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デジタルデトックスのすすめ〔2〕僕もデトックスを実際にやってみた

2014年02月19日 公開

米田智彦(編集者)

《『デジタルデトックスのすすめ 「つながり疲れ」を感じたら読む本』より》
写真撮影:伊藤菜衣子/イラスト:加納徳博

 

<生活習慣を見直そう>

スマホやパソコンの使用時間をメモで視覚化

 ネット依存症の治療現場でも、いきなりすべてを遮断するのではなく、まずは自分がどのような状況にあるかを知るために記録をつけることから始めるそうです。ということで、僕もどのような状態にあるかを知るために記録をつけることにし、1日にネットに接続した時間や内容をノートや手帳にメモしてみることから始めました。

 やり方は単純です。ネットを使ったら、その都度「スマホで5分」とか「パソコンで2時間」とかメモしていくだけです。

 これにより、自分がどれだけ1日のなかでオンラインに時間を割いていたかが視覚化されます。僕が実際に書き出したメモをもとにグラフ化してみたものが下の図です。

 

就寝2時間前に携帯とパソコンの電源を切る

 さきの記録をつけたなかで、僕が真っ先に改善したいと思ったことが「睡眠不足」でした。就寝ギリギリまでパソコンの画面をのぞき、ベッドに入ってからもスマホをやっていたので、眠れなくなるのは当然といえば、当然なのですが……。

 健康を維持するためには良質な睡眠が欠かせないことは、みなさんご存じでしょう。

 仕事を終えて帰宅し、家事や食事、入浴などをひと通り終えたあと、テレビを見る方もいらっしゃるでしょう。僕の場合は、YouTube、ニコニコ動画といった動画サイトを見たり、各種SNSやニュースの「まとめサイト」をチェックして寝る、というのがひとときの楽しみでした。

 ですが、就寝2時間前までにテレビ、パソコン、スマホの電源を切って、心を落ち着かせて眠りに入っていくという「導入」がとても重要なことが骨身に沁みたのです。

 忙しいビジネスマンにとって、就寝2時間前に電源を切るというのはなかなかハードルが高いかもしれませんが、実際にやってみると、寝付きはもちろん、寝起きがずいぶんとすっきりするのでおすすめです。

 また、スマホのアラームを目覚ましにしている方も多いと思いますが、思い切って目覚まし時計に替えてみましょう。

 僕もiPhoneを購入してからというもの、ここ5、6年は、毎朝iPhoneのアラームで目覚めていました。

 朦朧とした意識のなか、手でガサゴソとスマホを探す。そして、アラームを止めて、時刻を確認する。そうすると、夜の間に届いていたショートメールやSNSのメッセージのアラートが画面に映っています。ですので、すぐさまメールとSNSのチェックが始まってしまうのです。僕はそれを行ってからベッドを出る、という日常を送っていました。そして電車を待つ間も電車に乗ってからもスマホやメールやSNSのチェックをやっていたのです。

 起きたその瞬間からデジタルライフをスタートさせてずいぶん忙しくしていたわけですが、よく考えれば、しっかり良質な睡眠をとって、30分早く起きて、すっきりした頭で処理する方がよっぽど効率も質も良いですよね。

 寝るときはしっかり寝る。そして、すっきり目覚める。そのためにデジタル環境を整えることから入ってみましょう。

 

アナログメディアに接する習慣を取り入れてみる

 仕事のためにネットでニュースを見ることを習慣にしている方もいるのではないでしょうか。僕はデトックスを敢行するにあたり、思い切ってネットでニュースをチェックするのをやめて、朝、通勤時に通りかかる、キオスクやコンビニで紙の新聞を買って読んでみることにしました。

 すると、これが意外にも新鮮な驚きがありました。「ネットのニュースは新聞からの転載だから同じだ」と思うことなかれ、です。ネットには出ていない地域の話題や、小さいけれど興味深い記事がたくさんあり、それらと出会う偶然性を持つことができます。また、ネットでは、情報にある種のフィルターをかけています。自分がほしい情報や、似た傾向の記事ばかりに偏りがちです。ネットとはまた違った、偶然性とニッチな記事との出会いが紙メディアにはあります。

 

 デジタルデトックスは、単に情報を遮断する、奪われていた時間を取り戻すというだけではなく、自分の行動を見つめ直し、再発見するという側面もあります。

 それから、正直に告白すると、ネットでの情報収集に慣れきっていた僕は、ここ数年本を最初から最後まで通しで読めなくなっていました。編集者にもかかわらずです。

 ある日、あれほど好きだった翻訳小説がびっくりするほど読めなくなっている自分に気づき、愕然としたのです。学生時代、1行1行惜しむように読んでいたのに今ではできなくなっています。ネットのスピード感に慣れてしまって、結論をすぐに求めてしまうようになり、途中で関連情報をネットで調べてしまったりして、長い文章を読む堪え性がなくなっていたのです。

 しかし、小説しかりノンフィクションしかり、「情報摂取」ではなく、「読書体験」をすることこそが読書の醍醐味だと僕は思っています。ネットに慣れてしまうと、長い文章を読むのが億劫になり、「行間を読む」ような想像力を働かせる力が弱ってきていると感じている人もいるかもしれません。

 僕たちには、長い時間を経てこそ体感できるものがあるのです。古来より「物語」というのが連綿と存在するのは、言葉で説明してしまえば「なんだ、そんなことか」と反発したり、知ったような顔をしてしまうことを、長い時間をかけて潜在意識に刷り込み「追体験」させ、まるで「人生の予行演習」をする――つまり、五感でビリビリと経験するような感覚を呼び起こすためです。

 頭では割り切れないけれど、心にじわじわと迫ってくるような感覚。それは情報摂取ではなく読書体験でこそ得られるものです。

 その感覚を再び取り戻すこともデジタルデトックスの効用のひとつです。

 

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