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「お願い」が苦手な人が「頼み上手」になるコツ、教えます。

2011年10月25日 公開

福田 健 ( 話し方研究所 代表 )

 《 福田 健:著『世界一役に立つ 「話し方」の授業』より 》
 

 これは、話し方の「特別授業」です。
 授業は、講師と受講者との双方向のやり取りを通して進められます。
 受講者は次の4人――
  ・青山久美子(クミコさん)社会人になったばかり。生命保険会社の営業をしている。
  ・前田大輔(ダイスケさん)入社6年の29歳。旅行会社でクライアントに企画を提案する仕事を担当している。
  ・武田慎一(タケダ部長)45歳。中堅商社の広報部長。
  ・三浦志穂(シホさん)主婦から職場に復帰して1年。8年くらいのブランクがある。
 それぞれ、コミュニケーションでちょっとした悩みを抱えています。
 特別授業はLESSON1~9まで行われました。ここではその一部をご紹介します。

【LESSON 8‐1】

相手が喜ぶ頼み方、嫌がる頼み方

 みなさん、こんにちは。今回みなさんにお話ししようと思っているのは、「頼み上手になるコツ」についてです。
 人に頼み事をするのが苦手という人は、結構多いですよね。そういう人は、本当は人に頼んだほうがいいことをついつい自分で背負い込んでしまいます。その結果、納期に間に合わなかったり、ムリをして体調を崩してしまうこともあります。
 だから頼み下手の人は、一生懸命がんばっているし、他人に気を遣っているわりに、周りの人からはあまり評価されません。「頼み下手は、世渡り下手」なんです。

 みなさんの中に、頼むのが下手、苦手という人はいますか。
 

〔ダイスケさん〕  僕、こう見えて結構頼み下手だと思います。口では、「自分でやったほうが速いから」なんて言っていても、実は「こんな頼み事をすると、相手は嫌な気分になるんじゃないか」とか「それくらいのことは自分でやれと言われたらどうしよう」とが、そんなことが頭をよぎって人に頼れないところがあるんです。

 なるほど。頼み下手の人は、「頼み事をすると、相手は嫌な気分になるんじゃないか」という意識が強いようですね。
 頼み上手になるための第一歩は、「頼み事は相手に迷惑をかける」という先入観を捨てることだと思います。人は必ずしも、頼み事をされて嫌な気分になるとは限りません。むしろうれしいときもあるものです。
 「ほかの仕事は誰でもできるけれど、この部分を任せられるのはあなたしかいないんです。あなたにやってほしいんです」
 と言われたら、嫌な気分になるでしょうか?
 「自分は頼りにされているんだ」
 とうれしくなるはずです。

 頼み事をするのが上手な人というのは、頼まれた相手が「よし、がんばるぞ」と喜んでしまうような頼み方ができる人です。頼んだ自分も楽になるし、相手も意気に感じてその物事に取り組んでくれる。「自分も得をするし、相手にも喜んでもらえる」という頼み方ができるわけです。

 ここが今日最初のポイントです。
  POIT 1
  頼み上手な人は、自分も得をするし、相手にも喜んでもらえる頼み方ができる

 では、相手に喜んでもらえる頼み方をするには、どうすればいいのでしょうか。大きく2つのやり方があります。

 1つは、いまも述べたように、相手に「自分の力が必要とされているんだ」と感じてもらえるような頼み方をすることです。
 「これをお願いできるのはあなたしかいません」
 「この間題を解決できるのは誰かと考えたときに、真っ先にあなたのことが浮かびました」
 「私のことを助けてください」
 といったひと言が殺し文句になります。

 もう1つは、その頼み事を引き受けるメリットを相手にきちんと提示することです。
 たとえば上司や先輩が若手に仕事を頼むときには、比較的単純作業が多いですよね。若手社員は立場上、頼み事を引き受けざるを得ないわけですが、心の中では、
 「俺だってほかにも仕事をたくさん抱えているのに、何でこんなつまんない仕事をやらなくちゃいけないんだよ」
 と不満いっぱいなものです。みなさんも経験あると思います。
 けれども上司や先輩が若手に頼み事をするときに、こんなひと言を添えることができたら、若手の気持ちは大きく変わってくると思います。
 「この仕事、単純作業ではあるんだけど、会社の業務の流れを把撞する上ではすごく勉強になるよ。俺も若い頃、この仕事に取り組むことで仕事の全体像をつかむことができたんだ。忙しいところ大変だろうけど、よろしく頼む」
 一見つまらなく見える仕事ほど、その仕事に取り組むことのメリットを伝えることが大切になるのです。ただし「これを頼むのは、あなたのためでもあるのだから」といった恩着せがましい頼み方をすると、かえってマイナスになるので気をつけたほうがいいですね。

 頼み事をするときには「誰にお願いするのか」という人選も大切になります。仕事の難易度や向き不向きなどを考えながら、「この人だったらやりがいを感じて取り組んでくれるのではないか」という人を選んで頼むことが、相手に心地よく引き受けてもらうためのカギとなるのです。

 ではワ-クです。
  WORK1
  人の頼み方見て、我が頼み方直せトレーニング

 職場で仕事をしていると、社員がほかの社員に頼み事をしている場面を見ることが多いと思います。その様子を観察しながら、その人の頼み方の参考になる部分と改善点をチェック。自分自身が頼み事をするときのヒントにしてください。

〔クミコさん〕  私の上司は頼み事をするときに、「君、どうせ暇だろう?」とか「ほかに空いているのがいないから、君頼むよ」といった言い方をするんです。そういう言い方をされると、実際に暇でも本当にイヤな気分になります。

 そうそう、そういう「悪い頼み方」をチェックして、自分は絶対にしないことです。「人のふり見て、我がふり直せ」ですね。
 また人に物事を頼むときには、頼み事が終わった後のフォローのひと言も大切ですね。  「あなたにやってもらって助かりました」
 「おかげさまで無事終わらせることができました。感謝しています」
 などのひと言があれば、相手も「ちょっと大変だったけど、やってよかったな」という気持ちになるものです。頼むだけ頼んで後は知らん顔、なんてことにならないようにしてください。



fukuda100.jpg福田 健 (ふくだ たけし)
山梨県甲府市生まれ。1961年、中央大学法学部卒業後、大和運輸株式会社(現在のヤマト運輸)に入社。1967年、言論科学研究所入所。1983年、株式会社話し方研究所を設立、同所長を経て、現在、会長を務める。これからの時代のコミュニケーションのとり方について、研究・指導に当たる。特に民間企業、官公庁での講座・講演活動を多く展開し、研究所主催の「話し方講座」も実施している。
主な著書に『「場の空気」が読める人、読めない人』(PHP新書)『「ほめる力」がすべてを決める!』(PHPビジネス新書)『人は「話し方」で9割変わる』『女性は「話し方」で9割変わる』(以上、経済界)など多数。



書籍紹介

book-hanasikata.jpg世界一役に立つ「話し方」の授業
福田 健 著
税込価格 1,260円(本体価格1,200円)

「話し方」のカリスマとして知られる著者。その伝説の講義を、ついに紙上で完全再現! 講師と参加者の対話で、とにかくわかりやすい・すぐに役に立つ授業を展開します。 「緊張してしまう」「言いたいことが伝わらない」など、話し方の悩みは多いもの。本書はそんなあらゆる悩みを、全9回の授業でスッキリと解決していきます。
 まだ仕事を始めたばかりの人から、部下を持つ上司まで、あらゆる人が「もっと早く受けておきたかった!」と感じる一冊です。


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