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「久々に読書する方へ本を届けたい」選書サービスを展開するオーナーの思い

森本萌乃(「Chapters」書店主/株式会社MISSION ROMANTIC代表)

2025年03月07日 公開

「久々に読書する方へ本を届けたい」選書サービスを展開するオーナーの思い


カフェ「チャイと選書 Chapters bookstore」にて撮影

本を通したマッチングサービス・Chapters(チャプターズ)を運営する株式会社MISSION ROMANTIC代表の森本萌乃さん。昨年には、カフェ「チャイと選書 Chapters bookstore」をオープンしました。森本さんに選書の基準や、現在の心境についてお話を聞きました。(撮影=吉田和本)

※本稿は『Voice』(2025年3月号)「令和の撫子」より抜粋、編集したものです。

 

忙しい男女に「久しぶりの一冊目」を

「本棚で手と手が重なるような偶然の出会い」に憧れ、2020年に本を通したマッチングサービス「Chapters」を立ち上げた森本萌乃さん。毎月更新される3冊の本から1冊を選ぶと、同じ本を選んだ人とチャットすることができる。本好きのあいだで話題となり、利用者はのべ7000人以上。昨年(2024年)4月には、対面での選書を売りにしたカフェ「チャイと選書 Chapters bookstore」もオープンした。

森本さん自身も読書家だが、選書のために大事にしている軸があった。

「本をたくさん読んでいると、『ちょっとカッコいい本』にも挑戦したくなりますよね(笑)。でも『Chapters』では、久しぶりに読書を再開したり新たに始める方の『一冊目の本』を届けたいという思いが強く、たとえ自分の関心がほかにいっても、読みやすいエンタメ小説やエッセイを中心にセレクトしています。

『ちょっと頑張れば読める本』もいいけれど、皆さん忙しいから頑張れないんですよ。カフェでお客さんと交流するなかで、この方向性は間違っていなかったと実感しています」(森本さん)

カフェには、マッチングサービスで過去に選書された200冊以上のなかから、選りすぐりの約70冊が置かれている。対面の選書を目当てに、遠方から訪れる人も多いという。一見順調そうに見えるが、じつは不安でいっぱいなのだと打ち明けてくれた。

「思いついたことはすべて実行に移してきましたが、前例がないビジネスですし、意思決定の量が多く毎日不安です。眠れないくらい不安で(笑)。でも前向きに考えると、このサービスにまったく飽きを感じていないこと自体が幸せなんだなって。自分が不安なときに癒してくれるのが本であり、その本を生業にしていることに日々救われています」(同)

書店が減少するなか、「憧れ」を現実のものにした森本さん。彼女の挑戦は多くの人の希望となっている。

森本萌乃

【森本萌乃(もりもと・もえの)】
1990年生まれ。電通で勤務後、2017年 My Little Box Japanに入社。マーケティングマネージャーを務めたのち、FABRIC TOKYO へ。2019年に株式会社MISSION ROMANTICを創業、2020年にマッチングサービス「Chapters」をローンチ。著書に自身の起業経験を小説にした『あすは起業日!』(小学館)がある。

 

・カフェ「チャイと選書 Chapters bookstore」
JR市ヶ谷駅から徒歩7分。営業時間は水、木、金曜日の11:30~17:00。無料選書のほか、店員との会話を通した「パーソナル選書」も。

 

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