女性のための老子<3>「含徳の厚きは赤子に比す」
2015年07月10日 公開 2024年12月16日 更新
《PHPスペシャル2015年8月号より》
赤ん坊の徳
さあ今月も、紀元前の古代より女性の柔軟さに大きな価値を見いだしていた『老子』から、現代に生きる女性の、時代を生き抜くポイントを学んでみましょう。今月は「赤ん坊の徳」です。
『老子』では、自然な生き方を身につけて、深い徳を内に秘めた人を「まるで赤ん坊のようだ」と言っています。無心な赤ん坊のことは、毒虫も刺さないし、猛獣も爪をかけないというのです。生まれたままの無邪気さには、野生動物も敵対の気持ちを持たないのでしょうね。これは私たち女子が厳しい現代社会を生きぬくための、一つの大きなヒントになります。戦いに負けずに強く生きぬくのでなく、相手が敵対心を起こさない、無邪気かつ無為自然な生き方を身につけられたら、戦わずして勝てるのです。
気の調和で、生き生きと
考えてみれば、赤ん坊は一日中泣いても声がかれることがありません。元気いっぱいの赤ん坊にも、実は泣き方のこつがあるようです。泣きっぱなしではなく、一時、泣いて、ふと気を入れる間があるのです。赤ん坊はこの絶妙な呼吸法を自然に身につけているので、一日泣いても疲れないのです。
現代の忙しい社会に生きる女性も、この絶妙な呼吸法、生き方を身につけたら、仕事でも、人生でも、もっと生き生き楽しく過ごせることでしょう。「この仕事は終わりまでやらなくちゃ」と力まないで、疲れたらちょっと休んで、気を入れるのです。気分転換のコーヒーブレイクもいいし、お気に入りのランチメニューに初夏のサラダを添える、そんな工夫でもいいのです。
この上手な気の入れ方、休み方を身につけたら、仕事をしても、家事をしても、もっと自由自在に、女性の柔軟さを生かして、生き生きと活躍できることでしょう。
<著者紹介>
早島妙聴
(はやしま・みょうちょう)
東京都生まれ。一般財団法人日本タオイズム協会理事長・道家<道>学院 副学長。お年寄りから子供まで、わかりやすいタオイズムを伝え、健康で幸せな人生に活かすタオイズムの真髄を伝えている。