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人工肛門、コミュ障、偏差値30からの医学部受験 その先で見つけた幸せ

石井洋介(医師・日本うんこ学会 会長)

2018年12月26日 公開 2019年01月10日 更新

人工肛門、コミュ障、偏差値30からの医学部受験 その先で見つけた幸せ

<<16歳で難病指定されている潰瘍性大腸炎を発症し、19歳の時に生死をさまよう大手術で人工肛門になった。治療過程で高校生活からは落ちこぼれ、偏差値は30にまで下がっていた……。

医師でありながら、ゲームアプリ「うんコレ」を開発、日本うんこ学会 会長でもある石井洋介氏。消化器外科医、厚生労働省職員、在宅診療医、経営コンサルタント、クリエイター、と多様なキャリアを積んできた。

「一見とっ散らかっているとしか思えない経歴だけど、自分の中にある一つの軸からブレないようにキャリアを決定してきた」と言う。

自分の人生や考えを言語化する、という執筆作業に楽しむ一方、戸惑いもしたという石井氏はなぜ、このようなキャリアを重ねてきたのか。そのはじまりから紐解こう。>>

※本稿は石井洋介 著『19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと』(PHP研究所)より一部を抜粋し、編集したものです

 

スタートラインは無い無い尽くし。失うものは何もないヒーロー

はじめまして、石井洋介と申します。

僕は、ときどき「漫画の主人公みたいな人生ですね」と言われることがあります。不登校の末に偏差値30から独学で勉強を始め、医学部に入学し、医師になったからでしょう。

現在は医師として秋葉原にあるクリニックを共同で経営しながら、在宅医療や医療行政の仕事をし、医療の経営コンサルタントやヘルスケア事業のインキュベーションオフィスを運営する一方、クリエイティブを専門とする大学院での研究を続けています。

さらには、日本うんこ学会という怪しい名前の団体で会長職を務めながら、仲間たちと一緒に大腸がん早期発見を目指すスマホゲーム「うんコレ」を制作するなど、職場を限定せずにいくつもの場を飛び回り、自分の理想とする医療を実現するために動いています。

こう言うとかっこよく言い過ぎかもしれません。
本当は、苦しみ、もがきながら自分の幸せを模索して毎日頑張っています。

今でこそ、「自由に生きられて幸せそうだね」と言われることも増えましたが、10代のころは自分なんていつ死んでもいい存在で、生きている意味なんてないと思っていました。

複雑な家庭環境で育ち、高校1年生のときに潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)という病気を発症してからは、うんこを漏らしながら人生に絶望していました。

高校卒業後に病状が悪化し、大量出血をしてまさに命がけの大手術を経て奇跡の生還を果たすも、大腸を失い、フリーター・童貞・コミュ障・人工肛門と失うものは何もない「無敵の人」になってしまいました。

安心できる居場所なんてどこにもなかったですし、自己肯定感なんて地の底まで落ちてしまい、そのままうんことともにトイレに流されてしまうような状況でした。

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早く行きたければ、一人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け

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