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子どもの摂取エネルギー量に格差が…広がる「日本の貧困」

2018年10月25日 公開

阿部彩(社会政策学者), 鈴木大介 (文筆業)

「相対的貧困が増えている」という指摘は多い

<<ある大物政治家の「(日本には)食べるのに困るような家はないんですよ。実際は」という発言が物議を醸した。日本には飢えた子どもは存在しないと考えている人は少なくないだろう。

しかし、社会政策学者の阿部彩氏(首都大学東京教授)と、貧困の現場を取材してきた鈴木大介氏は、そうした見方に真っ向から対抗する。日本の子どもに何が起きているのか? >>

※本稿は阿部彩・鈴木大介著『貧困を救えない国 日本』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです
 

「食べるのに困る家は無い」どころか、日本には飢餓が存在している

(阿部)日本人の貧困イメージは間違いだらけです。いくつかデータを持ってきたので、ちょっと説明させてもらっていいですか。

(鈴木)はい。ファクトに基づいて、貧困の実態をどんどん可視化していきましょう。

(阿部)まず、日本の相対的貧困率ですね。最新の厚労省データですと、2015年のものしかないのですが、社会全体の相対的貧困率が15.7%(図)で、17歳以下の子どもが13.9%です。

相対的貧困率の推移

この値は、OECD(経済協力開発機構)諸国の中では中から高。35カ国中子どもでは23位ですが、社会全体では28位です。
なお2015年の場合、「相対的貧困率」は、手取りの年間所得がひとり暮らし世帯で122万円以下、4人世帯で244万円以下の世帯を指します。

(鈴木)衣食住や衛生において最低限の水準を満たしていない生活状態にある貧困レベルを絶対的貧困と言いますよね。わかりやすく言い換えると、そのまま放っておいたら餓死してしまいますというレベルの貧困。

自民党幹事長が「(日本には)食べるのに困るような家はないんですよ。実際は」と発言したことがありましたが、その「食べるのに困るような家」というのは、絶対的貧困をイメージしているんだと思います。実際、日本の絶対的貧困についてはどんな調査がされているんですか?

(阿部)調査はないんですよ。それは、絶対的貧困は定義ができないから。ただ、絶対的貧困は問題で、相対的貧困が問題じゃない、と二つを別々に考えること自体が現代日本においては当てはまらないと私は考えています。実は、二つは同じなんですよ。レベルの違いだけです。

(鈴木)大変同感ですね。自民党の幹事長だけでなく、多くの人は「貧困貧困と騒いでいるけど、この国で餓死者がいるわけでもないのに大げさな」と感じている気がするんです。

でもね、相対的貧困率が13.9%もあれば、絶対的貧困も相当な規模であるというのが僕の持論なんですよ。なぜかというと、親が相対的貧困レベルの所得の世帯には、多くの場合「時間的貧困」も併発しています。

つまりたくさん働いて、家にいる時間が確保できない。心理的余裕もない状態で、子どもの面倒をまともにみている時間も余裕もなく、ネグレクトが発生することが大いに考えられますよね。

結果、例えば、子どもに現金だけ渡して数日不在だとか、買い置きの食材を食べておきなさいと言って帰宅しないとか、そういうケースもあります。

けれども親不在の間にお金や食材の管理ができる子ばかりじゃないから、親が帰らない間に何も手元になくなってしまった子どもは、当然お腹が減ります。たとえ一日でも一晩でも、飢えは辛い経験です。

この瞬間に、確実に日本に飢餓が存在しているわけです。


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