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生き方

「逃げの転職」と「キャリアアップ」その差を分ける重要なポイント

長谷川和廣(会社力研究所代表)

2018年10月17日 公開 2022年02月15日 更新

スペシャリストになるべきかゼネラリストになるべきか

転職時に限らず、自分のキャリアデザインを考えるときに必ず突き当たるのが、専門分野を突き詰めるスペシャリストを目指すのか、それともさまざまな分野を経験してゼネラリストになるべきかという問題です。

私は、若手リーダーに対しては、まずスペシャリストを目指すことをおすすめします。

専門分野のスキルや知識を深めることも、さまざまな分野のスキルや知識を身につけることも、仕事人にとってはどちらも重要です。ただ、自分の価値や存在感を高めるのは、スキルや知識の広さではなく深さのほう。まずは深さを最優先にしながら、できる範囲で幅を広げていくことが賢い選択です。なぜ広さより深さなのか。それは、浅いスキルや知識でこなせる仕事は、いくらでも代わりの人がいるからです。

極端な例ですが、営業3年、経理3年、情報システム3年を経験した人がいたとします。その人が各分野でできる仕事は、おそらく派遣社員でもこなせるレベル。仮にその人がいなくなっても、会社はそれほど困りません。

一方、営業を10年続けてエースに成長した人が突然いなくなると、その穴を埋めるのは大変です。もちろん人材市場には同じレベルの人もいるはずですが、キャリア4年足らずの人と比べて見つけるのが困難であることは間違いありません。

特定分野だけを歩んでいたら、視野が狭くなってしまうのではないか、という人もいるでしょう。しかし、専門分野でステップアップしていけば、いずれはゼネラリスト的な働きを要求されて、否が応でも他分野のスキルや知識が身についてきます。

ちなみに私はマーケティングを中心にステップアップを重ね、その実績を買われてプロダクト・マネジメントを任され、やがて経営にもタッチするようになりました。

経営に必要な財務などの知識は後から身につけましたが、それでも十分過ぎるほどに間に合っています。

広さを追求してもスキルや知識は簡単に深まりませんが、深さを追求していく過程で同時にスキルや知識の幅は広がっていきます。そう考えると、とくに入社10年から12年くらいの中堅までの時期は、あれこれと首を突っ込んで器用貧乏になるより、専門性にこだわったキャリア選択をすべきでしょう。

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