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月曜日が憂うつなのは休日に問題が...日本人に足りない「休むために仕事」する意識

越川慎司(株式会社クロスリバー代表取締役)

2024年11月15日 公開 2024年12月16日 更新

月曜日が憂うつなのは休日に問題が...日本人に足りない「休むために仕事」する意識

「働き方改革」の取り組みがスタートして5年、あなたの働き方は本当に変わったでしょうか。きちんと「休日」をとっていますか? 「休日」に、何をして過ごしていますか? 日本人は、「休むこと」も「休日の過ごし方」も下手であると、800社以上の働き方改革を支援してきた越川慎司氏は指摘します。

世界のトップビジネスパーソンが実践している、仕事のパフォーマンスを上げる「休み方」とは、どのようなものなのでしょうか。

※本稿は越川慎司著『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部を抜粋編集したものです。

 

休日があるのはなんのため?

あなたは、「休日」に何をしていますか?

日本のビジネスパーソンは、休日を「休息」の時間と考えて、身体を休めたり、ストレスの発散を心がけていますが、必ずしも思い通りにはなっていません。休みが明けても、疲れは依然として残ったままで、ストレスも解消されていない......と感じている人がたくさんいると思います。

多くのビジネスパーソンが「ブルーマンデー」(憂鬱な月曜日)を迎えてしまうのは、休日の「休み方」に問題があるのです。

世界のトップクラスのビジネスパーソンとの交流の中で、私が最もインパクトを受けたのが、彼らの休日を大事にしている姿勢です。

日本のビジネスパーソンは、休日を休息の時間と考えて、平日の疲れを癒すことを優先しがちですが、彼らにとっては、休日こそが主役であり、平日の仕事は大事な休日のためにある......と考えているのです。

「休みにヨットやスキーをやっているのではない。ヨットやスキーをやるために、働いているんだ」と話すなど、エグゼクティブは仕事よりも休日の楽しみを優先して考えており、ハッキリと「仕事は究極の暇つぶし」と言い切る人もいます。

日本企業のエリートが同じことを言ったら、「遊び半分で仕事をしている」と猛烈なバッシングを受けるかもしれませんが、欧米のグローバル企業の場合は、「それはそうだよね」と好意的に受け取れられています。

日本と欧米では、休日に対する考え方が根本的に異なるのです。

 

「疲れてから休む」と「疲れる前に休む」

彼らの行動を観察していると、疲れたら休むのではなく、疲れる前に休むという「温存戦略」を徹底していることがわかりました。

日本のビジネスパーソンの多くは、仕事の進捗状況と相談しながら、「今週は休めそうだな」とか「この感じだと休日出勤だな」と判断していますが、彼らは週末に休むことを前提にして、仕事の効率を高めています。

休めたら休むのではなく、休むために仕事をしているから、自然とハイパフォーマンスを発揮できるだけでなく、疲れが蓄積する前に休むことができるのです。

もう一つ注目したのは、彼らの休日の過ごし方です。

日本のビジネスパーソンは、体力を削るように仕事をしていますから、週末が近づくにつれてグッタリとしてきて、土日の休みを疲労回復のための「休息の時間」と考えがちですが、彼らは週末にスポーツや趣味、家族とのキャンプやバーベキューを楽しむなど、アクティブな休日を過ごしていたのです。

日本のビジネスパーソンが「インドア」(屋内)で過ごすのに対して、世界の一流は「アウトドア」(屋外)を好む傾向があります。

日本人が「静」によって疲労を回復させているのに対して、彼らは「動」によっても、心身のリフレッシュを図っているのです。

マイクロソフトには、約300人のバイスプレジデントがいますが、彼らの休日の過ごし方を観察してみると、大きく2つの共通点があることに気づきました。

一つは、土日の休日を、次の1週間を成功に導くための準備期間と考えて「自己再生」(本来の自分を取り戻す)を意識していること。

もう一つは、スポーツや趣味、家族や友人とのバーベキューやキャンプなどを楽しむことで、身体と心、脳のリフレッシュを図り、次の1週間に向けて、エネルギーを「チャージ」(充電)していることです。

