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- 『虐幸のくるちゃん』くるみは母親から離れられるのか?作者が語る親子の「癒着と自立」
母親の機嫌をとり、期待に応えようとしてきた少女・くるみは、成長する中で少しずつ「自分の人生」を意識し始める──。
漫画『虐幸のくるちゃん』(木陰ひな田/講談社)では、親から離れることの難しさや、長年続いた親子関係を変えていく過程が丁寧に描かれています。
くるみはこの先、母親との関係とどう向き合っていくのか。作者・木陰ひな田さんに、現在のくるみの心境や物語の展開について伺いました。
思い入れがある意外なエピソード

──ここまでさまざまなエピソードがありましたが、木陰さんご自身が特に思い入れのあるシーンはありますか。
【木陰】 実は、恋愛的な要素を描くのが結構好きなんです。
だから、塚本くんがくるみを呼び止めてくれたシーンは、尋常じゃないくらい力が入りましたね。
──それは意外です。塚本くん、かっこいいですよね!
【木陰】 そうですね(笑)。少女漫画だったら完全にヒーロータイプだなと思いつつ、「いやいや、青年漫画だし、そういう話じゃない」って。担当さんにも修正してもらいながら、なんとか描いていました。
──塚本くんの再登場はありますか?
【木陰】させたいという気持ちは強いです(笑)。
──くるちゃんの同級生といえば、美蕾ちゃんも印象的でした。この作品において、美蕾ちゃんはどんな存在なんでしょうか。
【木陰】 鏡というか、もう一つの可能性のくるみ、別のパラレルワールドのくるみみたいな存在として描きたいと思っていました。
自分と同じような経験をした人の言葉じゃないと、「そうかもしれない」と腑に落ちないことってあると思うんです。
たぶん、第1話や第2話の頃のくるみに、のんちゃんが何か言っても響かなかったと思うんですよね。
でも美蕾ちゃんは、親から虐待を受けていて、くるみも「同じものを抱えている」という感覚がある。だから、その子の言葉や反応はすごく心に残るんだと思います。
もちろん、それだけですぐ人生が変わるわけではないですけど、じわじわ効いてくる薬みたいな存在になればいいなと思って登場してもらいました。
母と娘の物語の行く先は?

──現在、くるちゃんが大学生になるところまで読ませていただきました。中学生の頃と比べると、くるちゃん自身に少しずつ変化が見られるように感じます。
たとえば以前は「お母さんを幸せにしてくれる人と結婚したい」と考えていた一方で、大学生になった今は「今同じことを思おうとすると吐きそうになる」という心境の変化も描かれています。現在くるちゃんは、どのような段階にいるのでしょうか。
【木陰】大学生くらいになると、親に守られるところから一歩出て、自立が少し見えてくる段階なのかなと思っています。
少しずつ、お母さんの人生じゃなくて自分の人生を歩むための気づきを得始めている。でも、まだ全部は気づききれないからこそ痛みも感じている。そういう段階なのかなと思いながら描いています。
気づきそうで、まだ気づききれない。その途中なんだと思っていますね。
──この先、くるみちゃんとお母さんの関係は、より健全な方向へ向かっていくと考えていいのでしょうか。
【木陰】「健全」という言葉には私自身の価値観も入ってしまうので何とも言えないんですけど、私の中で思う健全な方向には向かってほしいという気持ちはあります。
まず、気づけている時点で少し健全になっているのかなという気もしていて。そのあたりは物語のターニングポイントでもあるので、担当さんとも相談しながら考えているところですね。
例えが変かもしれないですけど、さなぎが蝶になる瞬間の痛みみたいな感覚で描いています。
──ここまで親子の関係が密だと、ここから距離を取ること自体が、とても大変そうだなと感じます。
【木陰】 そうですね。母子の共依存というか、癒着が強いので、第三者から見たら「なんで離れないの?」とか「離れればいいじゃん」と簡単に言えると思うんです。
私も第三者だったらそう思うかもしれないですけど、渦中にいると離れるのが本当に難しいんですよね。
その難しさを漫画でどう描けば伝わるのかは、今も考えながら描いているところです。
明るい漫画ではないけれど読んでほしい

──最後に、読者の方や、これから手に取る方へメッセージをお願いします。
【木陰】 明るい漫画ではないですけど、それでも読んでほしいという気持ちが一番です。
好き嫌いが分かれる作品だという自覚はあります。でも、初連載とは思えないくらい心血を注いだ作品でもあるので、その熱量を受け取ってもらえたらうれしいです。
──今すごく話題になっていますし、個人的には実写映画化なんかもあるんじゃないかと思っています。
【木陰】 そうなったら、精いっぱいやった甲斐があったなと思えますね。









