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損保ジャパン・槙絵美子さんの「みんなで成長する」マネジメント

『THE21』編集部

2012年11月02日 公開 2023年01月05日 更新

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課題を共有し、みんなで成長したいと考えています。
槙絵美子(まき・えみこ)

〔株〕損害保険ジャパン
企業商品業務部 リスクソリューショングループリーダー 

1988年、一般職として入社。3年後に総合職に職種転換。ロンドン駐在を経て、92年に再保険部に異動、以後約20年にわたり再保険業務を経験する。2006年に管理職に昇進、11年より現職。

 

部下に成功体験を積ませることがマネジメントの目標です

保険会社の生命線ともいえる「再保険」業務を、20年担い続けた槙絵美子さん。「再保険のスペシャリスト」と呼ばれ、経営人材育成のためのプロジェクト「女性経営塾」にも、約 600人の対象の女性社員から選出された。

再保険とは、保険会社が自らのリスクヘッジのためにかける保険のこと。自然災害などで、巨額の保険請求を受けた保険会社の経営が揺らがないのは、別の保険会社に「保険の保険」をかけているからだ。

1988年の入社時は一般職だった。そのため、与えられる仕事は限定的だったが、小さな気づきを企画に変え、上司に提案した。その1つが採用され、海外駐在員向け機関誌の編集長という仕事をもらった。

「記事の内容づくり、印刷会社さんとの折衝など、当時の業務の枠を越えた仕事をさせてもらいました。わずかながら、予算もつけてもらったんですよ」

総合職に転換してから担当したのが再保険だった。事故や災害のたびに過去の契約を見直し、必要に応じて弁護士の助言を求める。さまざまな角度から再保険を学ぶにつれ、徐々に面白さに気づいていった。

管理職になったのも、再保険に携わっていたころだ。豊かな経験から、20名以上いる部下の動きは手にとるようにわかった。「ピラミッド型組織」を形成し、チームリーダー経由で的確な指示を出すマネジメントスタイルにした。

「チームリーダーの経験があったので、マネジメントに不安はありませんでした」

その後の配置転換により、槙さんはいま金融商品の開発部門を率いている。5名の部下はみな30代と年下で、文系の槙さんに対し、大半が理系の男性だという。

「いまはマネジメントをしながら、部下から教えてもらうことも多い状況です」

上司として、知識や人脈は提供できるが、商品開発となればそれだけでは十分でない。結果、部下が成長著しい30代ということもあり、「みんなで成長する」ことをモットーにした。

課題を共有し、進捗を見守り、結果をまた共有する。そのサイクルをみんなで回す。オフィスの一角に6名が集まっているため、飛び交う言葉も、ときに耳にする電話の会話も「共有事項」。いいたいことやアイデアは、ホワイトボードに絵で描き、みんなで共有した。

「みんなで成長している実感があります」

しかし、1つの分野を20年極めたスペシャリストだ。話を聞くうちに、再保険の仕事への情熱もひしひしと伝わってきた。戻りたいと思うことはないのだろうか。

「部下には成功体験を多く積ませたい。それが社会人としての強さにつながるからです。いまの私にとっての現場は、彼らと共に成長する場だといえます」

部下からの相談が増えるにつれ、マネジメントの幅も広がってきた。個人的には、ピラミッド型よりも、いまのフラットな組織は理想形に近いという。

<取材構成:齋藤麻紀子/写真撮影:長塚 健>

 

◆槙さんのコミュニケーション術◆

伝えたいことはその場で視覚化
合い言葉は「ナレッジマネジメント」です。そのために、伝えたいことを「視覚化」する努力をしています。たとえば会議のときは、ホワイトボードを横に置き、アイデアや意見が生まれたらボードに記入します。

◆槙さんの、タイムマネジメント術◆

ワーク・ライフ・バランスも意識した時間術
夜は小学校6年生になる息子との時間をとるため、会食はランチタイムに行ないます。また朝も、息子を送り出して9時ギリギリの出社になるため、すぐに仕事を始められるよう、メールは通勤中にすべてチェックします。

◆槙さんの部下指導術◆

部下と課題を共有して成長
課題を共有し、進捗を見守り、結果をまた共有する。このサイクルを全員で回しています。再保険部門では教えることがたくさんありましたが、現在の商品開発部門では「教えられる」ことも多く、一緒に成長したいと考えています。

槙さんに<Q>&<A>

Q:休日の楽しみ力は?
A:息子とバドミントンで汗を流すこと。そして寝る前のオセロです。結構強いんですよ。

Q:影響を与えた一冊は?
A:『「日本」の売り方-協創力が市場を制す』(保井俊之著)です。女性経営塾メンバーとして「“お客さま評価日本一”のために何ができるか」を考えているため、参考にしています。

Q:印象に残っている上司の一言
A:「石の上にも3年。誰かがみているよ」。あまり前向きになれない仕事を担当していたとき、上司がかけてくれたひと言です。

Q:勝負アイテムは?
A:ベビーピンクの手帳です。心を奮い立たせる色ではありませんが、商談の席に置いておくと穏やかに話を進めることができます。

Q:またいきたい出張先は?
A:バミューダ島です。バミューダパンツが正装なので、街にはバミューダパンツに蝶ネクタイをしたビジネスマンも。ピンクサンドの海岸はとてもロマンチックです。

 

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