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「同じアジア系なのに」中国人が海外で存在感を示す理由

安積陽子(あさかようこ)

2019年02月15日 公開 2020年11月13日 更新

「同じアジア系なのに」中国人が海外で存在感を示す理由

<<グローバルビジネスにおいて、「見た目」の重要性はいうまでもないだろう。時間をかけてお互いの距離を縮めるコミニケーションが得意な日本人に対して、外国とくに欧米人は、出会い頭の一瞬でその人の能力を読みとる習慣がある。

そのため、日本の政治家や経営者が海外に出向くと、存在感を示せず思ったような成果を得られなかったり、誤解を与えてしまうことがある。そんな「残念な」日本人にならないためにはどうすればいいか。

アメリカ・ニューヨークにて、エグゼクティブや政治家、アナウンサー、文化人、実業家らを対象にニューヨーク最新のインプレッション・マネジメント(印象管理)のトレーニングを提供してきた安積陽子氏が、近著『CLASS ACT(クラス・アクト)』にて、印象を変えるふるまいと装いのテクニックを述べている。

そのなかでも同じアジア人なのに、海外で鮮烈な印象を残していく中国人のビジネスパーソンの演出戦略について触れている。その一節をここで紹介する。>>

※本稿は、『CLASS ACT(クラス・アクト) 世界のビジネスエリートが必ず身につける「見た目」の教養』より抜粋・編集したものです)
 

「見た目」は自分で磨くしかない

「always fully prepared(つねに万全すぎるぐらいの準備をしておく)」

これは、いつ大きなチャンスが巡ってくるかわからないビジネスパーソンにとって、つねに心に留めておきたい格言です。では、その準備とはどのようなものなのでしょうか。

世界最大規模の財団のトップを務めたM氏の言葉が参考になります。

「人の見た目は、最大の資産になることもあれば、最大の負債になることもある。必要なときに備えて日頃から十分に準備をし、負債のリスクは一刻も早く、そして確実に取り除いておくべきである」

これは、M氏自身が、ドレスコードに対して無知であったためにビジネスやソーシャルの場で大恥をかいた経験や、一定の人びとが共有している不文律のルールを知らなかったがゆえに、知らぬ間に評価を下げられた若かりし頃の苦い経験から得た教訓だといいます。

だからこそ、外見を負債とせず、資産として築き上げる準備を怠るなと説いているのです。M氏はこの言葉を、息子さんたちが幼い頃から、折に触れて伝えてきたそうです。

同様の言葉は、M氏と同じような叩き上げの成功者からも多く聞きます。

上層階級で生まれ育った人ならば、装いや振る舞いに対する知識や知恵は、その家で代々受け継がれる文化資産として継承されているでしょう。

しかし、そういう人は稀です。多くの人びとは、自分自身で努力をして、学んでいくしかありません。
 

外見と持ち物から「段取り力」「美意識」が読み取られている

では、なぜ外見が成功を左右するのでしょうか。

私がこれまで出会ってきたグローバルリーダーたちは、けっしてファッションオタクでもなければ、とりわけ神経質というわけでもありません。

彼らが相手の外見に見出そうとしているのは、ファッションセンスではありません。

彼らはつねに高い基準を自分に課して、自らの外見をストイックに管理しているからこそ、外見が成功の決め手となることを熟知しています。そして、その能力がビジネスにもつながるものと考えているわけです。

たとえば、大雨が降っているのに、雨に強くない高級な靴を履いている人がいたとします。彼は出掛ける前に、天気予報をチェックしなかったのでしょう。

これだと、先を見通して準備をする「段取り力」が低いといわざるをえません。ましてや最高級の靴を身に着けながら、ビニール傘を差していたとしたら、その「美意識」にも疑問符がつきます。

また、お座敷での会食で、指先の擦れた古い靴下を穿いているのでは、やはり「段取り力」や「美意識」に欠ける人物であると思われてしまうでしょう。

持ち物には、その人の本質が表れます。靴や鞄といった小物も含め、自分が身に着けているものを他者が見たときに、どのような印象をもたれるでしょうか。

第三者の目で一つひとつ吟味しましょう。

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存在感がないのは体格のせいではない

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