毎日使っているプラスチックは、実は石油からできています。しかしプラスチックから石油のような匂いはしません。それはなぜでしょうか? その仕組みを知ると、プラスチックの見方がきっと変わります。書籍『僕が使ったペットボトルはどこへ行く? 13歳からのサーキュラーエコノミー超入門』より解説します。
※本稿は、木口達也著『僕が使ったペットボトルはどこへ行く? 13歳からのサーキュラーエコノミー超入門』(クロスメディア・パブリッシング)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
身近だけど知らなかった「プラスチックの正体」は?
いまではプラスチックは、私たちの生活に欠かせない素材です。でも、プラスチックが「何からできていて」「どのようにしてつくられているのか」、みなさんはご存じですか?
実はプラスチックは、地中からとれる「石油」からつくられているのです。
「えっ!? 石油からどうやってプラスチックをつくるの?」
そう思った方も多いのではないでしょうか。
では、その仕組みを見てみましょう。プラスチックは、石油→ ナフサ→ モノマー(ブロック)→ ポリマー(鎖)→ ペレット(材料) → プラスチック製品という変化をとげてつくられているのです。
この流れをもう少し詳しく見てみましょう。
石油からプラスチックがつくられる工程

プラスチックの原料となる石油は、何億年も昔の海の生き物や植物が地中で変化してできた、「化石のしずく」とも言われる天然資源です。
その石油を工場で熱して分けることで、「ナフサ」という液体が取り出されます。このナフサこそが、プラスチックの素なのです。
このナフサをもっと高い温度で加熱すると、「モノマー」という、小さな分子が生まれます。この分子をブロックのように何千個、何万個となが〜い鎖のようにつなげてできるのが、「ポリマー」と呼ばれる物質です。
このポリマーは、いったん溶かされて細長く延ばされ、細かく切られることで、「ペレット」という小さな粒になります。このペレットが、工場で溶かされて形を変えられ、コップやボトル、袋などのいろいろなプラスチック製品に生まれ変わるのです。
ちなみに、「モノマー」の「モノ」とは、「1つ」、「ポリマー」の「ポリ」は「たくさん」の意味。「マー」は「単位」という意味です。
なんでプラスチックは石油のにおいがしないの?
ここでみなさんに質問です。
「石油のにおいってガソリンや灯油と同じようなにおいだよね? それなのに、石油からつくられるプラスチックは、なぜにおわないの?」と、ちょっと不思議に思いませんか?
実はその答えには、においというものの正体と、プラスチックの変身のしかたが深く関係しているのです。
ここからしばらくは、「におい」と「プラスチックの性質」という視点で見ていきましょう。
においに関係しているプラスチックの性質

まず、「におい」とは、どのようなものでしょうか?
目に見えないくらい小さな粒(分子)が空気に混じって鼻に届くことで、私たちはにおいを感じます。石油やガソリンは液体で、すぐに空気中にその粒が飛び出します。ですから、私たちは、すぐににおいを感じます。においがするものは、だいたいのものが、空気中に簡単に飛んでいける小さな「においの分子」を持っているんですね。
では、プラスチックはどうかというと、固くて、冷たくて、空気中に何かが飛んでいく感じがないですよね。プラスチックは分子がとても大きくて重いため、においとして飛び出しにくい性質を持っているのです。
つまり、「におわない」のではなく、「においが飛んでこない」というわけです。
プラスチックは石油とまったく別の性質のものになっている

もう少しわかりやすく、別のものを例にして考えてみましょう。
みなさんは、牛乳からチーズができるのを知っていますか?
牛乳は白くてトロッとしています。でもチーズは、固くて形もぜんぜん違いますよね。元の材料は同じでも、つくり方が変わると、別のものになるのです。
プラスチックも同じです。プラスチックは石油からつくられます。でも、石油をそのまま固めているわけではありません。一度、小さく分けて、並べ直して、新しい物質につくり変えているのです。
だからプラスチックは、石油とは違う、別の性質の材料になっていて、石油のようなにおいもしないというわけです。
じゃ、新品のビニールのちょっとツンとしたにおいの正体って?

でも、新品のビニールや、プラスチック製のおもちゃなどから「ちょっとツンとしたにおいがする」と思ったことがありませんか?
実はそれは、プラスチックそのもののにおいではなく、以下のような別のもののにおいなんです。
・プラスチックをつくるときに入れる「薬」のにおい(やわらかくするための添加物など)
・工場で使われたオイルや接着剤のにおい
・包装に使われた印刷インクのにおい
プラスチックが、石油とはまったく違う「におわない物質」に生まれ変わったからこそ、こうした別のもののにおいが感じられるということです。







