2023年の国際研究によると、海の表面だけで171兆個(約230万トン)のマイクロプラスチックが漂い、海底にもさらに1400万トン以上が蓄積しているとされています。
「マイクロプラスチック」とは、紫外線や風・波の力で砕けて直径5ミリ以下になったプラスチックの粒のことで、これが何十年、ときには何百年も自然環境の中で分解されずに残ってしまいます。
この汚染は海にとどまらず、山奥の野生動物の体内からも確認されています。ツキノワグマやカワウソのフンから見つかったプラスチック粒。その出どころは、実は私たちの日常生活のすぐそばにあります。書籍『僕が使ったペットボトルはどこへ行く? 13歳からのサーキュラーエコノミー超入門』より解説します。
※本稿は、木口達也著『僕が使ったペットボトルはどこへ行く? 13歳からのサーキュラーエコノミー超入門』(クロスメディア・パブリッシング)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
陸の野生動物のフンにもマイクロプラスチック

これまでプラスチック汚染は主に海洋生態系の問題として注目されてきました。
しかし、国際環境NGOのグリーンピースが台湾で行った調査によると、陸上の野生動物もマイクロプラスチックの深刻な影響を受けていることが判明しています。森林に生息する野生動物のフン、そして生息地の水の約80%からマイクロプラスチックが検出されたのです。
こうした状況は、私たちが日常生活で出しているプラスチックごみが、野生動物の体内にまで入り込んでいることを示しています。
ちなみに、この調査対象となったツキノワグマやカワウソ、テンなど哺乳類の生活圏から採取したフンや水のサンプルからは、最大で1グラムあたり80個以上のマイクロプラスチックが見つかっています。これは、ティースプーン1杯のフンに、80個もの小さなプラスチック粒が混じっていたということです。
また、動物の生息地である川の水や森林の土壌からも、私たちがふだん使っているプラスチックと同じ成分(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)が検出されました。
山奥のごみの「出どころ」も実は私たちのすぐ近く

プラスチックごみによる汚染は、単に「環境が汚れている」というだけの話ではありません。
それは、私たちがふだんの暮らしで出したごみが、目に見えないかたちで自然を壊し、私たちの体にもその影響が戻ってきているという証拠でもあるのです。
前項で触れた台湾での調査をもとに、その実態を次の5つの視点にまとめてみました。
①汚染の「出どころ」は私たちのすぐそば、②フンに潜むプラスチック粒の大半はほぼ見えない、③生態系への深刻な影響、④私たちもすでに「食べている」かもしれない、⑤解決のカギは「減らす」と「リサイクルする」。
それぞれ、簡単に説明します。
①汚染の「出どころ」は私たちのすぐそば
レジ袋や、お菓子の包装、壊れたボールペンなどのプラスチックごみ、洗濯の際に流れ出た化学繊維などは、雨に流され、風に飛ばされ、山や森にたどり着きます。
つまり、たとえ山の中で人間が生活していなくても、プラスチックごみだけが自然に入り込んでいるのです。しかも、それが分解されずに残り続けています。
驚くほど小さなマイクロプラスチックから動物の体が受ける影響

②フンに潜むプラスチック粒の大半はほぼ見えない
野生動物のフンの中に含まれていたマイクロプラスチックの多くは、サイズが1ミリ以下で、肉眼ではほとんど見えないほどの大きさです。それらは、植物と一緒に食べられたり、水と一緒に飲み込まれたりして、知らないうちに動物たちの体の中へ入っていたのです。
③生態系への深刻な影響
体内にマイクロプラスチックを溜め込んだ動物たちは、消化がうまくできなかったり、体内の臓器にダメージを受けたりする可能性があります。
また、汚染が続くことで、動物たちの数が減り、植物や昆虫、鳥などを含む「自然のバランス」そのものが崩れてしまう危険もあるのです。
マイクロプラスチックの食物連鎖

④私たちもすでに「食べている」かもしれない
マイクロプラスチックは、小さな魚 → 大型の魚 →人間へと、食物連鎖を通じてつながっていると言われています。
そして実際に、魚介類の内臓のほか、塩、はちみつ、飲み水、空気中のちり、人間の肺や胎盤などからも、マイクロプラスチックが検出されているのです。
⑤解決のカギは「減らす」と「リサイクルする」
マイクロプラスチックは、とても小さく、いったん自然に出てしまうと、あとから集めることはほとんどできません。
だから大切なのは、はじめから減らすこと。そして何より、きちんと回収して、必ずリサイクルすること。使い終わったプラスチックを「ごみ」にせず、もう一度材料に戻し、新しい製品に生まれ変わらせる。この繰り返しこそが、地球を守る力になります。
「使って、捨てる」社会から「使って、集めて、また使う」社会へ。リサイクルを広げることが、未来を守るいちばん確かな道なのです。







