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仕事

7日間で突然頭がよくなる! とっておきの思考術

小川仁志(哲学者/山口大学教授)

2015年11月30日 公開 2022年12月15日 更新

7日間のトレーニング

 ここで7日間の概要を説明しておきます。

1日目 社会のことを知る
2日目 哲学の知識を身につける
3日目 哲学の論理パターンを使いこなす
4日目 物の見方を変える
5日目 言葉の意味を膨らませる
6日目 言葉を論理的に整理する
7日目 一言でキャッチーに表現する

 これが7日間のトレーニングのプロセスです。この7日間でいったい何をしようというのか、ごく簡単に説明しておきましょう。
   

 まず1日目ですが、「社会のことを知る」とあるように、文字通り社会のことを知る意義、社会のことを知るための方法をご紹介します。物事の本質をつかむためには、世の中のことがわかっていることが大前提だからです。

 2日目は、「哲学の知識を身につける」です。ここで「げっ!」と思われた方もいるかもしれません。哲学の知識は難しいと思われているからです。しかし、私は哲学知識を簡単に説明する達人です。それはすでに出版した20冊の本の存在が物語っています。ですから、ご安心ください。

 それよりも、なぜ哲学の知識を身につけておかなければならないのかという点が重要です。これはいってみればリテラシーのようなものです。何をするにも最低限のリテラシーがないと太刀打ちできません。文字を知らなければ本が読めない、パソコンの使い方がわからなければ、インターネットも操作できない。それがリテラシーです。

 その意味で、哲学をするにあたって、最低限の哲学知識は不可欠なのです。どうぞご理解いただければと思います。

 さて3日目ですが、ここでは「哲学の論理パターンを使いこなす」という訓練をしていただきます。2日目に紹介した最低限必要と思われる哲学知識の中から、さらに10個を厳選し、詳しく解説しています。というのも、この10個については、単に知っているという域を越えて、使える道具として身につける必要があるからです。

(1)カテゴリー:種類ごとにグループで分ける
(2)主観と客観:主体と客体で区分する
(3)時間と空間:時間軸と空間軸に位置づける
(4)イデア:物事の正体を見抜く
(5)運動として捉える:動いている途中として見る
(6)弁証法:マイナス要素をプラスに転じる
(7)差異として捉える(否定弁証法):差異を重視する
(8)構造主義:構造の中で捉える
(9)因果関係:原因と結果の関係として見る
(10)人間にとっての意味:人間の存在を前提に考える

 4日目は、「物の見方を変える」です。物事の本質を捉えるためには、様々な物の見方ができる必要があります。物事を一面的にしかとらえられない、あるいは常識にとらわれた見方しかできないようでは本質をつかむことはできません。そこで頭をやわらかくする訓練をしようというわけです。

 5日目は、「言葉の意味を膨らませる」という訓練です。対象となっている物事の本質をつかむためには、その言葉の内容を豊かにする必要があります。そのようにイメージを膨らませることによって、いろいろな姿が見えてくるのです。具体的には連想ゲームのようなことをやります。ここで、4日目にやった頭をやわらかくする訓練が生きてくることはいうまでもありません。

 6日目は、「言葉を論理的に整理する」という訓練です。イメージを膨らませて、様々な言葉を関連させた対象を、今度は整理して再構成していく必要があります。その際、3日目に身に付けた10個の哲学概念を役立てます。そして最後は一文にまとめるのです。

 7日目は、「一言で効果的に表現する」という訓練です。つまり、6日目にまとめた一文を、さらに効果的な表現に磨き上げるわけです。そうすることで、本質がより際立ち、哲学らしくなります。別の言い方をすると、賢さが際立つわけです。
   

 以上が7日間のプロセスです。

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