして、自分の人生を悲観的にとらえるようになります。これでは毎日が楽しいはずはありません。

本稿を読んでいる方の中には、私は自己肯定感が低いほうかも......と思っている人がいるかもしれません。

自分のSNSにつく「いいね」が気になって仕方がない、嫌だ、つらい、疲れたといったネガティブな言葉をつい発してしまう、恋人がいないと不安になってしまう、毎日が忙しく健康や美容にあまり興味が持てない、他人が思い通りに動いてくれないとイライラする、一度決めたことに迷うことが多々ある、新しいことにトライしたいと思っても、どうせ自分にはできないと勝手に限界を決めてしまっている、鏡を見るといつも自分の欠点を探してしまっている、などなど。

こうした状態がいつも出ている、強く出てしまうといったとき、あなたの自己肯定感は低くなっている可能性大です。

でも、安心してください。生まれつき自己肯定感が低いという人はいません! また、自己肯定感はさまざまな要因によって浮き沈みのあるもの。毎日ゆらいでいるということも知っておいてください。

自己肯定感が低いと思い込んでいる人でも、ちょっとしたことがきっかけで、自己肯定感は簡単に上げることができるんです。みなさんに言いたいのは、大人になってからでも、自己肯定感はいくらでも高めることができるということです。

自己肯定感は簡単に高くなったり低くなったりします。それは自己肯定感=心というのはさまざまな要因から影響を受けるからです。その要因を大きく分けると、人間関係を含めた周囲の環境、体調や自律神経の状態、気候や季節といった外的な要因、といったものです。

人からしかられれば凹んで自信をなくしますし、体調が悪いと心も弱くなります。また、雨の日は気分が落ち込んで気分の切り替えができずに不安になったり......このように自己肯定感との関係を知っておけば、自己肯定感が低いからといって必要以上に悩むことなく、適切な対処ができます。

住居空間やインテリアも自己肯定感に影響する環境のひとつです。少し考えてみてください。たとえば、部屋の中が汚かったり、散らかって足の踏み場もない状態だったら? 家に帰りたくなくなりますよね。

また、たとえ人気のソファーを買っても、自分にはしっくりこなかったら、家にいても居心地は悪いですよね。こうした嫌悪感やちょっとした違和感を覚えると、掃除が不得手な自分が悪い......、何でこんなソファーを選んじゃったのかな、ダメな私......といった気持ちに。

これが毎日続けば、自信喪失や自己否定につながり、自己肯定感は徐々にダウン。ですから、住まいを自分が心地よく感じるきれいな環境にしておくことが大切なんです。

\自己肯定感は、幸せに生きるためのエネルギー源!/
自己肯定感が低くネガティブな感情を放置していると自分はダメな人間→どうせできない→行動できない→成功体験が積めない→ダメ人間......と負のループへまっしぐら。自己肯定感の浮き沈みは誰にでもあることです。自己肯定感を高い状態に保てば、その浮き沈みも小さくなります。

 

心地よい住まい空間はポジティブ思考をつくる

自分がほっとする心地よい部屋にいると、心は安定し、思考も前向きになります。居住環境がよい→心地よさを実感→心の状態は良好→心の免疫力が高くなる→自己肯定感を高いままキープできる、となり、たとえ外で落ち込むことがあっても家で過ごすことで、心地よさを実感→心の状態は良好......という循環になります。

逆に居心地の悪い部屋はストレスになり、イライラしたり心が不安定となり、ネガティブな考えにとらわれるようになって自己肯定感も低下します。整理整頓されていない部屋、汚れた部屋も居心地の悪い部屋です。

外で嫌なことがあって家に帰ってもそんな部屋では、心はさらに落ち込むだけ。前述したように居住空間がよいケースではポジティブ循環になりますが、これがネガティブ循環になってしまうのです。こうしてみると、部屋を心地よくキープしておくことの大切さを理解いただけるのではないでしょうか。

本校ではおもにインテリアを取り上げているので、それにフォーカスして少し考えてみましょう。インテリアを整えるとなぜ、自己肯定感が高まるのかということについてです。

たとえば、みなさんの部屋にあるソファーを見てください。何色ですか? デザインはどのようなものですか? 手触りや座り心地はどのような感じですか? 

家の中にあるインテリアに目を向けてください。ソファーや棚などの大きな家具、カーテンやカーペット、テーブルや椅子、小物類もたくさんありますね。置物や絵画などのアート系インテリア、また、タオルやスリッパ、食器類など日常使いする物もたくさん。

インテリアを構成するのは、色や色彩、デザイン、素材。手触り感や使用感、香りなども含みます。実はこれらの要素はすべて五感に訴えかけるもの。脳、つまり心に働きかけてきます。

中でも目から得られる情報は心に大きな影響を与えます。なぜなら、人間が得る情報の約8割は目から得ているからです。家の中で目に映るものはすべて自己肯定感に関係するといえます。

少し話はそれますが、実は大人になると自己肯定感が下がりやすくなります。過去の失敗へのこだわりやトラウマが強く影響するからといわれます。誰でもそうですが、失敗した経験は強く心に残りますよね。同じ失敗は繰り返したくないという意識が強くなり、これが自己肯定感を低くしてしまうきっかけをつくります。 

こうした状況を乗り切る方法のひとつが、自分が安心できる部屋を持つことです自分らしくいられる部屋を持ち、そこでリラックスすることが失敗への恐怖を打ち消します。

 

インテリアを変えてポジティブに!

では、話をインテリアに戻しましょう。居住空間をよくするための方法がインテリアを変えることです。部屋の掃除や片づけも居住環境をよくするためにはもちろん必要になるので、そのことについてものちほど触れることにしますね。

心地よい空間にするためにインテリアを変えることは、気分転換の意味があります。この気分転換が自己肯定感と関係します。自己肯定感を高めるためには、これまで否定的に見ていたものを肯定的にとらえるようになることが必要。それが心の視点移動です。

たとえば、今コップに半分まで水が入っているとします。「もう半分しかない」とネガティブに思うのではなく、「まだ半分も入っている」とポジティブに考えられるようになるということです。

人間は1日6万回も思考しているといわれますが、悲しいことにこのうち約80%はネガティブ思考になっています。人はもともとネガティブ思考に傾きがちなので、毎日少しずつ心の視点移動をしてあげることが必要なんですね。

心の視点移動は、旅行に行ったり、趣味に没頭したりして気分転換することでもできますが、家にいながらできるのがインテリアを変えたり、模様替えをすることです。居心地のよい部屋で過ごすことで、少しずつ心の視点移動も素早くできるようになります。

脳は繰り返し同じものを見たり、繰り返し同じ体験をするとマンネリ化し、どんどんネガティブ思考になっていくというやっかいな性質があります。インテリアを変えるのは、これを防ぐことになります。インテリアを変えて脳をリフレッシュさせてあげましょう。

たとえば、階段の踊り場に、いつもなかった好きなオブジェをおくだけでもOK。それが脳への刺激となり、心の視点移動が起こることで自己肯定感がアップします。洋服を変えて気持ちを奮い立たせることってありますよね。

今日は会社で大事なプレゼンがあるから赤い洋服を着て自分を勢いづかせたい、今日はデートだから普段は着ないワンピースを着て気分を上げたい......洋服を決めるようにインテリアを扱ってみる―このように考えて、インテリアを活用するのもあり! なんです。

好きなインテリアに囲まれて暮らすと、それが自分の視界に入るたびに心地よさのスイッチがオンになり、無意識にポジティブなメッセージを受け取ることができます。気持ちが前向きになることで自己肯定感が高くなっていくのです。

 

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