セブン‒イレブン、なぜ沖縄進出が最後だったか~その最強の立地戦略を探る!
2017年04月17日 公開 2024年12月16日 更新
セブン‒イレブン、なぜ沖縄進出が最後だったか
セブン‒イレブンが2018年に沖縄県に出店する方針を固めた、というニュースが報じられました。
業界1位のセブン‒イレブンですが、実は全国47都道府県すべてに進出しているわけではありません。ファミリーマートもローソンもすでに全都道府県に出店を果たしていますが、セブン‒イレブンだけは沖縄県への出店がこれまでされていませんでした。
残り1県になったのも最近のことで、その前の鳥取県への出店は2015年10月、青森県が2015年6月、高知県が2015年3月、そもそも四国に進出したのも2013年3月の香川県が最初で、ほんの数年前まではセブン‒イレブンのない県はかなりの数あったのです。
セブン‒イレブンは集中出店方式(ドミナント方式)に則って出店しています。お弁当などは「製造工場から3時間以内に店舗に届かなければならない」決まりなので、そのための工場建設、インフラ整備に時間がかかります。
そして、工場やインフラが整ったタイミングで一気に数店舗を同時オープンさせます。この方法で出店を続けているので、今までまったくなかった地域に、ある日突然複数のセブン‒イレブンがオープンする、なんてことがあるのです。
そしてこれが重要なのですが、集中出店方式の他にも、セブン‒イレブンが出店先を決めるときに目安にしているものがあります。それが「人口量」です。実はセブン‒イレブンは、人口量の多い地域ではそれに比例して店舗数も多いという相関関係が顕著です。
沖縄県は、物流がネックになっていたことが出店の遅れた大きな理由と思いますが、鳥取県や四国は、人口が全国でも最下位近くです。日本で最も人口が多いのは東京都ですが、都内でセブン‒イレブンが多く出店している市区町村はどこだと思いますか? 答えは足立区、大田区、世田谷区、江戸川区です。これらの区は、都内で最も人口の多い区です。
ここで図を見てください。これは東京都の市区町村の人口と、コンビニの出店数の相関関係を表したものです。統計的に比例関係にあるかを調べるのが相関関係です。横軸が市場規模、つまり人口数で、縦軸が店舗数です。セブン‒イレブン、ローソン、ファミリーマートで比較してみました。
「人口が多い地域に店舗数が多い」、その相関関係が100%の場合を1とすると、セブン‒イレブンは0.764なので80%ぐらい、つまり8割は人口の多いところに集中して出店していることがわかります。
それに比べて、ローソンとファミリーマートは0.349と0.248なので30%ぐらい。人口が多いところに出店している割合は半分以下しかありません。
セブン‒イレブンがいかに徹底して人口の多いところに出店しているかがわかります。これは23区だけで調べた図ですが、都道府県ごとに調べてみても、この結果は顕著に表れています。「人口の多いところに着実にお店を出す」という戦略を徹底しているのが、セブン‒イレブンなのです。