優秀な上司ほど「余計な指導」をしない デキる部下が求める“見守り方”
2026年01月14日 公開
部下に対して「良かれ」と思い、求められている以上のことをやってしまった経験はありませんか?ただ、デキる部下が本当に求めているのは、何にでも干渉する上司ではなく、「見守ってくれる上司」であると、流創株式会社代表取締役の前田康二郎氏は語ります。
本稿では、前田康二郎氏の著書『デキる上司がデキる部下を潰してしまう。はなぜ起こるのか?』より、上司が優秀な部下と接する上で心がけたいことについて紹介します。
※本稿は、前田康二郎著『デキる上司がデキる部下を潰してしまう。はなぜ起こるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
プロの世界は上司を拒否できるが、会社員の世界はそれができない
プロアスリートの中でも特に活躍した方達の逸話を聞いていると、時として「その場の空気を読まない」言動もうかがい知ることができます。
「皆で飲みに行くから一緒に行こう」と誘っても、その日が自分の決めた休肝日や練習日だったら、たとえお世話になったり尊敬している先輩や監督でもきっぱり断って自分のルーチンを守ったり、プレースタイルについてコーチなどから助言を受けても自分が納得しないものは助言にだけ感謝して、内容は取り入れないなど、ともすると「集団行動や上下関係を乱す」行為もまま見受けられます。
しかし、それで結果が出た、ということは、本人の判断が正しかったということであり、それがプロの世界でもあるということです。ただ、会社員の世界はまた少し異なります。そのような言動をしたら「だったらこの会社から出て、起業独立してそのように好き勝手な言動をしなさい」と言われることでしょう。
「実績を出すこと」と「集団行動や上下関係からはみ出ること」を天秤にかけると、プロの世界では前者がないと、そもそもプロの世界でやり続ける資格がありませんが、会社員の場合、後者も前者と同じほど重要であり、むしろ後者さえあれば前者がなくてもやっていけることすらあります。
そのため、自分の考えに沿った意見や指導をしてくれる上司ならデキる部下もありがたいですが、自分の考えとは異なる意見を言う上司だった場合は、内心はその意見を断りたくても、プロのように独立した立場にいるわけではありませんので、上司の意向に従わざるを得なく、意にそぐわないことをさせられてパフォーマンスが落ちてしまうことも起こります。
ですから、デキる部下は「口出しを極力せず見守ってくれる上司」がありがたいのです。
デキる部下は優しいので上司の願望を全て叶えようとしてしまう
デキる部下というのは、視野が広いです。つまり自分以外のところまで目が行き届く余裕があるので、周囲にとって「都合のいい動き」ができるのです。そのため、上司が期待することも薄々感じ取ってしまい、それを「自分が叶えて差し上げたほうがいいのかな」と、忖度してしまう傾向があります。
そういう優しさがあるので、上司がデキる部下に甘え過ぎてしまうと、部下は自分の能力以上に体力を使い果たしてしまい、身体を壊してしまうことがあります。
たとえば、高い予算目標に現時点だと全くチームとして届きそうになく上司が苦悩している時、他の同僚が「こんな高い目標、最初から無理に決まっている」「頑張るだけ無駄」と言っているのを見聞きして「自分がなんとかして会社や上司を支えなければ」と一人で責任を抱えて頑張ってしまいます。それがデキる部下の行動パターンです。
そのため、「デキていない部下」には、「最低限これだけの成果を出しなさい」という「下限」の数値や目安を提示してマネジメントをするところを、デキる部下の場合は反対に「これ以上はあなたに関しては成果を出す必要はありませんよ」という「上限」を設けてマネジメントをし、デキる部下が頑張り過ぎないようにコントロールする必要があります。
上司としてデキる部下に頼るのはデキる部下にとっても「自分を信頼してくれているんだ」と嬉しいはずですが、甘え過ぎるのはまた少し違います。「頼る」と「甘える」を混同してしまうと、デキる部下に上司も同僚も何でも甘えてしまい、部下が断り切れず、心身がやられてしまうことがありますので、注意が必要です。
デキる部下にはデキる部下なりのプランがある
デキる部下は、自分なりの仕事のプランを考えています。だから自立・自律が「デキる」のですが、上司側が「まだ君は若手だから右も左もわからないだろう、自分も若手社員のときはそうだったから」と「良かれと思って」勝手にレールを敷いて「さあこのレールに乗りなさい」と誘導するのは、デキる部下にとっては逆に負担になることがあります。
デキる上司が「昔、自分が若かった頃は何も考えてなかった」と振り返るのは「今の自分」と比較しているからで、実際にはそのデキる上司も、若手時代、きちんと将来のビジョンを考えていたはずなのです。ただ経年で忘れているだけなのです。
私達は、若手社員時代に苦手な上司に遭った時に「自分は絶対にこのような上司にはならない」と思いながら、実際には上司になった時に、その苦手だった上司と全く同じ言動をしていることがあります。つまり近親憎悪で苦手だったということで、人間とはそういう生き物です。
デキる上司ほど、責任感が強いので手取り足取り部下のレールを敷いてしまいたくなりますが、デキる部下には、まずは彼らのプランを尋ねてみる、ということをしてみると良いと思います。
そのプランの中で、上司である自分が応援したりサポートしたりできる箇所があるかを確認、準備しておき、もし、部下のほうから、応援やサポートの依頼があった際には快く応じるのが良いでしょう。
デキる部下は、自分で発見・解決するのが楽しい
デキる部下というのは、「自力で」何でもやってみたい、という意欲が強い特徴があります。だから最初から上司があれこれ部下に手出しや口出しをしないほうが逆にいいのです。
手出しや口出しをしてしまうと、デキる部下は「自分一人でできたけど、最初に上司がヒント出ししてくれたしな......」と、100%自分で調べて良いやり方を発見してトライ&エラーを繰り返しながら目標を達成した、という達成感を持てなくなるのです。
デキる部下が上司に頼りたい時は、自力でやってみて明らかに今日現在の自分の能力だけでは目標の達成が不可能だと自分自身で思った時、あるいは課題の解決法を自分で考えたりAIに尋ねたりしても明快な答えが出てこなかった時など、行き詰った時です。
そのような時に、相談や質問をされて、的確な対応や回答が上司からもたらされると、デキる部下は「やはりAIより断然頼りになる上司」と認識し、上司への信頼度も高まります。事前に「もし行き詰ることがあったら、その時は声をかけてね」と、一声、声掛けしておくのもいいと思います。








