もうひとつのメッセージが込められた「こころ文字」(3)静
こころをみつめる
「静」と「動」は、バランスが大切です。
とりあえず行動することは、とても大事です。
とりあえず静かに休むことも、とても大事です。
動いたあとは、ゆっくりと「静」の状態をつくります。
心や体が落ち着き、自分を見つめることができます。
「静」を適度に取り入れることで、「動」が伸びていきます。
バランスがよくなると、心に穏やかさを取り戻せます。
やりたいことは、出会いから見つかる
自分の力20%、応援してくれる人の力80%。
私の場合、こんな比率で生き進んでいます。
23歳から車いすが必要な生活となり、そして25歳で知り合った女性と27歳で結婚しました。妻の利詠です。
平日は自宅のパソコンで建築図面を製作する仕事をしています。休日はおもに「こころ文字」の作成をしています。
この「こころ文字」と出会ったのは2010年。漢字をひらがなで構成している文字があることを教えてくれた、1冊の本です。一気に読破し、読み終えでも心臓の鼓動が聞こえるほど、興奮していました。
「こういう文字を書いてみたいなぁ」
この気持ちは、ちょっとやってみようかなといった軽い感じではなく、「やっと見つけた」という確信です。実際に行動に移せたのは、「みなさんも書いてみてください」という著者の最後の1行があったからです。
自分で字を書いたのは、実に12年ぶりでした。筆を口にくわえ、「じゃ、書いちゃおう」とスタートしました。
自分の心に響く漢字が浮かび、この漢字をじっと眺めます。そうすると、ひらがなが浮かんできます。あるときは瞬間に、あるときは1日とか2日経って。
自分のイメージから、文字の意味をもつひらがなが生まれ出てきます。
自分が楽しんでやっていると、不思議と人が集まってくるんです。で、さらに続けでいると、応援してくれる人が現れるんです。で、もっと楽しんでいると、出会いが出会いを生み、多くの人とつながりができました。
もうひとつのメッセージが込められた「こころ文字」(4)福
ふつうのこと
「幸福」は、特別なことではありません。
特別な人にだけ、訪れるものではありません。
誰でも、普通に得られるものです。
普段通りの暮らしをおくれるのは、「運がいい」ことです。
それに気がつくと「幸福」になります。
何も起きないことがどれほど幸せであるか。
毎日がただ淡々と過ぎていくことが、「幸福の本質」かもしれません。
浦上秀樹(うらかみ・ひでき)
1973年2月9日 埼玉県上尾市生まれ、春日部市在住。21歳の時、筋肉が徐々に減少していく進行性の病気、遠位型(えんいがた)ミオパチーを発症。すべての感覚はあるものの、動かしたい意思があっても腕・足など動かすことに筋肉を必要とする部分をほとんど動かせない状態。2010年、ロに筆をくわえで「こころ文字」を始める。