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「集中できない」を10秒で解決 作業療法士が教える“簡単な思考リセット術”

菅原洋平(作業療法士)

2026年04月27日 公開

「集中できない」を10秒で解決 作業療法士が教える“簡単な思考リセット術”

やらなければいけない仕事・課題があるのに、全然集中できない――そんな経験をしたことがある方は多いと思います。そうした状況に陥ったときには、「いったん作業と行動の間に"すき間"を作ることが大切」だと、作業療法士の菅原洋平さんはいいます。

本稿では、集中力が続かないときに簡単に実践できる「思考リセット術」を見ていきましょう。

※本稿は、菅原洋平著『仕事が速い人があたりまえにやっていること』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

脳の暴走を「10秒」で止める必殺技

「やばい!あれこれ気になって、やるべきことに集中できてない!」

そう思ったら、早急にドーパミンを抑えて、本来やるべきことに意識・行動を切り替えましょう。ドーパミンによる欲求行動は、欲求と行動の間に「すき間」をつくることができれば収まります。いったん作業や思考をストップし、席を立って10秒歩き、また元の作業に戻ってみましょう。これだけで、ドーパミン欲求回路の暴走はスーッと消えていきます。

「そんな簡単なことで?」と思うかもしれませんね。このときの脳内では「デフォルトモードネットワーク」が働いています。デフォルトモードネットワークとは、安静にしているときに脳の複数の領域が働いてつくられるネットワークのことで、それまでに得た情報をまとめ、スッキリと整理する役割を担っています。これは、自動車のアイドリングのようなもので、次に動き出すための準備をしている状態でもあります。

逆に、「デフォルトモードネットワーク」の機能が弱まっていると、脳内で情報がぐちゃぐちゃに散らかったような状態になってしまいます。書類やゴミが散らかっているデスクをイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。

そこで、欲求と行動の間に「すき間」をつくって情報から離れることで、この「デフォルトモードネットワーク」を意識的に働かせれば、ドーパミンによる欲求を抑制できるということなのです。

加えて、実は「デフォルトモードネットワーク」が起動すると、創造力やひらめき力が高まることにもつながります。これは、脳内の情報が関連づけられるからです。

たとえば、仕事で「女性の冷え性を改善する商品」の企画を考えていたとしましょう。冷え性についての議論をしていて行き詰まったとき、いったん席を立って歩いていると、頭の中ではこんなことが起こることがあります。

「女性」→「子どもを抱っこしているイメージ」→「乳児が眠いときの反応」→「耳が温かい」→「耳を温めると血流がよくなると聞いた」→「女性のために耳を温める商品はどうか!」

こんな感じで、脳が勝手に周辺情報を関連づけ、別の視点から新しいアイデアが浮かぶことがあります。「たかが、ぶらぶら歩くだけで......」と軽視しがちですが、その効果は侮れないんです!関連づけられ、情報の意味が再評価されることで、同じ情報でも意味が変わり、ひらめきとして自覚されます。

よくクリエイターの方が言う、「リラックスしているときにアイデアがおりてくる」という言葉も、この仕組みを知っていれば納得なのではないでしょうか。集中力を持続したい、ひらめきがほしいときにも、意図的に席を立って、10秒ほどぶらぶら歩いてみるのがおすすめです。

ちなみに、ドーパミンが過剰になっているときは、体に次のようなサインが表れます。これらの変化を見つけたら、「あっ、いま自分の脳がドーパミンに乗っ取られているな」と思うようにしてください!

 

休日に仕事のメールをつい見てしまい、イヤな気分にならない方法

欲求と行動の間に「すき間」をつくって「デフォルトモードネットワーク」を起動する。こうして衝動を抑え、余計な情報を排除する方法は、さまざまな場面で使えます。10秒どころか、一瞬で実践できる方法もあるんです。たとえば、こんなシーンを想像してみてください。

今日は、家族と紅葉を見にドライブ。サービスエリアで車を止めて、トイレ休憩をしようと歩き出したとき、ふと、思ったより時間が経っていることに気づきます。外部の連絡から離れる時間がいつもより長いことに不安を感じたあなたは、メールをチェックしたい衝動にかられます。そこでメールを開いた瞬間、目にする景色は一変します。

「社内で検討しました。来週以降で打ち合わせの時間をいただきたいのですが、ご都合いかがでしょうか」

この文章を見た瞬間に、たちまち周囲の景色が遠ざかっていきます。あなたの頭の中は、提出した企画の内容、先方の反応、それまでのメールの文面から察する態度、来週以降のスケジュールの埋まり具合、次に話をするときの切り出し方などがどんどん湧き出てきて、いっぱいいっぱいに。

家族の問いかけには生返事になり、紅葉を見ても細部を堪能することもできず、帰りの運転はどんなルートで帰ったのかもよく覚えていない――。

こんな経験がある人は、多いのではないでしょうか。とくに仕事に追われている人は、休日でも仕事用のメールやSNSを確認しがち。ドーパミンの「衝動」によってストレスフルな環境から抜け出しづらい傾向があります。

そこで、衝動を感じたら、行動の前に一瞬の「すき間」をつくり、別の行動につなぎ換える訓練をしましょう。たとえば、次のような方法です。

①「やめた!」「キャンセル!」などと頭の中でつぶやく

②お守りを握る、お香をかぐなど簡単にできる動作をする

③真っ白いキャンバスを思い浮かべる

こうしたことをすれば、衝動はすぐに過ぎ去ります。休日に気になったメールも、本当に必要な状況でなければ、「見てみようかな」と思った瞬間に、頭の中で「やめた!」とつぶやいてみてください。その後は「なにかきているかな」という衝動は起こりません。

私の場合、「やめた!」とつぶやくこともありますし、もっと簡単な方法として、自分が電池切れになったようなイメージで、「はぁー」と力なく息を吐いてダラーッとすることもあります。期待に高まって硬くなった体の力が抜けると、そこからまた行動を起こすのが面倒くさくなるので、「これをしなくちゃ」という衝動が弱まります。

また、作業をし続けているときには、アロマオイルを1滴ティッシュペーパーに垂らして手元に置いておくこともあります。衝動的になっているときは息が止まっているので、香りをかぐことで自然に息が吐かれて衝動が収まります。

こうして一瞬の「すき間」をつくるだけで、あなたの脳は余計な情報から解放され、「仕事が速い人」になっていきます。

プロフィール

菅原洋平(すがわら・ようへい)

作業療法士/ユークロニア〔株〕代表取締役社長

ユークロニア株式会社代表。国際医療福祉大学卒業後、作業療法士の免許を取得。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニックで臨床を行なう傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活かした企業研修などを全国で行なう。『努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ』(アスコム)など著書多数。

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