お笑いコンビ・真空ジェシカのガクさんによる初のエッセイ集『饅頭以外ぜんぶこわい』(新潮社)が10月28日に発売されました。自称「ビビり」のガクさんが、日常のあらゆる「怖いもの」と向き合って書いた一冊です。刊行記念の記者発表会では、締め切りを守れたのは「一回だけ」という執筆の裏側も明かしました。
エッセイは元トンツカタン・お抹茶に読んでほしい

書籍の出版が決まったときは「売れるわけないだろう。ガクが本を書いて誰が読むんだ」と思ったといいます。相方・川北さんからはまだ反応がないそうで、読んでくれそうかと聞かれると「読まないかも」。それでも「機会があれば。お手すきの際に」と控えめに期待をのぞかせました。
身の回りで読んでほしい人については「お抹茶ですね。元トンツカタンのお抹茶も多分、僕とは全然違うタイプですけど、生きるの下手なタイプだと思うので」と、親しい芸人の名前を挙げました。
『快楽天』でもコラムを連載するガクさんですが、文章を書くのは得意かと聞かれると「得意ではないですね」。『小説新潮』での連載では締め切りをすべて破ってしまったといい、「本当に怒られない締め切りはどれだというのを見極めながら戦いました」と語って、記者たちの笑いを誘いました。
エッセイを書いたことは「お笑いには生きていません」と話すガクさん。
「テレビとかで喋っちゃった話も書いてあるんで、それを丁寧に書くことで、その話は封印、みたいな気持ちで書いた部分もあります。これはもう書いちゃったからテレビではしない、みたいな」
芸人と書き手、二つの仕事でのエピソードの使い分けを明かしてくれました。
本のテーマにちなんで最近怖かったことを聞かれると、「エッチなことはダメですもんね…」と迷った様子を見せつつ、「最近の話ではないですけど」と前置きして、モグライダー・ともしげさんの名前を挙げました。
「根本的な得体の知れなさを感じたのが、昔、営業先でWi-Fiに名前を登録しなきゃいけなくて。本名じゃなくてもいいですよ、みたいなのに、ともしげさんが『ああそうなんだ』って言いながら、ひらがなで『えじぷと』って何の迷いもなく書いたんですよ。あれ、マジで何だったんだっていう」
ガクさんが目の当たりにした、ともしげさんの「得体の知れなさ」に、会場からは笑いが起きました。
ドラマ化するなら監督は今泉力哉さんで、主演は窪塚洋介さん?
エッセイに収録された、中学時代に学校に居場所がなく、インターネット上で友人を作ってやり取りしていたエピソードには、大きな反響があったといいます。ガクさんは「あんまり話せる機会のない話だったんで。オチのある面白い話じゃなかったんで、そういうのを書けたのは良かったなと思いました」と率直に語ります。
同じように学校に居場所がない学生に向けて、メッセージも残しました。
「今の方がネットが発達して、そういうとこで友達を作りやすいと思うんで、いいなって。いっぱいそういうアプリとかもあるでしょうし。当時は身元を明かさずにやりとりするツールがMSN Messengerしかなかったので、(今は)Discordとかいっぱいあっていいなって。それでいいよって思います」
当時のネット上の友人に本が出たことをどう伝えたいかと問われると、「恥ずかしいですね」と照れつつ、「何してるのか単純に気になります。ちゃんと社会でうまくやれているか、それは知りたいですね」と、青春時代を共にした友人たちへの思いを口にしました。
このエピソードはドラマ化を望む声も上がっているそうで、もし実現するなら、監督は本書に書評を寄せた今泉力哉さんがいいと理想を語りました。キャストを聞かれると「窪塚洋介。窪塚さんにお願いしたいと思います」。ガクさん役が窪塚さんか確かめられると「もちろんそうですよ」と言い切り、記者たちからも笑い声が上がりました。
「人生の痛みをマゾになって乗り越えよう」という自己啓発を書いてみたい

終盤、今年のM-1への意気込みを聞かれると、「えーっと…絶対優勝っしょ」と決め顔を見せたガクさん。
書籍には「M-1がこわい」と題し、昨年のM-1でつかみに失敗したエピソードも書かれています。執筆中は「血が出たかと思いました。書きながら、今血が出てるかと思いながら書いていました。書いてほしいんだろ、と思いながら書きました」と、当時を文章にする苦しみを明かしました。
この一節には周囲もあまり触れてこないそうで、「腫れ物のように扱われているかもしれない」と苦笑い。司会者から「頑張ってください」と声をかけられると、「頑張ってくださいじゃないですよ」とツッコミを入れました。
また新しく本を書くなら、「マゾによる啓発本」を書きたいそうです。
「マゾであれば、大体の人生の試練を、マゾとしてその痛みを喜びに変えるっていうことができるような気がするので、人生の痛みをみんなもマゾになって乗り越えようという自己啓発本を書きたいです」
芸人仲間の吉住さんから「SMについて書いてほしい」と言われたことを受けて、次回作の構想を披露してくれました。
今後の目標を聞かれると、「車の免許を取りたい」。もっと長期的な目標をと司会者に問われると、「結構かかりますよ、車の免許」と返しつつ、「少しずつ髪型を変化させていきたい」と答えました。
「金髪おかっぱのおじいさんなんていないじゃないですか。みんなどこかでやめているところがあると思うんですけど、どこでそれをやめたらいいのか今つかみかねてるんで、少しずつ変化させていきたいなと思っています」
トレードマークの金髪おかっぱヘアをネタに、会場をわかせたガクさん。最後は読者に向けて、こう呼びかけました。
「言いたくてもあんまり言えないネガティブなことを、いっぱい書いてるんで。こういうの別に言ってもいいんだ、みたいなことはあると思うので、そういうのはどんどん言っていってほしいなと思います」








