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社会

入社3年という大切な時期に 力を持て余す若手社員たち

豊田義博(リクルートワークス研究所主幹研究員)

2017年05月21日 公開 2017年05月22日 更新

良質な「仕事の型」を身につけるためには

新卒で会社に入ってからの3年間は、働くということに適応し、自身の「仕事の型」を身に着ける大切な期間です。

この3年間は、「働くこと」との向き合い方を決めます。「働くって、楽しい」と思えるのか、「働くとは、苦痛でしかない」と思ってしまうのかで、その後の社会人人生のありようを大きく変えることになります。

「仕事の型」も重要です。人には誰にも、得意なこと、不得意なことがあり、それによって、仕事の進め方が異なってきます。そして、得意なことを得意と自覚し、不得意なことも自覚したうえで、それにどう対処するかという方法論を身につける人と、得意でもないのに得意と思い込んでしまったり、不得意なのにそれなりにできていると認識してしまう人とでは、仕事の質に大きな差がでます。

仕事ができる、仕事ができない、という評価は、そこに起因します。「仕事の型」は、それを大きく左右するもの。そして、この「仕事の型」の原型は、最初の3年で出来上がります。

仕事の型は、どう出来上がっていくのか。それは、すべて経験によるものです。3年間に携わる仕事を通して自分の中に形成されていきます。仕事というバッターボックスにたくさん立ち、いろんなことを試して、うまくいったこと、うまくいかなかったり失敗したこと、褒められたこと、怒られたことを通して、自分の得意、不得意を知り、不得意なことへの対処方法を身につけ、自分の仕事の型を創り上げていくのです。

しかし、仕事の型は、わかりにくいものです。人それぞれであり、正解がありません。

型といっても形のない見えないものだけに、自身の型がいいのか悪いのかの判断もなかなかできません。

さらに厄介なことに、出来上がっている仕事の型の良し悪しと、新人・若手の頃の仕事の成果には、あまり関係がないのです。

新人営業なのに、いきなり初受注を上げるなどして、周りを驚かせるような人が、その後伸び悩んだり、最初の3年間ぱっとしなかったのに、ある時から急速に力を発揮する人がいるものです。若かりし頃の成果は、まぐれ当たりだったり、上司や先輩の陰の力が大きかったりしますので、新人・若手の本当の力を表していないケースもあります。

大切なのは、成果を上げたかどうかではなく、成果に至るプロセスから何を学び、自分の型としていけるかです。成功よりも失敗に学ぶもののほうが大きいとよく言いますが、型作りにも同じことがいえます。上司に言われるがまま動いてうまくいくより、自分なりの考えを試して、うまくいかなかったことのほうが、大きな学びにつながります。

そのように試行錯誤を重ね、内省を繰り返している人は、自分の持てる力をフルに使って、前向きに仕事をしているはずです。新人・若手の中に、持てる力を出せていない、仕事に前向きに向かえていない人がたくさんいるという状況は、とても危機的です。

 

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