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ジョブズ、J・K・ローリング...優れたリーダーの失敗談にみる「成功の秘訣」

佐々木繁範(経営コンサルタント/スピーチライター)

2015年03月27日 公開 2023年02月01日 更新

 

人生の秘密に迫る

失敗は、自分らしく生きることを教えてくれ、その方向に導くために存在する。だから、あらゆる失敗から学ぶことが大事。何が自分を最高に輝かせてくれるかは、自分の心が知っている。心の声に耳を傾け、それに従って生きれば、必ず上手くいく。

私たちは、誰でも人生で、成功と失敗の両方を経験します。成功している時は、あらゆる物事が順調に進んでいくため、周囲の精神的なサポートなしでも、楽々と前に進んでいくことができます。しかし、失敗した時は、そうではありません。

なぜ、そんな状態になってしまったのか、嘆き悲しみ、延々と原因を探しては、さらに落ち込む、負のスパイラルにはまりがちです。特に、成功を続けてきたエリートが、大きな失敗をしてしまった時は、悩みは深く、時に、立ち直ることができないこともあります。

オプラが言うように、自分に課す目標を高めていけばいくほど、いつかそれに届かない事態が発生することは、避けられないことです。そんな時、いかにその状態から抜け出すか、そしてその経験から何を学ぶかが、人生の成功の鍵を握っている。

3人の優れたリーダーたちは、そんなことを私たちに伝えようとしているのです。

彼らは皆、一度ならず、大きな失敗を犯しています。しかし、そこから立ち直って、偉業を成し遂げることに成功しています。

世の中の優れたリーダーは、そのほとんどが、こうした経験をしているのではないでしょうか。

そのための秘訣は何か? それは、失敗の後、ひとしきり悲しんだり、悔やんだりした後に、心の声に耳を澄ますということです。「本当は、何を大切にしたかったのか?」「本当は、どうなったらいいのか?」「本当は、自分は何をしたいのか?」

自分の心に、このように何度も問うていくうちに、新しい方向に進むための糸口が見つかるのです。そして、自分の心が本当に望むことに取り組む時、私たちはすごい力を発揮して、どんな困難にも立ち向かうことができるのです。

そうして過去を振り返ってみると、失敗だと思い込んでいたことが、実は自分が心から望むことを見つけるためのきっかけとなっていたことに気づきます。

「あの失敗があったからこそ、自分のこと、他人のこと、そして新しい何かに気づくことができた。それが今の活き活きした自分を実現させてくれた」。そう気づいた時、失敗はもはや失敗ではなくなり、成功にとって不可欠な1つのプロセスになるのです。

人生は、「挑戦→失敗→学習→挑戦」、こんなサイクルを何度も繰り返しながら成果をあげ、より大きな目的に向かって進んでいくもの。

人生の目的は、最初からは明らかにはわからないが、このプロセスを何度も繰り返しながら、次第にその全貌が明らかになってくる。

これが人生の秘密であり、幸せになる秘訣である。

優れたリーダーが失敗を語ることを通じて私たちに伝えようとしていることは、まさにこのこと。私は彼らのスピーチを改めて分析することで、そう思えました。

そして、このような重要な気づきを与えてくれる失敗談を多くのリーダーが語るようになれば、若者は勇気を持ち、組織の、ひいては日本の未来も変わる――そう確信したのです。

 

著者紹介

佐々木繁範(ささき・しげのり)

ロジック・アンド・エモーション代表、経営コンサルタント/エグゼクティブ・コーチ

1963年、福岡県生まれ。1987年、同志社大学経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。1990年、ソニ一に入社。盛田昭夫会長の財界活助を補佐しながらスピーチ・ライティングを学ぶ。 1995年から97年まで、ハーバード・ケネディスクールに留学し、公共経営学修士号を取得。帰国後、出井伸之社長の戦略スタッフ兼スピーチ・ライターとして、ソニーの全社改革を補佐する。その後、様々な規模・業種の企業現場で経営改革に携わり、2009年に経営コンサルタントとして独立。経営者やリーダーの潜在能力を引きだして、リーダーシップの発揮をサポートしている。
著書に「思いが伝わる、心が動く スピーチの教科書」(ダイヤモンド社)がある。交通遺児育英会心塾のスピーチ講師を務める他、中央大学ビジネススクール戦略経営アカデミーなど、大学でもリーダーシップ・コミュニケーションを教えている。

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