彼らは休日を休息のための時間ではなく、仕事で成果を上げるための「原動力」と考えているのです。

私が注目したのは、彼らがそれを「楽しんでやっている」ことです。仕事を成功に導くための準備というと、多くの人が「苦行」や「修行」を連想してウンザリした気持ちになると思いますが、マイクロソフトのエリートたちは、スポーツや趣味を楽しみ、休日を満喫することで、自己再生とエネルギー・チャージという2つの目的を実現していたのです。

 

仕事と私生活、両方の満足度を上げる

彼らが休日に実践しているのは、次のような5つのことです。

【実践①】休日と仕事を切り離す

休日と仕事を完全に切り離すことを意識しています。仕事のことは頭の片隅に追いやって、スポーツや趣味など、目の前の楽しさに集中することを徹底しています。仕事を忘れることで、脳と心と身体を「完全リセット」しているのです。

【実践②】エネルギーを再充電して、創造性や集中力を高める

休日は怠けるための時間ではなく、自分の中のエネルギーを再充電して、創造性や集中力を高めるための機会と考えています。充実した休日を楽しむことで、ストレス・レベルを下げ、長期的なパフォーマンスの向上を目指しています。

【実践③】デジタルデトックスの時間を作る

休日には、デジタルデバイスから距離を置くことを重視しています。メールやSNSの確認を控えることで、仕事の圧力から解放され、リラックスした気分で休日を満喫できるといいます。必要な連絡は事前に済ませるか、休日明けに対応することを周知徹底しています。

【実践④】健康管理を徹底する

平日だけでなく、休日も健康管理に気を配っています。「健康的な食事」と「十分な睡眠」、「適度な運動」は、彼らのルーティンの一部になっており、これらを徹底することで、仕事中の高いエネルギーレベルを維持し、ストレスに強い身体を保つことを意識しています。エグゼクティブの多くが、休日に軽い有酸素運動をしています。

【実践⑤】良好な人間関係の維持

親しい友人や家族と一緒に過ごす時間を重要視しています。人とのつながりや信頼関係、愛情を深める行動は、オキシトシンの分泌を促します。オキシトシンは、「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」とも呼ばれ、脳内にオキシトシンが分泌されると、長く続く幸福感を得ることができます。世界の一流は、気心の知れた友人や家族と一緒に時間を過ごすことで、長期的な幸福感を手に入れているのです。

こうした考え方から、彼らエグゼクティブが目指しているのは、「ワーク・ライフ・ハーモニー」(仕事と生活の調和)の実現であることがわかります。

頑張って仕事をすると、プライベート(私生活)が犠牲になります。私生活を優先させると、仕事がおろそかになります。

日本のビジネスパーソンは、仕事と私生活を「対立構造」で考えがちですが、マイクロソフトのエグゼクティブは、仕事が個人の成長を促し、個人の生活が仕事のパフォーマンス向上に役立つ......と考えています。彼らは、仕事と私生活の両方のクオリティを上げて、両方の満足度を高めることを目指しているのです。

著者紹介

越川慎司(こしかわ・しんじ)

株式会社クロスリバー 代表取締役

国内外の通信会社に勤務した後、2005年にマイクロソフト米国本社に入社。業務執行役員としてPowerPointやExcel、Microsoft Teamsなどの事業責任者を歴任する。2017年に株式会社クロスリバーを設立。世界各地に分散したメンバーが週休3日・リモートワーク・複業(専業禁止)をしながら800社以上の働き方改革を支援。京都大学など教育機関で講師を務める他、企業や団体のアドバイザーを務める。オンライン講演・講座は年間300件以上、受講者満足度は平均96%。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などメディア出演多数。Voicy「トップ5%社員の習慣ラジオ」が好評放送中。

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