女の浮気はなぜ、バレないのか? いろいろな生物の貞操観念
2016年06月17日 公開 2024年12月16日 更新
『オトコとオンナの生物学』より
生物学的に考察してみると……
男はつい言ってしまう
男女ともに浮気はするに決まっているけれど、バレるのはたいてい男性だ。
女性の浮気はあまりバレない。なんでだろう?
僕が思うに、男の人はすぐ友達に話してしまうからだ。若い女性と浮気をしているのは友達に対する自慢なのだ。それが回り回って、女房の耳に入ってしまう。バカだね。
でも女性は、そんなアホなことしない。女の人は自分の不利になるようなことはできるだけ避ける。浮気がバレて、離婚することになった場合、慰謝料を取られる。女の人は、そんなの、絶対イヤだから、浮気はこっそりひっそりする。
そもそも女性はダンナが気遣いを怠らないで、しっかり向き合っていれば、浮気なんかほとんどしないものだ。でも男性は、相手はけっこう誰でもいいところがあって、チャンスがあれば、浮気に一直線!?で、自慢して、バレる。
やっぱりバカだ。
男の人にとって、モテて、いろいろな女性とつき合うことは、一種のステータスなのだ。だから「これまで15人とつき合った」なんてことが自慢話になる。
でも「私は25歳までに15人の男とつき合ったの。すごいでしょ」と女の人が言ったりすると、周りはかなり引くと思う。多くの男性とつき合ったり関係を持つことが、女性にはあまりステータスにならないんだね。このあたりは今は不公平かもしれないけれど、将来の社会では変わるかもね。
女のほうが性に積極的?
意外に思うかもしれないけれど、ゴリラ、チンパンジー、それからヒトなどの霊長類では、オスよりむしろメスのほうが性的な冒険心は強いんだ。オスは手近なところでメスをつかまえて、交尾するけれど、メスはけっこう大胆によその群れに入り込んで、オスと関係を持ったりする。
オスは他の群れに入ると警戒されるが、メスはあまり警戒されないことに加え、自分の群れだと、兄と妹、おじと姪などの近親交配になる可能性もある。
メスが群れを出るのは、近親交配を避ける意味もあるかもしれない。近親交配を繰り返していると、近交弱勢といって、体の弱い個体が生まれる可能性が高くなる。
反対に、違う群れの異性と交わって生まれた子供は優秀になる可能性が高まる。たとえば、アメリカのオバマ大統領はケニアからアメリカに留学した黒人の父親とカンザス州出身の白人の母親との間に生まれた、ハイブリッドだ。オバマは学業に優れ、弁護士などを経て、大統領にまで上り詰めている。
日本のタレントでも、最近はハイブリッドの人が多い。女性だと美人で、勉強や仕事ができる人が多い印象を受ける。
日本人も今や国際結婚する人は珍しくないけれど、男性の場合は日本にいる外国人と結婚して、日本で結婚生活を送っている人が圧倒的に多い。
反対に女性は外国へ行って、その国の男性と結婚するケースがかなり多い。
『私の夫はマサイ戦士』(永松真紀、新潮文庫)という本があるように、アフリカのマサイ族の男性に嫁ぐ日本人女性もいるくらいだ。
霊長類では、メスのほうが性的な冒険心は強くて、メスは外へ飛び出していくことが多いのだ。
ダーウィンとウェッジウッドの意外な関係
ただ一方では、近親との結婚で優れた遺伝子が受けつがれて、非常に優秀な人が出てくることもある。
進化論で有名なダーウィンの一族と陶磁器で有名なウェッジウッドの一族は、いとこ同士で何組も結婚している。チャールズ・ダーウィンの妻はウェッジウッド二世の娘のエマだ。でも、悪い遺伝病になった人がいたという話はほとんど聞かない。むしろ反対に、銀行家や科学者、技術者として成功している人が多い。
だから、一概に近親交配が悪いとはいえないけれど、病気の遺伝子があると、遺伝病になりやすいので、一般的には避けた方が賢明だ。
昔は近親婚は珍しくなかった。おじと姪の結婚もあったしね。
でも、今の日本では、おじと姪は結婚できない。現在の民法では、四親等以上離れていないと結婚できない。おじと姪は三親等だからダメなんだ。いとこ同士は四親等だから結婚できるんだけど、最近はあまり聞かなくなった。