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女性のための老子<5>「曲なれば則ち全うす」

早島妙聴(一般財団法人日本タオイズム協会理事長/道家<道>学院副学長)

2015年07月14日 公開 2024年12月16日 更新

PHPスペシャル2015年10月号より》

 

<今月のTAOの言葉>

〈きょく〉なれば則〈すなわ〉ち全うす

曲がっているのが良い

 

真っ直ぐでないのが良い

 さあ、女性のための老子、今月は第22章「曲なれば則ち全うす」、つまり「曲がっているのが良い」というちょっと不思議なTAOのお話です。

 私たちは子供の頃から、人生は横道にそれずに、真っ直ぐ道を踏み外さずに生きるのが最良の生き方だと、教えられてきました。ですが、老子の語る無為自然の宇宙の法則から見れば、ちょっと曲がっているのが自然で良いのです。森に育つ木について考えてみれば、真っ直ぐすくすくと成長した木は、便利なので、すぐ切り倒されて人間に利用されてしまいます。ところが、幹があちらへ曲がったり、こちらへ曲がったりして、節が多いような木は、材木になりにくいので、だれも見向きもしません。そのために、老木になるまで切り倒されず、本来の木としての長い寿命を全うすることができるのです。

 

曲がっているから幸せ

 人の一生も同じです。才能に溢あ ふれて、それを惜しみなく発揮することは、良いことのようですが、有用な人材として認められ、早くから出世競争の波にもまれ、多くの人に妬まれたり、利用されたりする人生は決して幸せとはいえません。また、全く欠点のない、非の打ち所のないように見える人は、回りの人をかえって緊張させます。なぜなら、本当に完璧な人など、世の中にはいないからです。

 自分が曲がっている、欠けていることを、すなおに受けいれて、ありのままにいる人こそが、多くの人と協力し、支え合って、大きな仕事を完成させたり、幸せな家庭を築いたりできるのです。人もちょっと曲がっているのが良いのです。足りないところがあってこそ補ってくれる人が現れる。そう知れば、少し曲がっていて、少し足りない自分のことを、もっと好きになれるのではないでしょうか。

<著者紹介>

早島妙聴
(​はやしま・みょうちょう)

東京都生まれ。一般財団法人日本タオイズム協会理事長・道家<道>学院 副学長。お年寄りから子供まで、わかりやすいタオイズムを伝え、健康で幸せな人生に活かすタオイズムの真髄を伝えている。

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