<対談>あさのあつこ×小松エメル/「夢を叶えるための秘訣」とは?
2015年06月10日 公開 2024年12月16日 更新
《PHPスペシャル7月号『夢を叶えたいのなら、自分に言い訳をしないこと』より》
20年以上抱き続けた夢を叶え、作家として活躍を続けるあさのさん。あさのさんが選考委員を務める賞で念願の作家デビューを果たした小松さん。あさのさんの『桜舞う』(「おいち不思議がたり」シリーズ)の文庫解説を小松さんが書かれたご縁でこのたび初対面と相成ったお二人の対談の一部をご紹介します。
夢があることで、自分だけの生き方ができる
今は夢を持ちにくい時代?
小松 あさのさんの、江戸を舞台にした「おいち不思議がたり」シリーズの主人公・おいちは、医者になりたいという夢を持っている女の子ですね。
あさの 江戸時代だから、夢を阻むものがわかりやすいんですよね。女であることや、身分も。おいちはそれに対して挑んでいく。勝てるとはかぎらないけれど、敵は見えているし、戦い方はわかる。現代って、何に阻まれてるかわからないってところがあると思うんですね。見えないというのは、しんどいだろうなって思います。
小松 今って、夢を持ちにくい時代でもあるのかもしれないですね。
あさの そうですよね。夢って、いろんなところで使われる言葉だし、時に安っぽく感じられてしまうこともあるかもしれないんですけど、人を支える大きな柱であることは間違いない。
小松 おいちも、決して暮らしは楽ではないけれど、それを苦にすることなくいきいきとしているのは、夢があるからかなと思います。
あさの 夢があることで、自分だけの生き方ができるんじゃないかなと思うんです。たとえ叶わなかったとしても。
時にはあきらめることも必要
小松 何をやるにしても、モノにならないとしても、やり続けることも大事ですよね。信じるって言うとまたちょっと違うかもしれないんですけど。興味のあることや好きなこと、やりたいと思うことは、人生の中でずっと続けていけたらいいんじゃないかなと思います。
あさの 一方で、必要ないと思ったものは潔く捨てたり、時にはあきらめることも必要かなと思います。一つの夢を手放すと、その空いたところにまた新しい夢が入ってくるかもしれない。
小松 私は何事も自分の中で整理してしまうタイプなので、知らないうちに切り捨ててきたものもあるかもしれません。美術を志していたときの道具も、高校を卒業するときに捨てちゃいましたし。捨てることで、次に向かえますね。
あさの かっこいいですね。迷いがないっていうのは、性格や根性がどうとかではなくて、その人の核にあるものをしっかり見つめられているからでしょうか。「自分にとって一番は何か」を考えるということなのかもしれませんね。
(取材:PHPスペシャル編集部)
※対談の全文は『PHPスペシャル』7月号に掲載しています。