心に残る営業とは?お客様の心を動かす「エピソード営業」
2014年08月21日 公開 2021年09月13日 更新
目の前の営業マンが一生懸命、新製品の説明をしています。その製品の特長や他社との違いなど詳しく話してくれるのですが、さっぱり興味がわきません。
ところが、その製品を使った人の体験談が出てきたとたん、興味がわいてきた。このようにエピソードというのは、相手に大きなインパクトを与えるとともに、長く記憶に残るものなのです。本稿では、具体例とともに「エピソード営業」について紹介する。
※本稿は、山内緑著『エピソード営業』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。
モノ提案からコト提案へ
「エピソード営業とは何か?」をお話しする前に、まず、知っておいてほしいことがあります。そもそも営業提案は、大きく2つに分けられます。
モノ提案とコト提案です。モノ提案は商品というモノを提案します。一方、コト提案とはその商品を使って、どんなに快適で、どんなに便利で、どんなに楽しく、どんなに素晴らしいコトができるのか、コトの価値を提案します。
実はほとんどの営業マンはモノ提案をしています。モノの提案というより、モノの説明といったほうがいいかもしれません。お客様ヘモノの特長(スペック)を話すのです。モノ提案とコト提案の違いは、主語を見るとよくわかります。
次にあげた文章は助詞の「は「が」「も」がついている名詞、つまり「ホームベーカリー」「水切り棚」「すそ」が主語になっています。3つとも商品というモノが主語ですので、モノ提案です。
【モノ提案】
・このホームベーカリーは24時間、生地を自然発酵させ、もっちりとした食感が特長です。
・この水切り棚が、スイッチひとつで上に上かって、キャビネットの中に隠れます。
・このスカートのすそも裁ち切りです。特殊加工を施してあるので、すそ上げが必要ありません。
これをコト提案にすると、どうなるのでしょうか。主語をお客様の山内様とし、助詞の「が」をつけて書き換えてみます。
【コト提案】
・山内様がもっちりとした食感のパンを楽しめるよう、ホームベーカリーが生地を24時間自然発酵させます。
・山内様が食器を洗い終えたあと、すっきりするよう、水切り棚がスイッチひとつで上に上がって、キャビネットの中に隠れます。
・山内様が軽やかに、おしゃれにお召しいただけるよう、スカートのすそは特殊加工を施して、すそ上げをしていません。
主語がモノ(商品)からお客様の山内様に変わり、お客様がどんなに楽しいか、どんなに便利か、どんなに素敵か、コトの価値を提案していることに気づくでしょう。このように、モノ提案ではなく、コト提案をするのがすなわち、エピソード営業なのです。