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集中力が劇的に高まる意外な場所は? 自宅にも作れる「サードプレイス」

越川慎司(株式会社クロスリバー代表取締役社長)

2025年10月17日 公開

集中力が劇的に高まる意外な場所は? 自宅にも作れる「サードプレイス」

書籍『一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本』では、高いパフォーマンスを発揮し続けるリーダーは、組織の外に心の"逃げ場"を持っているという共通点があることが明らかにされています。職場でも自宅でもない第3の場所、いわゆる「サードプレイス」を確保しているというのです。

本稿では、20年以上のリーダー経験を持ち、これまでに2万人以上の人材育成に携わってきた越川慎司さんに、ご自身が持つサードプレイスについて、さらに、会社経営、執筆、SNSでの発信など、驚異的なアウトプットを続ける越川さんの行動力の源泉について話を聞きました。

 

集中力が高まる場所とは?

――越川さんは、どのようなサードプレイスを持っていらっしゃるのでしょうか。

【越川】まず一つは、喫茶店ですね。追い詰められたときに行くと、不思議とアイディアが降りてくる。ビジネスのアイディアや出版の企画など、何かを考えるときは喫茶店に行きます。

もう一つは、自宅の中にあります。家族の介護で外に出られないことがあるので、リビングの窓辺に観葉植物を置き、その周りをサードプレイスにしました。植物に水をやりながら近くで過ごすと、なんだか浄化された気持ちになるんです。

実際、植物は光合成で酸素を生み出していますし、調べてみると「緑視率」といって視界に緑が70%以上入ると集中力が上がると言われています。酸素を浴びて、緑に囲まれながらコーヒーを飲んで、本を読む――観葉植物を置いた窓辺が、いまの私にとってのサードプレイスになっています。これは育児や介護をしている方にも参考になるかもしれません。

そして三つ目が「新幹線や飛行機の中」です。私は移動が多いのですが、新幹線や飛行機の中での生産性はとんでもなく高いんですよ。パワーポイントを何十枚も作れるし、原稿もとにかく一番進むのは新幹線の中です。

少し揺れている環境や、周りの目を気にする感覚、そして「何時までに仕上げなければならない」という締め切り効果も働く。そうした条件が重なって、集中力が極端に高まるのだと思います。

 

行動量で周囲に差をつける

――越川さんは会社経営をしながら大学に通い、執筆、YouTubeの発信、さらにご家族の介護もされています。凄まじい行動量だと思います。

【越川】理由はすごくシンプルです。僕は頭が軽いからです。IQが低いからなんです(笑)。頭が良くないからこそ、行動でカバーするしかない。

実は大学受験に3回失敗して、2年浪人しても希望校に行けず、滑り止めの大学に入りました。20代で「頭脳勝負では勝てない」と気づいてしまいました。

でもその時に、行動量では勝てるんじゃないかなとも思ったんです。

以来、アルバイトを17種類経験したり、マイナーなスポーツですが、スカッシュの日本代表になったり。人がやらないことを真っ先にやってみることにしました。良ければ続け、ダメならやめる。その姿勢は大学受験の失敗から生まれたものです。

もう一つは、少し個人的な背景です。実は僕は二卵性の双子だったのですが、兄は生まれる前に亡くなってしまいました。母も健康が不安定な時期があったので、小さい頃から「亡くなった兄の分も、母の分も、自分の分も――3人分のインパクトを残すために、人の3倍行動しなきゃいけない」と、勝手に使命感を持っていたのだと思います。

――使命感を持って動き続ける中で、疲れたり息切れすることはありませんでしたか?

【越川】僕はマグロのような人間なので、止まっているほうが疲れるんですよ。暇で暇でしょうがなくて、トライアスロンまでやっていますからね(笑)。

僕にとって一番の財産はお金でも人間関係でもなく「時間」だと思っています。書籍の中で、管理職の労働時間が増えていることを悲劇として取り上げましたが、それも自分のための時間ですから、それはそれでいいのではないかとも思います。

逆境・挫折を乗り越えた数が、自らのキャリアとなります。管理職は逆境を乗り越えれば成長できるんです。

――たしかに捉え方次第では、チャンスとも言えそうです。

安心・安定の生活が一番成長しないんですよ。超える壁が多いほど成長できるので、管理職という立場は絶対捨てるべきではないものだと思います。

 

著者紹介

越川慎司(こしかわ・しんじ)

株式会社クロスリバー代表取締役社長

2005年に米マイクロソフトへ入社し、後に日本マイクロソフトの業務執行役員としてPowerPoint、Excel、Word、Microsoft Teamsなど、主要プロダクトの事業責任者を歴任。

2017年、株式会社クロスリバーを設立し、全メンバーが週休3日制と複業(専業禁止)を実践する独自の働き方で、これまでに800社以上の業務改善・働き方改革に携わる。教育者としても活動し、京都大学大学院をはじめとする教育機関で教壇に立つ一方、年間400件を超えるオンライン講座を展開。受講者満足度は平均98%を誇り、学んだ内容を実際の行動に移す受講者が95%を超えるなど、確かな成果を上げている。

著書は直近8年間で32冊に上り、『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』(日経BP)や『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は海外でも翻訳・出版されベストセラーとなる。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」ほか、多数のメディア出演実績を持つ。数字に裏打ちされた具体的なノウハウと豊富な実績を基盤に、組織と個人のパフォーマンス最大化を支援し続けている。

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