周囲に期待される人は、会社でどのような振舞い方をしているのか。株式会社クロスリバー代表の越川慎司さんは著書『会社から期待されている人の習慣115』にて、期待されている人たちがおこなっている「信頼を積み上げる」ための習慣を紹介しています。
本稿では同書より、期待されて出世していく人がやっているコミュニケーション術をお届けします。
※本稿は、越川慎司著『会社から期待されている人の習慣115』(ダイヤモンド社)を一部抜粋・編集したものです。
「うなずく」ときの動きが大きい
3万2,000時間の社内会議映像をAI解析した結果、期待されている人の38%が、うなずきの深さが10cm以上であることがわかりました。一般社員で10cm以上うなずいていた人はわずか8%でしたので、比率に大きな差があります。
平均値で比べても、一般社員の平均が5.5cmであるのに対して、期待されている人たちの平均は、さらに4.5~6cmほど深い数字になりました。
「それがどうしたの?」と思われるかもしれませんが、これはコミュニケーションの質を左右する重要な事実です。相手の話を真剣に聞いているつもりでも、それが姿勢として相手に伝わらなければ、「反応が薄い」「何を考えているかわからない」と受け取られてしまいます。
期待されている人たちは大きくうなずくという動作によって、相手への関心や興味を意図的に伝えているのです。
うなずきを増やすだけで会議時間が13%短縮
彼らが何にでも賛成する、という意味ではありません。多くの人は、反対意見を聞いたときに表情が固くなったり、腕を組んでしまったりします。ところが期待されている人たちは反対意見にも軽くうなずいているのです。
これは同意ではなく、「聞いている」という反応のサイン。反応と同意を分けて考えることで、発言者の安心感を保ち、結果として多くの会話や意見が引き出され、その後の意思決定がスムーズに進みます。
実際、218社のブレインストーミング会議で「同意とは別の意味として、うなずきを徹底する」ルールを導入したところ、社内での会議時間が平均13%削減されたデータもあります。意見を遮る人が減り、自然と議論が収束しやすくなったからです。
うなずきの深さが「チームの成果」にもつながる
部下や後輩と話すときは、とくに深いうなずきを意識しているようです。自信のないトーンで話す相手に深くうなずくことで「話しても大丈夫」という安心感を与えていました。
あるメーカーの管理職は、「部下がうまく話せないときほど大きくうなずく」と話していました。すると、発言が途中で止まることがなくなり、会議後の資料修正が減ったそうです。
「うなずきが深い上司のチームは、一般的なチームとくらべて部下の資料作成時間が平均で15%短くなる」という社内分析もありました。
実際、うなずきが深いチームではメンバー同士の会話スピードが速くなり、発言回数が増えます。AIによる音声データ分析によると、会議の発話量がバランスよく分散しているチームほどアジェンダ達成率が高いとわかっています。つまり、うなずきはコミュニケーションを円滑にするだけでなく、チームの成果にもつながっていたのです。
朝の雑談で「具体的な話」をする
期待されている人たちの78%は、朝の雑談で「具体的なこと」から話し始めると、調査によりわかりました。これは一般社員における比率の約7倍です。
なかでも、最初のひと言は目の前にあるものの話から入るのが定石。とくに会話の入口として最も再現性が高かったのが「このコーヒー豆、いいですよね」といった観察コメントでした。
検証実験でも、抽象的な褒め言葉よりも、豆・抽出方法・マグカップといった具体に触れるひと言の方が、業務話題に自然に橋渡しでき、その後(情報共有、打ち合わせや依頼など)につながる確率が約1.4倍に上がることもわかりました。
たとえば、「昨日のデータ連携、落ち着きました?」と尋ねて、相手がひと言返したら「似た事例があるので、午後に、要点だけ3行でまとめたメモを送りますよ」と返す。こうした1分程度で完結する会話を意識していました。
「マイカップ」を使うだけで印象がよくなる
調査では、マイカップを持ち歩く人は周囲から「環境意識が高い」「生活の所作が整っている」と見られやすいという結果も出ています。
使い捨て紙コップ組とマイカップ組の写真をランダム提示し、印象評価をおこなったところ、「信頼できる」「丁寧に仕事をする」に対する平均スコアはマイカップ組がいずれも有意に高く、初対面の人からの相談発生率にも差が出たのです。
丁寧な所作が、仕事に向かう意識を高める
さらに、コーヒーの淹れ方も重要です。相手の好みを覚えておく、先に相手のマグを温めてから注ぐ、最後の1杯分を次の人のために残して豆を補充しておく、抽出口や周囲を布巾でひと拭きしてから離れる......。
12社でおこなった8週間の検証では、これら一連の所作を導入したチームは、朝の時間帯に交わされた内容をメモする量が30%以上増え、56%の人が「タスクマネジメントの意識が向上した」と答えました。
最初のひと言と小さな仕草が、仕事を進めやすくする人脈の土台を作っていたのです。









