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不眠には“白い食べ物”...漢方に学ぶ「心身を整える食事」4つのポイント

櫻井大典(漢方家、国際中医相談員)

2022年10月20日 公開

不眠には“白い食べ物”...漢方に学ぶ「心身を整える食事」4つのポイント

漢方には、食べ物によって体質や不調を改善する「食養生」があります。健康寿命をのばすためにも、日々の食事をおろそかにせず、上手に食べ物を選んでいきましょう。漢方家の櫻井大典さんが紹介します。

※本稿は、月刊誌『PHP』2022年11月号掲載記事を転載したものです。

 

中医学での治療の原則

中医学(東洋医学)には、古くから「薬食同源」という言葉があります。生薬と食べ物は源が同じで、すべての食べ物には薬と同じような効能があるという意味です。

人間を自然の一部としてとらえる中医学では、季節や地域、環境、体質、体調などに合った食べ物を食べることで、不調を予防、改善し、さらには健康寿命をのばすことができると考えられてきました。

中医学での治療の原則は、体が熱くなりすぎていれば冷まし、冷えていれば温め、足りないものは補い、多すぎるものは取り除くということ。こうして体が本来もつべきバランスを整え、健康な状態にもっていきます。体に不調が起こったときのおすすめの食材をご紹介します。

 

病気を引き起こす3つの要因

中医学では、心身の不調を引き起こす要因は大きく3つあると考えられています。それぞれが過度になったり、逆に不足したりすることで、本来の体のバランスが乱れて健康が損そこなわれます。

1. 外因
「風」「暑さ」「寒さ」「乾燥」「湿気」「火(熱)」の6つの気候変化が人間の適応能力を超こえたときに、この6つが邪気になります。たとえば湿気が「湿邪」になると下痢や食欲不振に、乾燥が「燥邪」になると空咳が出て肺炎を起こすなどです。ウイルスや病原菌も外因に含まれます。

2. 内因
「喜ぶ」「怒る」「思う」「憂う」「悲しむ」「怖がる」「おどろく」の7つの感情が過度になると、不調の原因になることがあります。たとえば怒りが強くなりすぎると、目の充血や頭痛が起こります。遠足の前日にワクワクして眠れなくなること、びっくりして失禁することなども内因にあたります。

3. 不内外因
外因、内因のどちらにも入らないものです。過労、暴飲暴食、運動不足などの生活習慣の乱れのほか、食中毒、疲労、性生活の乱れ、事故によるけが、災害、飢餓などが病気や不調の原因となる場合です。たとえば、ストレスによるうつ症状や、運動不足による肥満などがあります。

 

食事で心身を整えるポイント

食養生では、何を食べるかだけではなく、「どのように食べるか」も大切です。なるべく以下の4つのポイントをおさえた食事をとるようにしましょう。

1. 温かいものを食べる

体温より冷たいものをとると、体は、冷えた体を再び温めようとエネルギーを消耗します。また胃腸が冷えて消化機能が低下すると、下痢や消化不良などの不調の原因にもなります。食べ物や飲み物はなるべく温かいものをとるようにしましょう。

たとえば、野菜をとるときは、蒸したり、スープなどにしたりするのがおすすめです。冷たいものをとったあとは、温かいものをとってバランスを保つようにしましょう。

2. 食事はおなかが空いてから

決まった時間に食事をとることにこだわらなくてもOKです。食欲がないということは、胃腸からの「休みたい」というサインだと考えましょう。おなかが空いていなければ、思い切って食事を抜くという選択肢もありです。

朝に食欲がない人は、夜遅く食べていないかなど、夕方から夜までの食習慣を見直しましょう。長期にわたって食欲がないのは病気かもしれないので、医療機関を受診してください。

3. 揚げ物や甘いものは控える

中医学では栄養や水分を消化吸収する胃腸を大切にします。胃腸に負担をかける油っこいものや甘いものは、なるべく避けましょう。食べ慣れると脳がやみつきになって、見ると食べたくなります。食べ続けることで舌のセンサーが麻痺して、濃い味ばかりを欲しがるようにもなります。

心身の健康のためには、日々口にするものはさっぱりしたものがベター。油っこいものや甘いものはたまに食べる程度にとどめておきましょう。

4. その土地でとれた旬の食材を選ぶ

夏が旬のスイカやトマト、きゅうりなどの野菜は、余分な熱を冷ます作用があり、夏バテ防止に効果的です。一方、冬が旬のショウガやかぼちゃ、ネギなどは、体を温めて冷えを予防してくれます。

このように旬の野菜は、おいしく、栄養価が高いだけでなく、季節ごとの体調変化に応じ、体のバランスを整える作用があります。外国産よりも国産、さらには近隣でとれたものが体に合い、鮮度が高くておいしく食べられます。

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こんな不調には何が効く? おすすめの食材と食べ方

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