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[仕事ダイエット!] 残念な人ほど「資料・メール」に時間をかける

2013年01月29日 公開

山崎将志 (ビジネスコンサルタント)

《PHPビジネス新書『仕事ダイエット』より》

仕事ダイエットのススメ

 とにかくがんばることや、長時間働くことが無意味な時代になった。しかし、1人あたりの業務量は増えるばかりで、しかも要求される質もどんどん高まっている。

 「ムダな仕事を見直したら?」こんなアドバイスをよく聞くが、慰めにすらならない。

 ――本当にムダなことなどやる時間がない。今やっている仕事は必要だから、やらなければならないからやっているのだ。こうなったら同じ量の仕事を短い時間でこなす以外にない――。

 そのように考えているあなたにお勧めしたいのが、「仕事ダイエット」だ。

 カラダのダイエットは摂取カロリーを減らすだけでは成功しない。筋肉量を増やさなければリバウンドしてしまう。また、カロリーを減らすだけでなく、よい食べ物を摂りながら適切なトレーニングをすることが必要だ。

 これを仕事に置き換えよう。

 仕事のダイエットはムダを省くだけでは成功しない。仕事のスキルを上げなければ、すぐに元の仕事量にリバウンドしてしまう。また、ただ仕事を減らすだけでなく、よい仕事をし、適切なトレーニングをすることが必要だ。

 とはいえ、仕事の範囲は広い。どこから手を付けるべきか……。

 悩めるあなたへの私の提案は、まず資料とメールのダイエットに着手することである。これからその理由を説明しよう。

なぜ今さら資料とメールなのか

 書く技術の重要性が、いまだかつてないほど増している。現代のホワイトカラーの仕事の中心は文章を書く――メールを書く、資料を作る――ことであるといっても過言ではない。

 あなたの1日、あるいは1週間の時間の使い方を振り返っていただきたい。いったい、どれくらいの時間をそれらに費やしているだろうか?

 私の調査では、内勤の方で業務時間の8割、営業の方でも5割程度はPCの前に座っている。それらの時間のうち、半分以上はメールや資料の読み書きのはずだ。

 あるいは、最近はスマホやタブレットを使って移動中でもメールを書いている方も多いだろう。さらに、プライベートの時間でもやはりメールを頻繁にやり取りされているに違いない。

 いまや1億総書き手時代である。このような状況はほんの少し前には考えられないことだった。私の学生時代を振り返ってみても、文字を書くといえばレポートを書く、試験を受ける、ノートを取るといった程度。プライベートでは、せいぜい年に何回か手紙を書くくらいだった。

 それが、今は「年に何回か書く程度の手紙」を「毎日何通も」書いている。

 そのような環境によって、コミュニケーションのスピードは格段に増した。プライベートでもいろんな人との連絡をマメに、気軽にできるようになった。また、PCソフトの充実により以前はプロしか作れなかったカッコイイ資料も自分で作れる。

 しかし、あらゆるプラスにはマイナスが伴う。それは、書き方を知らない人でもカンタンに書け、気軽に多くの人に送ることができてしまうことから生じる問題である。

文章は書いたとおりにしか伝わらない

 自分の頭の中にあるイメージどおりに、自分の考えを人に伝えたいものである。ところが、適切な言葉を選んで、わかりやすい順番で組み立てるのは容易ではない。だから往々にして、作った文章は自分のイメージどおりでなかったりする。

 しかし、文章は書いたとおりにしか相手に伝わらない。表情で察してもらったり、対面や電話の時のように相手に言葉を継いでもらったりするようなことはできない。

 だから、まず正しく書かなければならないのだが、これがなかなか難しい。適切な言葉を見つけるのに悩むのは誰にでもあることだが、それは書き手に閉じた、書き手側の悩みである分まだましだ。

 厄介なのは、自分では正しく書いたつもりでも、句読点の打ち方が不適切だったり、指示代名詞の指している内容が不明確、5W1Hが抜けていたりすることで、正しく伝わらない場合である。

 さらに、内容が正しく書かれていたとしても、まだまだいくつかのハードルがある。

 自分が答えを出した順番と、相手が理解する順番は異なるものである。たとえば新しいアイデアを披露する場合を考えてみよう。新しいアイデアは「飛躍」によって生まれる。しかし、それを説明する際には、相手が飛躍しなくていいよう、結論と理由のあいだをきちんと埋めてあげなければならない。

 また、内容によっては、自分が対象について考えているほど、相手はそのことを重要だとは思っていないこともある。頼まれた仕事以外は、往々にしてそうである。

 その場合は、内容の説明に入る前に、相手にその重要性を認識してもらうところから始めなければならない。さらに、現代のホワイトカラーは忙しい。専門用語が多い、漢字が多い、抽象的、長いといった文章は敬遠されがちだ。

 このような配慮に欠けていると、せっかく時間をかけて書いたメールや資料は正しく伝わらないどころか、そもそも読んでもらえない可能性すらあるのだ。

 

 本書『仕事ダイエット』は、あなたが短い時間で結果を出す書き方を習得するためのトレーニングブックだ。本書の内容をすべて習得すれば、今の仕事量のままで少なくとも1日1時間の時短ができるはずだ。 

