「1行」でツカむキャッチコピーのつくり方~「問いかけ」を使ってみよう
2017年10月13日 公開 2022年06月07日 更新
※本記事は、川上徹也著『伝わる人は「1行」でツカむ』(PHP文庫)より、一部を抜粋編集したものです。
「問いかけ」はコピーの常套手段だが……
人間には、何かを問いかけられると、「自然と答えを探してしまう」という習性があります。
中でも、受け手に簡単に答えが見つけられなかったり、深く考えてしまうような本質的な問いかけをするのはとても有効です。
1970年代、本質的な問いかけをしたことで、大きな話題となった新聞広告のキャッチコピーの例をみてみましょう。
「見本」は1975年の伊勢丹の新聞広告で使われました。
ボディコピーは、以下のように続いていきます。
なにも女性だけではなく。
男だって、年齢をきかれるのは、
あまり気持のいいものじゃないんだ。
女の、そして男の、生きていく姿、
それを、すぐ年齢というハカリにのせて
見たがる習慣に、抗議したいと思う。
コピーライターは土屋耕一さん。当時、たいへん話題になったシリーズだったと言います。おそらく同じような趣旨のことは、いろいろな方がエッセイ等で語ることはあったかもしれません。しかし改めて「なぜ?」という問いかけを投げられると、「なぜだろう?」と考えてしまいます。ちょうど、女性の社会進出が話題になっていた頃なので、時代の空気にもぴたりとはまりました。
次は、同じく伊勢丹の1989年の広告に使われたものです。こちらのコピーも問いかけることで、話題になりました。
このコピーを見て、ドキッとする方も多いでしょう。「恋をする」「恋をしてない」という言い方はよくしますが、「恋を休む」という表現が新鮮だったのです。このフレーズは、のちに連続ドラマのタイトルとしても使われました。コピーライターは眞木準さんです。
次に雑誌から本質的な問いかけをする例を見てみましょう。
以下の2つの見本はどちらも『AERA』の中吊り広告に書かれていたキャッチコピーです。
このように本質的なことを改めて語りかけられたり問いかけられると、すぐには答えられませんが、その答えを考えてしまいます。するとその中身に対する興味を抱く可能性が高まります。
以下の見本は、中央公論新社発行の婦人誌『婦人公論』の表紙にあったキャッチコピーです。
読者である妻側の女性はもちろん、夫側にとってもドキっとする本質的な問いかけをするフレーズですね。
問いかけるという手法は、キャッチコピーでは非常によく使われるテクニックです。それだけに平凡で一般的な問いかけでは、受け手にスルーされてしまう危険性も高いと言えます。
何か問いかけをするフレーズを書こうとした時、以下の問いかけを自分自身にしてみてください。
それは何か新しい発見がある問いかけか?
それはドキッとするような鋭い問いかけか?
それは何か行動に駆りたてるような問いかけか?