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「ポケモンGO」大成功の陰に…ジョン・ハンケが味わった天国と地獄

2018年12月13日 公開

大熊希美(翻訳家)

若き日のジョン・ハンケ
若き日のジョン・ハンケ。ポケモンGO、イングレスでその名を世界中に広めたナイアンティックの最高経営責任者として、現在も活躍を続けている(写真出典:https://www.neverlostagain.earth/
 

スタートアップに従業員として参加することのリアル

アップルのスティーブ・ジョブズやフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ、グーグルのラリー・ペイジにセルゲイ・ブリンなど、アイデア1つで会社を立ち上げ、ついには世界の常識を塗り替えた起業家のストーリーには人を惹きつけるものがある。

「NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生」もまた、ジョン・ハンケというIT起業家の起業から成功を勝ち得るまでの道のりを描いた物語だ。ジョンは1999年に地図スタートアップのキーホールを立ち上げ、2004年にグーグルへと売却する。

グーグルに加入後は、目的地までの道順や到着予定時刻などが検索できる地図サービス「グーグルマップ」をローンチし、これを月間10億人以上が使うサービスへと成長させた。

その後、2010年に新たなスタートアップ「ナイアンティック」を立ち上げる。ナイアンティックの名に聞き覚えはなくても、彼らが開発したAR(拡張現実)スマホゲームである「イングレス」や「ポケモンGO」を知っている人は多いだろう。

ただ、本書は他の起業家のストーリーとは少しおもむきが違う。そうしたストーリーの多くはファウンダーの目線で語られるものだが、本書はキーホールの創業初期から参画していた従業員、それも起業家タイプではない人物の目線で、スタートアップのリアルな内幕を描き出している。
 

スタートアップは突拍子もないビジョンを信じる

著者のビル・キルデイはジョン・ハンケの大学時代からの友人で、キーホールからグーグル、ナイアンティックまでジョンとキャリアを共にした。一番近くでジョン・ハンケの活躍を見てきたビルだが、ジョンとは違い、スタートアップより安定した収入が見込める仕事を望むタイプで、ビジョンの実現のために大胆な行動をするような人物ではなかった。

1999年の春、ビルが初めて、ジョン・ハンケの新しいスタートアップが手がけているソフトウェア「アースビュアー」のデモを見た時も、それが世界中で使われるサービスとして発展するとは思えなかった。

アースビュアーで宇宙空間から地表にズームインし、自宅が映る様子には驚きがあった。「自分が目にしているものが信じられなかった」と言うほどビルは魅了された。けれど、このソフトウェアの使い道や事業としてどのようにやっていくのかはピンとこなかったのだ。

それもそのはず、当時キーホールアースビュアーのような高精度のソフトウェアを走らせるために必要な性能のあるパソコンを持ち、十分な速さのインターネット通信を利用できる人はほんの一握りしかいなかった。

ジョンは「地球のデジタルモデルを世界に届ける」ことをビジョンに掲げ、将来的にはアースビュアーをモバイル端末でも利用できるようにすると語った。

これはまだiPhoneが登場する7 年以上も前のことで、ビルには馬鹿げたアイデアにしか聞こえなかった。「スター・トレックの見過ぎ」とビルは思うのだ。しかし、その後、この小さな地図スタートアップは紆余曲折を経ながら、最終的に掲げたビジョンを実現させることになる。

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