 この中で指摘しているポイントの中には、あなたが既に知っていることも含まれているだろう。「要点を簡潔に記す」「結論から書く」「ダラダラ書かない」などといったことは、おそらくあなたは何百回と耳にしている。しかし、実際に自分ができているかどうかは別の話である。

 

文章は書き出しが実は最も難しい

 文章を書く際に一番難しいのは書出しである。どれだけ経験を積んだ人でも文章の書き出しや、資料の1枚目をどう描くかに悩むことが多い。なぜ書き出しが難しいかといえば、論理的ではないからである。あらゆる書き出しは常に突然始まる。その後は論理的に流れ、書き手と読み手の興味をつなげていくことができる。

 あなたと読み手が同じテンションにあることは、まずないと考えるくらいでちょうどいい。文章は結論から書きたいものだが、その気持ちを抑えてあなたと読み手と課題認識を共有することが重要だ。書き出しは突然始まりながらも、読み手が「そうだ、そうだ」と徐々に自分と同じテンションになってもらうように書く必要がある。

 文章の導入部分は読み手に対して、まず全体像を理解してもらい、その先を読みたい、あるいは読まねばならないと思わせる気持ちにさせるという、非常に重要な役割を担っている。そのことでさらに書き出しの難しさが増すのである。

 その先を読みたい、読まなければならないと相手に思ってもらわないことには始まらない。もちろん、ビジネス文書のなかでも義務的、強制的に読ませることができるものもあり、それに関しては、書き出しにはそれほど気を配らなくてもよい、という意見もある。

 しかし、そうであっても、内容的に必要だとか、読みたいと思わせなければ、相手は腹落ちしない。腹落ちしないことは、頭で理解しても実行になかなか移さないか、中途半端に形だけ実行するという結果になりがちだ。

導入にはおすすめのパターンがある

 実は書き出しには、その役割を発揮させるための構造、あるいはそのフォーマットとも呼べるようなパターンがある。

 そのパターンの順番とは、まず読み手に、読み手自身がよく知る状況を思い起こさせる。その中でこれもまた読み手が同意する課題認識が提示され、それが疑問を持つきっかけになる。そしてその疑問に対して、これから続く文章がそれに答えようとしていることを示す、という構造である。

 整理すると以下のような順番だ。

(1)状況設定
(2)課題認識
(3)疑問の投げかけ
(4)解答

 この構造に沿って書かれた導入部分を例示しよう。

〔状況設定〕電車の中で昔想いを寄せていた女性(男性)を見かける。
〔課題認識〕当時と今ではあまりに自分の外見が変わってしまい、恥ずかしい。
〔疑問の投げかけ〕さてどうする?
〔解答〕ふと、彼女の(彼の)携帯ストラップのロゴが目に入った。私の取引先だ。

 この先の展開はどうなるんだろう、と少なくとも思ってもらえただろう。そこに対して答えていけば、話は先に進められる。

 読み手はこの時点ですでに、この導入部分に続くすべての記述が、キーメッセージを説明するためのみに存在することを知る。こうして、あなたは読み手に対して考えの全体構造を、何行かで伝えることができるわけだ。

 このことから、単に検討ポイントを羅列するような導入文を書くことは、あまりお勧めできない。我々書き手に必要なのは、ストーリーを記すことで読み手の興味を喚起し、疑問に答えを与えることだ。読まれる文章の多くはこの構造に従っている。しかし書き慣れている人や、読んでもらうのに工夫の必要のない立場にいる人は、これを忘れてしまいがちだ。

 ビジネスにおいては短い文章が求められているが、この導入部分には力を注ぐべきである。本題から入れとよくいわれるが、本題にいきなり入っても相手はわからないことが多

い。本題から入ってわかる相手とは、十分に文脈と情報が共有されているはずだ。それならば、口頭でちょっと話すか、2、3行のメールで済むため、文章はいらない。メールや資料には、本題に入る前の前置きが必要なのだ。

 

山崎将志

(やまざき・まさし)

ビジネスコンサルタント

1971年生まれ、愛知県出身。94年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年独立。その後、プロフェッショナル教育の知識工房、事業再生コンサルティングのアジルパートナーズをはじめ、数社のベンチャー企業を設立。大手商社とのJVにて2008年に始めた5円コピーと、生活者総合支援サービスの「カジタク」は、2011年4月イオングループの傘下に入る。
主な著書に『残念な人の思考法』『社長のテスト』(以上、日本経済新聞出版社)『残念な人の仕事の習慣』(アスコム)などがある。また、『週刊パーゴルフ』(パーゴルフ社、『残念な人のゴルフ思考法』として同社より書籍化)『日経プレミアPLUS』(日本経済新聞出版社)に記事を連載している。


<書籍紹介>

仕事ダイエット   
残念な人ほど「資料・メール」に時間をかける

山崎将志 著
本体価格840円     

仕事が集中するあなたに、「成果アップ」と「時短」を実現する仕事ダイエットを提案。残念な人ほど、資料・メールに時間をかける!

癒しフェア2018 東京(8月)、大阪(3月)出店者大募集!!

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