保険にはどのような種類がある?
「生命保険」と聞くと、どういうイメージがありますか?
「生命保険=死亡するともらえる保険」と考える方が多いかもしれません。でも、実は保険には死亡保険以外にふたつの機能があります。
それは、「医療」「貯蓄」です。
生命保険は、「人」にかかる保険全般をいいます。医療も貯蓄もすべて人にかかわるものなので「生命保険」というわけです。ちなみに、人間ではなく、家や車などの「もの」にかかる保険は「損害保険」(損保)と言います。
生命保険にもいろいろな商品がありますが、どのようなものに加入すればいいでしょうか?
段階を追って考えると、独身の頃は、医療保険に加入しておけばいいでしょう。基本的には死亡保険は必要ないと思います。
次の段階として、結婚してお子さんができたら、遺された家族のために「死亡保険」を考える必要があります。
では、貯蓄はどうでしょう?
以前は貯蓄用として、子どものための「学資保険」に加入することもありましたが、今は貯蓄としての保険に加入するうまみは、あまりありません。なぜなら、現在、貯蓄型保険の予定利率はものすごく低く、また途中解約すると元本割れする商品などもあり、もうリスクしかないからです。
貯蓄をしたいのであれば、生命保険ではなく、家計の管理をしましょう。さらに、少し増やしたいのなら、投資信託や確定拠出年金、NISA、積立投信をおすすめします。ドルやユーロなどの外貨建保険もありますが、そのときの為替によって大きく変わってしまうので、安定はしません。
貯蓄型と掛け捨て型、どちらを選ぶ?
保険の支払い方法には、「貯蓄型タイプ」と「掛け捨てタイプ」があります。
掛け捨てタイプは、解約してもお金は一切戻ってきません。
一方、貯蓄型タイプは途中で解約した場合、お金が一部戻ってきます。貯蓄性がある分、掛け捨てタイプより月の保険料は割高です。
これだけを聞くと、貯蓄型タイプのほうがお金も貯められて、死亡した場合にも保障がついていてお得なのでは? と思うかもしれません。実際、保険屋さんは「たとえば貯蓄型タイプなら、100万円が30年後に120万円になります。さらに亡くなった場合には、死亡保険として200万円もついてきます。一石二鳥ですよ」といって貯蓄型タイプをすすめます。
たしかに100万円は、30年後に120万円にはなるでしょう。でも、30年後の120万円の価値は、今の120万円と同じ価値でしょうか?
もし30年後にインフレが起こっていたとしたら、100万円の価値自体が落ちています。ですから、たとえ120万円に増えていたとしても、価値としては今の時代の100万円と変わらない、という可能性もおおいにあります。
さらに、月1万円の貯蓄型タイプの保険内容をよく見てみると、6000円は貯蓄ですが、4000円分は「掛け捨て」の商品です。
しかも、同じ保障内容の商品に月2500円の掛け捨てタイプで加入することができるのです。
セットにすると4000円の保障内容が、掛け捨てだと2500円で買える、というわけです。
あなただったらどちらを選びますか?
同じ1万円を使うなら、2500円の掛け捨てタイプに加入して、残りの7500円を自分で貯めたほうがお得ではないでしょうか。
これまで「掛け捨てはもったいない」「だって、毎月払っていても何も貯まらないし……」と思っていた方。必要なところだけを掛け捨て型で買ったほうが、貯蓄型よりも実はお得なこともあるのです。
ですから、割安な掛け捨てタイプの商品に加入し、浮いたお金を自分で貯金に回してはいかがでしょうか。
※本記事は 横山光昭著『「貧乏老後」にならないためのお金の新常識』(PHP文庫)より一部を抜粋編集したものです。