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〔 朝倉千恵子の上司学 〕 「飽きない」から「商い」



2013年02月28日 公開

朝倉千恵子 (社員教育コンサルタント)

『PHP ビジネスレビュー松下幸之助塾』2013年 3・4月号より》

八方美人だった私の失敗

もう20年以上も前、私が主婦をしていたころのことです。私の家にハンカチが何十枚も溜まったことがありました。恵まれない方への寄付をお願いに来られた方にお金をお渡しして、その代わりに置いていってくださったハンカチでした。「いい人」でいたかったのでしょう、ノーと言えなかった私は訪ねてこられた人を玄関先で断ることができず、1枚2枚と買って、ついに何十枚も溜まってしまったのです。

私の八方美人は、仕事をするようになってからもしばらく続きました。お客様でも取引先でもない方から面談を求められたり食事に誘われたりしたとき、断ったら悪いなと思ってしまったり、明確にノーを言えないがゆえにずっと先の約束を入れられ後悔する、ということもありました。当時は、どんな方でも大事にしなければいけないという意識が強かったのだと思います。

いやむしろ、決められない、ノーと言えない、だれかに結論を出してもらいたい、そういう依存心が私を八方美人にし、流される人生にして、自分自身を苦しめていたように思います。

自分に起こることはすべて自己責任、というふうに自立できて、ようやく八方美人が直りました。

 

「おたくの社員は無能」

自分の意に染まない申し出を断ったり、正しいと思うことをはっきり主張したりするのは、勇気のいることです。それが相手にとって都合の悪いことであれば、なおさらです。 

「朝倉さん、あなたは耳の痛いことをはっきり言うね」「ずいぶん厳しいね」などとお客様に言われることはよくあります。しかし、それによって関係が壊れることはありません。むしろ深まるから不思議です。大事なお客様のことを考えて真剣に申しあげていれば、関係を切られることはまずありません。逆に、言うべきことを言わない“上澄みの関係”は、かえって長続きしません。上っ面だけの関係では信頼が生まれないからです。

ただし、厳しいことを言うのも、一過性や二面性があってはダメ。もちろん時と場合によって臨機応変に対応することは必要ですが、あの人、この人、あの会社、この会社、あるいはあのとき、このときと、違う対応をしているようでは信頼はされません。「あなたのことを大事に思っているからこそ」という一貫性が感じられて初めて、信頼関係が生まれるのです。

弊社の顧問弁護士を務めてくださっている髙井伸夫先生(髙井・岡芹法律事務所)という方がいらっしゃいます。髙井先生は、私に対して思ったことを正直に(ズケズケと)話してくださいます。会社設立当初には、「おたくの社員は無能」とまで……。さすがにその瞬間は私も腹が立ちました。今に見てろ、きっと認めさせてやる……。心の中に抱いた感情を今も忘れません。

(中略)

 

売れる営業マンとは何か

私は35歳で初めて営業職を経験し、1年目で新規顧客開拓部門でトップの成績を、3年目で正真正銘のトップを取りました。それ以来、売れる営業マンとは何かということを考え続けていますが、その答えはやはり信頼だと思っています。

何年営業をやっても売れない人は売れないのに対し、売れる営業マンは初めから結果を出せる人が多い。それは、仕事の基礎はみな同じだからです。たまたま営業は未経験でも、基礎ができていれば結果を出せる。その意味で、営業マンとして大切な原点は、仕事人として、もっと言えば人間としての原点でもあるかもしれません。それが、信頼なのです。

「信頼」にはいろいろな要素があると思いますが、私なりに少し乱暴に〝因数分解〟してみると、そこには3つの要素があるように思います。「責任感と執着心」「三方(さんぽう)よし」、そして「飽きさせない」です。

 ☆本サイトの記事は、雑誌掲載記事の一部分を抜粋したものです。記事全文につきましては下記本誌をご覧ください。(WEB編集担当)

 

■ 朝倉千恵子 (あさくら・ちえこ)

小学校教員を経て、35歳で「地獄の特訓」で有名な〔株〕社員教育研究所に入社、未経験から3年後にトップセールスパーソンに。2001年独立。2004年〔株〕新規開拓を設立、社長に就任。研修講師として全国を飛びまわり、リピート率は98%を誇る。


<掲載誌紹介>

『PHPビジネスレビュー松下幸之助塾』
2013年3・4月号Vol.10

2013年2月27日発売

<今号の読みどころ>
 3・4月号の特集は「商いの原点」。松下幸之助は生涯、一商人としての観念を持ち続け、自社の社員に、あるいは系列店の店員に、その心得を説き続けた。お客様に喜んでいただくこと、取引先と共存共栄すること、適正利益をきっちり確保すること、社会にプラスを与えること、みずからが喜びを感じて仕事ができること、そして、新しい商品・新しいサービスを発意し続けること……。では、ITの発達やグローバル取引の活発化など、大きな変貌を遂げつつある現代の商いで大事なことは何だろうか。本特集では、歴史を眺め、あるいは現代日本企業の現場で活躍する人たちの事例を見ながら、商いの原点を考えてみた。
 そのほか、世界的な建築家・安藤忠雄氏と、住宅業界のトップリーダー・大和ハウス工業会長の樋口武男氏の対談は見どころ。

 

BN

 


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