M-1グランプリで2年連続で王者に輝いた、令和ロマンの松井ケムリさん。多忙な日々を送りながら、自身の内面については「自己肯定感は高いが、自己評価は低い」「実はくよくよしがち」と意外な分析をしています。
著書『ナマケモノの朝は、午後からはじまる。』(Gakken)を刊行したケムリさんが実践する「くよくよ」との向き合い方や、人との心地よい距離感を保つための考え方をうかがいました。
人によって態度を変えるのは好きじゃない

――本の中で「誰かをなめないって大事」とおっしゃっていましたね。
【ケムリ】なめた態度を取っていた人が偉くなるかもしれないし、なめられないようにするのは生き方として正解だと思います。僕は苦手ですけど。
――人をなめない態度として、ご自分の中で心がけていることはありますか?
【ケムリ】どんだけ知らない人にもちゃんといじられてあげること、流行りの言葉で言えば「すかさない」ことです。
人によって態度を変えることがまず良くないと僕は思っていて、それが人をなめないことにつながるんじゃないかなと思います。「この人ならこれをしてもいいだろう」とあんまり思わないようにしています。
――若いうちはそれができない人のほうが多いのかもしれません。
【ケムリ】不安なんでしょうね、やっぱり自分の立ち位置とかそういったことが。その気持ちもわかります。
――ケムリさんご自身は、将来への不安はなかったんですか?
【ケムリ】不安はありましたが、欲がないんで「仕事がなくなってもいっか」と思っていました。元々そんなに働きたくもなかったので。僕らの別荘もあるし、そっちで暮らせばいっかと。
多分、自分に自信があるんでしょうね。なんとかなってきたから、これからもなんとかなると思ってる。実力があるとかじゃなくて、自己肯定感が高いだけです。
――育ってきた環境の中で、自己肯定感を高めてもらえたきっかけはありますか?
【ケムリ】あんまり実感はないんですよね。
小さなことの積み重ねや、愛されているという自覚だったり。親がサポートしながら、サポートされた感じを与えないようにしてくれたのかもしれないです。自分の力でやってきたように感じているのかも。
「くよくよする性格」に悩んでいるならホラーゲームを?

――一方で、ご自身の性格を「くよくよしがち」ともおっしゃっていますね。
【ケムリ】自己肯定感が高いけど自己評価が低いんですよね。でも、くよくよしている自分も好きなんです。悩んでいるおかげで前に進めている気がしちゃう。仕事のことはくよくよしがちですよ。「あの時あれを何で言っちゃったんだろう」とか。
――それはどれくらいの時間をかけて考えますか?
【ケムリ】最近はありがたいことに忙しいこともあって流れていくスピードが早くて、寝たらあのくよくよ感はなくなっていますね。ただ、悪い記憶が忘れられていくことが怖くて、本当は何かに悩みながら学びたいなと思っています。僕みたいなタイプがくよくよしなくなったら終わりですよ。
失敗を恐れず失敗して次の成長につなげることって大事だと思うんですけど、僕は極力ミスんないように生きたいんです。だからトライの回数が少ないのに、くよくよしなくなったら挑戦して何も考えず帰ってくるやつになってしまう。
――くよくよする性格に悩む人もいると思いますが、どうすればいいでしょう?
【ケムリ】気にせず失敗したらいいと言いたくなるけど、そういうことじゃないんだろうな...。どうしたらいいんだろう。うーん。
でも、勇気だと思うんですよ。一歩前に踏み出す勇気。
だから、勇気をつけるためにホラーゲームをしたらいいと思います!怖いところに自分の操作で入っていかなきゃいけない能動的なマインドのトレーニング。守っていれば安全地帯にいますけど、そんな自分にはサヨナラした方がいいですよ。
趣味がないです。助けてください。
――ちなみに、最近は本屋大賞の本を遡って読んでいらっしゃるとか。
【ケムリ】たしかにどこかでそんなことも言いましたね(笑)本屋大賞作品は『カフネ』までしか読めてないんです。
でも結局、趣味ではないんですよね。仕事になればと思って読んでいるだけで。
――『めぞん一刻』が面白いというお話もされていましたね。
【ケムリ】アニメで全部見ました。好きでしたね。最近はみんなが読んでいるのに知らない漫画が多すぎるので、『北斗の拳』『チ。』『ブルー・ジャイアント』とかも読んでみました。『幽遊白書』も全部読みましたし、『デスノート』や『鬼滅の刃』も読みました。
趣味が本当にないんですよ。休日にやれる楽しみがなくて。もっと言えば何かをして感情が揺れ動くことがあんまりない。何かに夢中になれないんですよね。どうしたら夢中になれるんですかね。
――趣味のない人は、そのことに悩むという話も聞きます。
【ケムリ】趣味探しが趣味なんだろうなと思って。でも趣味がないです。助けてください。
(取材・執筆・撮影:PHPオンライン編集部 片平奈々子)








