「印象で得する人」になるために必要な3つのこと
2015年04月21日 公開 2024年12月16日 更新
※本稿は三坂健著『「印象」で得する人、損する人』より一部抜粋・編集したものです
ビジネスは「印象」で動いている
出張で海外に行くこともたびたびありますが、どの空港に行っても景色はさほど変わりません。飛行機を降りると、そこにはブランド免税店が軒を連ね、お金持ち風の人たちが時計やアクセサリーを楽しそうに選んでいる姿が目に飛び込んできます。
それらのお店で扱われているブランドを展開する企業の多くは、フランスやイタリアに拠点を置いています。フランスやイタリアは、こうした企業が付加価値の高い商品を海外に提供することで経済的に多くのメリットを受けています。
そして同時にこうした高級ブランドのイメージは、フランスやイタリアといった国のイメージにもプラスの効果を与えているといえます。
ではこのブランドというものはどのようにつくられていくのでしょうか?
その問いに対して元・ディズニーのCEOだったマイケル・アイズナー氏は、「ブランドは生きた存在であり、いくつものジェスチャーの積み重ねで成り立っている」と語ったといいます。
つまり、素晴らしいジェスチャーを繰り返せば、ブランドはどんどん育っていくということです。反対に、ブランドのイメージを傷つけるようなジェスチャーをしてしまうと、衰退していくということでもあります。
ディズニーランドでゲスト(来園者)がミッキーを見かけて駆け寄っていったら、ミッキーはどういう態度をとってくれるでしょうか。
きっと、近づいてきてくれて、手を振ったり、ポーズを決めてくれるに違いありません。こうした態度を示された人は「やっぱりミッキーだよね!」と言いながらその場を後にし、また次の出会いを楽しみにしながら、地元の家族に「ミッキーに会えたよ! 嬉しい!」と報告をするはずです。
こうして人々の頭の中にミッキーのイメージが形成されていき、それがブランドに育つ、という意味で「いくつものジェスチャーの積み重ね」と言ったに違いありません。
以前、アジアのとある都市を訪問した際、空港に降り立った私は、ミッキーに似通ったマスコットを発見したのですが……。
何かのリゾートの宣伝を行なっているようでしたが、近寄ってみると、なんとマスコットに後ずさりされてしまったのです! 気を取り直して、写真を撮るジェスチャーをすると、そのマスコットはかわいらしいポーズを決めるどころか、「気をつけ!」をしたのです……。
これではPRには逆効果。
「なんだかなあ……」
という少し残念な気持ちだけが残り、なんともいえない気分でその場を後にした苦い思い出です。
ブランドというのは「イメージの総和」と言っても過言ではありません。
「あの商品は素晴らしい」と人々が口をそろえて言えば、その商品は素晴らしいものに思えてくるのです。そしてイメージは一つひとつのジェスチャーの繰り返しで形成されています。
「ジェスチャー」→「イメージ」→「ジェスチャー」→「イメージ」……
その繰り返しがブランドを形成していて、どこかでこの連鎖が途絶えるとブランド力は当然ながら低下してしまいます。
たとえば、スターバックスコーヒーのイメージとして、
「おいしいコーヒーが飲める」
「香りがいい」
「スタッフが笑顔」
などが挙げられると思いますが、どこのスターバックスに行っても同様の価値がもたらされることによって、イメージがより強固になっていきます。
しかし、どこかの店舗のスタッフがイメージを壊してしまうような態度をとってしまえば、当然ながら、そのサービスを受けた人の中でのスターバックスのブランド力は低下します。そして、そのような負のイメージを持つ人が増えていくなら、そのブランド力は一気に失墜してしまうでしょう。
このように、ブランドとはイメージ、いわば印象の総和であり、一つひとつのジェスチャーで成り立っており、その連鎖がよりブランドを強固にしている、と言うことができます。