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うしろ姿に差が出る! できる男のビジネススーツ

唐澤理恵(パーソナルデザイン代表取締役)

2014年01月28日 公開 2021年08月24日 更新

ビジネススーツは濃紺、ダークグレイが正解

テレビドラマ 『半沢直樹』の登場人物は、ほとんどがダークスーツでした。ニューヨークのウォールストリートでもロンドンのシティでも、金融業界のビジネスマンはほとんどがダークスーツであり、その他業種でもダークスーツはもっとも堅実な装いです。

クールビズ、ウォームビスに伴い、ビジネスマンも明るい色を身につけるようになってきた日本ですが、まだまだ周囲はダークで塗り固められています。

では、なぜビジネススーツにおいて、濃紺、ダーククレイが主流になったのでしょうか。ちなみに紺色は、「ロイヤルネイビー」というイギリスの海軍の制服から始まったといわれます。そこから名前をとって、紺色はネイビーと呼ばれます。

紺色は「誠実」という印象が強く、英国紳士の間で重宝された色ともいえますが、ビジネスにおいては、限りなく黒に近い濃紺が主流です。

黒はフォーマルとして確立していますが、黒に白を若干加えたのがダークグレイです。つまり、濃紺もダークグレイも無彩色に限りなく近い色です。

無彩色と有彩色では、心理的に及ぼす影響が大きく違います。

有彩色といえば、小さいころ見つけては喜んだ虹を思い出してください。赤、赤味の橙、黄橙、黄色、黄緑、緑、青緑、黄青、青、青紫、紫の順番に、色相が変化していきます。

これらの色を円形に並べたときに、対角線上に位置する赤と緑、紫と黄色などの2色の組み合わせは、補色と呼ばれる反対色です。この2つを並べることで波長が戦い、インパクトのある色合わせになります。街で喧嘩をしている人に注目が集まるのと同じです。

そのため、人目を引き付けたい国旗や企業ロゴマーク、看板などに多く使われる組み合わせでもあります。

私は十数年間、多くの人にファッションスタイリングをしてきましたが、クライアントそれぞれに好きな色の傾向が必ずあります。自分で買い物をすると、思わず同じ色を手にとってしまい、クローゼットを眺めると同じ色ばかりがそこに存在しているという悩みを抱えている人は多く、私もその1人です。

人間は、自分が育った環境に存在する色を集め、それに囲まれることで、心か落ち着くのかもしれません。そしてその色というのは、人それぞれです。

では、誰もが虹を見ると幸せな気持ちになるのはなぜでしょうか。

色相環の補色同士を並べると、見る人にインパクトを与えると書きましたが、これらの色をすべて混ぜると何色になると思いますか? 実は、無彩色であるグレイになります。それぞれの色が持つ刺激を呑みこんでしまった色が、グレイというわけです。

虹というのは反対色同士の集まりです。

つまり、視覚では虹の中のそれぞれの色の調和を美しく捉えていますか、実は体には"グレイ"として伝達されているのではないでしょうか。すべての刺激を呑みこんだ色、グレイは、それぞれの波長の違いか打ち消され、調和して、見る人の心を落ち着かせるのかもしれません。グレイは、個性がない色ともいえます。

そう、グレイをはじめとする無彩色には、人の心を落ち着かせる効果があるのです。色々な好みをもつ他人同士が集まって協力するビジネスシーンにおいて、面積の広いビジネススーツは個性の出る有彩色ではなく、無彩色を身につけ、面積の狭いⅤゾーンで有彩色を使い個性を出すというのは、理に適ったことであると思えます。

[ "定番"は信じて間違いなし ]

 

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