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人事のプロが教える「人材価値」を正しく見極める方法

南和気(SAPジャパン株式会社 人事・人財ソリューションアドバイザリー本部 本部長)

2018年07月11日 公開 2022年08月08日 更新

 

グローバル時代の人事パーソンに必要な三つの力

では、人材の「スキル」「経験」「モチベーション」を高め、成長を支援していくために、グローバル人事パーソンには、なにができるでしょうか。

実は、グローバル化すればするほど、人事が社員一人ひとりの育成に直接関われる時間は少なくなっていきます。

また、求められる人材要件や個人のキャリアプランも多様化・個別化するため、適切な仕事経験を積ませ、モチベーションを高めて人材を育成するには、現場の管理職の役割が非常に大きくなってきます。

そうなると、人事パーソンに求められる仕事は、制度やプログラムを作成するだけではなく、

・育成を担う管理職やリーダーを支援する仕事
・組織全体を広く見渡して、問題解決を行うような仕事

が中心になっていきます。

昨今、いわゆる部門人事や、HRBP(HR Business Partner)といった、現場の管理職を支援する人事職務の重要性が注目されているのも、この流れを汲んでいるからです。

私は、これらの仕事を行うために、グローバル人事パーソンに必要となってくる脳力は、「人の価値を客観的に見定める力」「本音を引き出す力」「組織の課題を見抜く力」の3つではないかと思っています。

「人の価値を客観的に見定める力」は、スキル・経験・モチベーションで人材価値を見極められる力です。
「現場の成果=人の価値」というだけではなく、人事は「人」のプロフェッショナルとして、現場の管理職とは異なる観点で、人材の価値を継続的に、客観的に見定める力を持つことが求められます。

「本音を引き出す力」は、社員に信頼され、悩みの本質を見つける力。

もちろん上司と部下のコミュニケーションを促すことは非常に大事ですが、第三者的な立場から、また「キャリア」に関するプロフェッショナルとして、上司に話しにくい本音を引き出し、悩みの本質や、成長を阻害する要因を見つけていくのは、人事の仕事です。

人事は、なにか問題が起きたときに話に行くところではなく、日常的に社員の本音を把握できている部門であってこそ、問題そのものを減少させることにつながるのです。

「組織の課題を見抜く力」は、ボトルネックを見つけ出し、手当てをする力です。

現場を外から見ている人事だからこそ、組織の課題が客観的に見えてくることがあります。
例えば、ある部署でなぜか次々に人が辞めている場合、職場環境や、管理職のマネジメントスキル以外にも、組織としての文化や特定の人間関係に問題がある可能性があります。

これらの組織の課題やその原因を、組織を横断的に比較できる人事がしっかりと見抜き、早期の解決につなげていかなければなりません。

 

※本記事は、南 和気著『人事こそ最強の経営戦略』 (かんき出版) より一部を抜粋編集したものです。

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