6月27日に上田竜也さんの初の小説『この声が届くまで』(KADOKAWA)が発売になりました。物語を書き始めたのは10年前。メンバーが3人となったKAT-TUNに対して、「自分にできることはないか」と考えたことが執筆の原点でした。
一度は中断したものの、昨年から再び筆をとり、ついに出版へと結実。創作を通じて上田さんが改めて実感したのは、"チームで何かを成し遂げること"への揺るぎない思いでした。
写真:TOWA
執筆を通して「チームが好き」だと実感
小説を完成させ、無事に刊行へと結びついたことについて、上田さんは次のように語ってくれました。
「自分がやりかけたことが途中で断念してしまったけど、それを年数を重ねてもちゃんと形にはできたということ。10年前の俺の選択は間違ってなかったっていうのを証明したいというのがありました。
なので、"小説を書きたくて"というよりは、その想いの方が強いです」
自らを「負けず嫌い」と表現する上田さんは、理不尽なことも多い世の中で心が折れそうになりながらも、腐らずに前を向いてきたといいます。
小説の執筆を通じて、自分は「チームが好き」なのだと改めて実感したとも語っていました。
「シンプルにチームでやることを望んでいたし、やりたかったことなんだなと思いました。
みんなで壁を乗り越えてつかむ景色を見たい。その達成感を感じるのは、1人ではできないことだったりするので。
例えば、ソロライブをやるときもチームでやりたいんで。バンドやダンサー、スタッフのみんなを含めて横一列でやりたいなって気持ちの方が強いですね」
こうした"チーム"への想いは、小説に登場するキャラクター同士の関係性にも反映されています。
「現実では絡まなそうなやつが絡んでくるのが面白いから、龍みたいなやつは優等生と絡ませたり。幼なじみっていうのもあるけど、ヒロトと龍がなんで仲いいんだろうって。現実的には、やっぱりヤンキーはヤンキーと一緒にいるじゃないですか。
でも、こういうのが現実で仲がいいっていうのも、すごくいいんですよ。俺たちも、グループだったけど、友達でグループを組むわけじゃないから。いろんなタイプの人間がバッと集められて、いきなりグループになる。それでもちゃんとお互いを認め合っていく、というのが面白いなと思ったんです。俺らなんて特にそうじゃないですか」
異なる個性を持つ者同士が仲間として一つの目標に向かって進んでいく姿に、ご自身の経験や理想のチーム像を重ねている様子が感じられます。
後輩に対する秘めた思い
上田さんのInstagramを覗くと、先輩・後輩をはじめ、お笑い芸人や俳優など、幅広い交友関係が見受けられます。人との関わりについて、どのような考えを持っているのでしょうか。
「後輩には、自分が先輩にしてもらって嬉しかったことをしてあげたいなっていう気持ちで一緒にいます。話を聞いてくれるだけでもいいかもしれないし、何かあった時に頼れる人がいるのも重要だろうし」
人から慕われる印象のある上田さんですが、舞台や仕事の現場では、周囲への接し方にも配慮しているといいます。
「例えば、どうしたら後輩たちにこの作品出てよかったと思ってもらえるかとか、現場で一緒にいて、自分たちにプラスになったと思えるかを考えています。
もちろん俺なんて多分怖いだろうし、最初は。そこをうまくなんとか『全然怖くないよ』っていう感じで接していはいますね。
『なんでも喋りかけて』っていう感じでこちらがいった方が、向こうも現場が楽しいと思うので。楽しくいてほしいなって気持ちが強いかな」
また、自身が悩みを抱えた時には、人に頼ることもあると率直に語ってくれました。
「悩んでいることがあったら、友達に話すかもしれないです。それこそ先輩には仕事のことを相談することも多いです。なんとなく一緒にいて、なんとなく話すだけでだいぶ心が救われるので」
小説に込めた"仲間を信じること"は、まさに上田さん自身が日々の中で大切にしている姿勢そのものでした。








