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たった1分で心をつかむ! 「しつもん」会話術

松田充弘(質問家/カウンセラー)

2013年02月27日 公開 2022年12月07日 更新

本音を引き出すしつもん
〔1〕ひとつ先を聞いてあげる

◆ 話の先に何があるか考える

信頼関係を深めるには、相手の本音を引き出してあげることも重要です。

「俺さあ、会社辞めたいんだよね……」

たとえば、友だちにこんな話を打ち明けられたとしましょう。あなただったら友だちにどんな言葉をかけてあげるでしょうか?

そもそも、この友だちは会社を辞めたいと言っていますが、本当に会社を辞めたいのでしょうか。

辞めることにポイントがあるわけではないかもしれないのです。それを見極めるためにも、相手の話の先にどのような問題があるのかということを考えるのが大事です。

マツダ「会社を辞めると、何か楽になるの?」
相 手「う~ん、とにかく人間関係がしんどくって……」
マツダ「そうなんだ。でも、このまま会社は辞めずにいるとして、人間関係を良くするためにできることって何かあるんじゃないかな?」

おわかりですね。

この友だちは、会社を辞めたいわけではなく、会社の人間関係に悩んでいて、それを解決したいと思っているのです。

相手の話の先にあること、この場合は会社を辞めることの先についてしつもんすることで、人間関係に悩んでいるという話を引き出すことができたのです。

ひとつ先を聞いてあげる。

ただそれだけで、相手も気づかなかった問題に気づき、それを解決することでお互いの関係を前に進めることができるのです。

 

本音を引き出すしつもん
〔2〕しつもんに選択肢を入れてみよう

◆ 相手に選択肢を与える

マツダ「今日の夕飯、何を食べようか」
相 手「何でもいいよ」
マツダ「何でもいいじゃ困るよ」
相 手「うーん、わかんないなあ……」

家庭での食事の場面、デートでの店の選択など、こんな会話を経験して困ったことがある方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

これは食事の選択というごく身近な場面ですが、往々にして日本人は、自分で考えて答えを出すことにあまり慣れていないようです。

もしかしたら、今まで考える機会が少なすぎたのかもしれません。

というのも、小学校、中学校、高校と、学校の授業で先生に質問されても、ろくに考えることもしないで「わかりません」と言っておけば、だれかが正解を教えてくれることで済んでしまってきたからです。

これは、大学の講義でも同じかもしれません。大人になった今でも、その考え方がつづいているのではないでしょうか。

ですから、何かしつもんをしても、こんな答えが返ってくることが非常に多いのです。

「何でもいい」「わからない」

これでは、会話を広げようと思ってもなかなかうまくいきません。こういうときには、どういう応対をすれば会話がスムーズに進むのでしょうか。

私は、こんなしつもんをすることをお勧めします。

マツダ「じゃあさ、和食と洋食と中華、どれがいい?」
相 手「うーん、洋食かなあ」
マツダ「洋食か。じゃあ、フレンチとイタリアン、ほかにも何かある?」
相 手「だったら、スペイン料理にしようよ」

相手に選択肢を与えるしつもんをすればいいのです。

選択肢を与えてあげれば会話はつづきますし、相手も選択肢から選べばいいだけなので、話しやすくなると思います。

きっと、答えを持っているはずです。

現に、和食と洋食と中華のどれがいいかというしつもんをすれば、3つのうちのどれかを選択する人が圧倒的です。さらに、選択肢を示されたことで、あえて選択肢にはない答えをすることもあるかもしれません。

相手から「わかりません」という答えが返ってきても、相手は話す気がないわけではないのです。

こちらのほうから「この人は話す気がないかもしれないからやめておこう」と引いてしまうのではなく、選択肢を示してあげることで会話が広がっていくことを意識しておいてください。

◆ 主観を客観的に表す

選択肢を示すしつもんは、相手の主観を知るときにも役立ちます。

次の会話は、私とスタッフの間で交わされたやり取りです。このスタッフは、超がつくほどポジティブな人間です。

マツダ「どう、うまくいってる?」
スタッフ「最高ですよ!」
マツダ「そうか。じゃあ、そのうまくいっている感覚は、20%・50%・80%の3つで言ったらどのくらい?」
スタッフ「20%ですかねえ」
マツダ「それなら全然うまくいってないことになるよね……」

選択肢を提示するしつもんは、相手の主観を客観的な表現に変えて、現状を把握することにも使えると思います。

 

松田充弘

(まつだ・みひろ)

質問家、「魔法の質問」主宰、日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー

カウンセリングやコーチングの理論をベースに、自分自身と人に日々問いかけるプロセスを集約し、独自のメソッドを開発。質問するだけで、魔法にかかったようにやる気と能力が引き出され、行動が起こせるようになることから、「魔法の質問」と名づける。
2004年より日刊メルマガ「魔法の質問」を開始。口コミで人気が広がり、毎日2万人が読むメルマガとなる。
質問を投げかけ、参加者が答えるスタイルの「魔法の質問ライブ」を軸に、日本全国・海外で行う講演は年間200回以上。NHKでも取り上げられた「魔法の質問学校プロジェクト」では、ボランティアで全国の学校へ行き、子どもたちに魔法の質問を体験してもらっている。
「質問は、人生を変える」をキャッチフレーズに、上質な人生を生きるきっかけづくりを行っている。
『起きてから寝るまでの魔法の質問』(サンマーク出版)など著書多数。

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