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中野信子「“毒親”という言葉の流行が、苦しむ子どもの心を救っている」



2020年04月08日 公開

中野信子(脳科学者)、鬼塚忠(作家エージェンシー代表)

中野信子

中野信子(なかの・のぶこ)氏は、作家であり、脳科学者と医学博士の肩書を持つ。現在は脳や心理学の研究や執筆活動を精力的に行っている。

科学の視点から人間社会の問題を分かりやすく読み解く語り口で、テレビのコメンテーターとしても活躍しています。その視点から、『毒親〜毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ』(ポプラ社)を上梓しました。

本稿では、著者エージェンシー代表で、かつ自身も『花戦さ』などのヒット作品の著者でもある鬼塚忠さんが、中野さんに「毒親の正体」を聞きました。

 

「いたって普通の両親」でも子どもに傷を負わせる「毒親」になっている可能性

(鬼塚)最近、親子関係に悩まれる方が多く、そういった方々へ何かいいアドバイスをお願いしたくお時間を拝借させていただきました。

(中野)人間の悩みの多くは人間関係と言えるでしょう。他人との人間関係であれば、その人との距離を遠ざけて近寄らないようにすればいいだけのことです。

しかし親との関わりについてはそういかない。関係をすっぱり切ってしまうことができません。会わないとか、遠くへ行ってしまうなど直接的な関係を遠ざかることができても、自分のなかでささやき続ける親のイメージが消えることはありません。

何かをしようとすれば、親の顔が目に浮かんできます。人間にとって親の影響は大きいわけですから、きっかけさえあれば親のことを思い出すのは当然のことです。

そこにわだかまりがあると、これが見えない鎖となってその人の行動を縛ってしまいます。息苦しさや癒されない痛みがそこから発している場合も多いと思います。

私の話になって恐縮ですが、私の両親は平凡な人物でした。その両親とは特に大きな確執があったわけではありませんが、それでも、私もまた子として親から少なからず傷を負いました。なので、世の中の大多数の人は何らかの思いを親に対して抱いているものと考えるのが自然だと思います。

(鬼塚)世の中の多くの人が、親子関係の問題で悩んでいると。中野さんを含めて、まさしくそのようですね。

(中野)子は生まれながらにして子ですが、親は生まれながらにして親ではありません。私たち人間は、子として生まれ、いつしか親となることを期待されるようになり、少しずつ親になる準備をしていきます。ところが親になる準備などそう簡単に出来ません。

人間が哺乳類である以上、子を産む必要な仕組みは、生まれながらにしてすでに備えています。しかし、育児はそうではありません。

育児に必要な情報はあらかじめ与えられておらず、子から親になるまでに学習しなければなりません。ほかの生き物と違って人間は、長い時間かけてゆっくりと親になるので、親になるための学習が不十分になりがちです。

そうしたなかで親御さんたちは、子育てをどうしたらいいか分からなくなってきています。今も、親はわからないまま必死で子育てをしています。

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