最終学歴「高校を1週間で中退」の成功者は、貧困家庭からいかに脱出したか
2018年12月03日 公開 2023年01月12日 更新
<<英語同時通訳かつ、スペイン語翻訳者のポリグロット(多言語話者)のタカ大丸氏。米国ニューヨーク州立大学ポツダム校と、イスラエルのテル・アヴィヴ大学で学んだ後、現在ではノバク・ジョコビッチ氏の書籍を自ら翻訳・プロデュースしベストセラーに押し上げるなど活躍を見せている。
一見、華やかに見えるタカ大丸氏。しかし、自身の出自は最貧困家庭であり、DVの嵐に苦しめられ、血の滲むような日々を乗り越えて今があるという。同氏が自著『貧困脱出マニュアル』で、どん底から苦労を重ねトップ翻訳家に至った自身の体験と、同様に貧困から這い上がった経験者へのインタビューから、貧困からの脱出するための方法に迫っている。
ここでは同書より、HALEO, Incの創設者であるデービット・ホルトン氏へのインタビューを通して貧困脱出法を考察する一節を紹介する。>>
※本稿はタカ大丸著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)より一部抜粋・編集したものです。
最終学歴は「高校を1週間で中退」のデービット・ホルトン
「実を言うと、僕自身も家族について最近まで知らないことが多かった。僕の父は統合失調症だった。脳内であらゆる声を聞いていたんだ。そして僕が5歳のときに死んだ。睡眠薬の過剰摂取による自殺だったよ」
デービット・ホルトンはスポーツ栄養サプリメント会社の株式会社ボディプラスインターナショナルとHALEO,Incの創業者である。
今でこそ数々の格闘家を支援し、バスケットボールの仙台89ersのスポンサーも務め、自他ともに認める成功者となっている彼だが、学歴は「高校を1週間で中退」である。
外国人の話? と思った向きもいるだろうから説明しよう。
最初にホルトンを取り上げるのは、典型的な貧困家庭の背景を持つこと、そしてその脱出方法が基本中の基本であるからだ。そして、彼の脱出方法が学歴と関係ないところがいいとも考えた。
「まあ、中学もロクに行ってなかったけどね……成績もひどいものだった。人には言えないような裏仕事、それこそヤクの売人とかもしていたからね。もしあのまま地元に留まっていたら、今ごろ刑務所にいるかケンカに巻き込まれて死んでいたかのどちらかだと思う。僕は日本に救われたんだよ」
ホルトンは1975年にカナダのアルバータでカナダ人の父と日本人の母の間に生まれた。姉がひとりいる。
「今でいうカケオチなんだろうな。母親は実家とケンカして、日本語で勘当というの? そんな状態でカナダに移り住んだからね。でもさっき言ったように父の精神状態がおかしくなって、強制入院になった。実の父について覚えているのは何度か僕らに会いに来てくれたこと、それだけだな」
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デービット・ホルトンがはじめて自身が貧困だと気がついた瞬間