なぜ、 アクティブラーニングか~世界が求める「3つの能力」を育む
2016年07月16日 公開 2024年12月16日 更新
アクティブラーニング(AL)とは、自ら課題を発見し、その解決に向けて主体的・協働的に学ぶこと。2014年末の文部科学大臣諮問および中央教育審議会答申によって、日本の教育はALへと舵をきった。PHP研究所刊『この一冊でわかる! アクティブラーニング』(小山英樹、峯下隆志、鈴木建生著)では、学校から企業まで、より多くの実践事例を通して、ALを取り入れた授業のポイントを解説しているが、今回は、ALで育む3つのキーコンピテンシーについて、本書より一部抜粋してご紹介する。
講義型授業からAL型授業へ
子どもたちの可能性を広げるために
「アクティブラーニング」という言葉が独り歩きしている感がありますが、一気にこの言葉が日本に広まったのは、2014 年11月20日の文部科学省の中央教育審議会への諮問「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」、同12月22日の高大接続答申によります。
私は文科省の回し者ではありませんが、今、日本が挑もうとしている教育改革の方向に間違いはないと思っています。大局から見れば見るほど、その確信は強くなります。本来、日本が持っており、明治維新~日露・日清・第2次世界大戦~戦後の復興・高度経済成長という流れの中で失った教育文化を取り戻そうとしているとも言えます。
ただ、志を持って従来からの授業を続けようとしている教員を否定したり、教員や学校に過度な負担をかけたりすることは避けなくてはなりません。その上で高大接続改革も、教育課程改革も妥協なくやりきるべきだ、私はそう考えています。それが、急速に労働者人口が減少して生産力が低下していく日本という国を維持・発展させていく大切な戦略だからです。そして同時にその方向が、一人ひとりの子どもたちの夢実現や幸福に結び付くと確信するからです。
こうした考え方に基づいて設計される新しい時代にふさわしい教育は、自立した人間として多様な他者と協働しながら創造的に生きていく能力、何事にも主体的に取り組もうとする意欲や多様性を尊重する態度、他者と協働するためのリーダーシップやチームワークやコミュニケーションの能力、豊かな感性や優しさ、思いやりなどの豊かな人間性といった能力を育もうとしています。
教育者は、教育の力を信じているはずです。今、私たちが行っている教育は、子どもたちの未来の可能性を左右すると……。だとしたら、私たちは「できる、できない」を脇に置いて、未来から逆算した、子どもたちの可能性を広げるための教育を明日から始める必要があります。だからこそ、アクティブラーニングなのです。