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「1行」でツカむ! タイトル・見出しの付け方~ターゲットを絞ってみる

川上徹也著(湘南ストーリーブランディング研究所代表、コピーライター)

2017年10月06日 公開 2024年12月16日 更新

「1行」でツカむ! タイトル・見出しの付け方~ターゲットを絞ってみる

※本記事は、川上徹也著『伝わる人は「1行」でツカむ』(PHP文庫)より、一部を抜粋編集したものです。
 

タイトル、見出しでターゲットを絞る

タイトルや見出しなどでは、できるだけ多くの人に呼びかけるような1行を書いてしまいがちです。しかし、それでは誰の心にも刺さらない1行になってしまいます。自分に関係があると思ってもらえないからです。

呼びかける対象を絞れば絞るほど、その条件に合う人間にとっては自分のことだと思われやすく、関心をよせてくれます。

ターゲットの絞り方で一番わかりやすいのは「性別」「年齢」「職業」「居住地」「所属先」「所有物」「身体的特徴」などのいわゆる属性と呼ばれるものです。

これらで絞っていくだけでも、受け手に自分に関係があると思ってもらいやすくなります。

見本は扶桑社発行の週刊誌『SPA!』の見出しです。年齢という属性でターゲットを絞ったものです。

普通:クビにしたい社員の共通点
見本:2015年版 クビにしたい40代の特徴

もし自分が40代の会社員だったらと仮定してみてください。どちらがドキッとする見出しでしょう? もちろん後者ですよね。

『SPA!』の読者層はどんどん上がり40代がメインになってきているので、ターゲットを絞っているようで実は絞っていません。それでいて「自分のことかな?」と思わせるのに成功しています。また2015年版としていることで(『SPA!』ではこの特集を数年前からやっていました)、最新版ということでどんな新しい情報が載っているのだろうと思って興味をそそられます。

ターゲットを絞って呼びかけた上で、何かの行動を促したり、勧誘したりすると、「これは自分のことだ」と思った人はスムーズに行動に移ってくれやすくなります。

以下の見本のキャッチコピーは、カタログハウス発行の通販カタログ誌『通販生活』のサイトにあったものです。

普通:50代以上向けの薄色サングラス
見本:50代以上の皆さんへ――今夏からサングラスは「薄色」の本品に変えてください。

要約すると「この商品(サングラス)を買え」というものなのですが、「50代以上の皆さんへ――」と限定して呼びかけた上で、「変えてください。」という行動を促すことで、そこまで押しつけられている感じはしません。またサイトには、「変える理由」が3つ書かれていて、自分に思い当たる部分があれば真剣に購入を考えるでしょう。

以下の見本は、東京の飯田橋駅の改札近くに貼られていたポスターのキャッチコピーです。

普通:大学生のみなさま! 口座開設はみずほ銀行へ
見本:法政大学のみなさま! 口座開設はみずほ銀行へ

「普通」のように大学生全体に呼びかけても、なかなか自分ごとだと感じてもらえません。しかし、もし自分が法政大学に通っていたとすれば、かなり気になるのではないでしょうか? 実際、飯田橋駅近くに法政大学のキャンパスがあるので、多くの法政大学生が通るのです。

おそらく、他の大学近くの駅でも、同じようにその大学名で呼びかけているのでしょう。当然、手間も印刷費もかかりますが、それだけの効果があると踏んでやっているのです。

属性以外のターゲットの絞り方としては、「悩み」「価値観」「願望」「思想」等の内面的な要素で絞るという手法があります。

たとえば、以下の見本は2016年に大ベストセラーになった本のタイトルです。

普通:『ベターッと開脚ができるようになるすごい方法』
見本:『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』

「どんなに体がかたい人でも」という悩みでターゲットを絞っています。こうやって絞ることで「ものすごいかたい人」はもちろん、「それほどかたくない人」にも「自分に関係がある」と思ってもらいやすくなります(「どんなにかたい人でもできるのなら自分はもっとできるだろう」と)。

もしあなたが社内報の編集者で「相続」に関する記事を書き、タイトルをつけるとします。そんな時、以下のように「価値観」でターゲットを絞ると、より自分に関係があると思ってもらいやすくなります。

普通:『相続の準備は自分で』
見本:『子どもに迷惑かけたくなければ相続の準備は自分でしなさい』

「見本」は2013年に出版された本のタイトルです。

このような「悩み」「価値観」「願望」「思想」等の要素でターゲットを絞る場合も、「呼びかけ+行動の促進」というパターンは有効です。ターゲットを絞って呼びかけると、後の行動の促進を抵抗なく受け入れやすくなるのです。

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