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社会

宗教統制を強化する中国 それでもローマ教皇とバチカンが見せる自信

徳安茂(元外交官、在バチカン前公使)

2019年01月10日 公開 2019年11月23日 更新

中国とバチカンの特異な時間感覚

時代は一気にバチカンと中国の和解へと向かいつつあるようにも見える。だが、バチカン関係者の多くが対中関係の改善を決して楽観視していないことには留意すべきだ。

私がバチカン勤務当時、中国との関係に関し、法王庁内のある専門家の意見を聞いた際に印象に残ったことが2点ある。

一つは、現状認識についてはこちらが想像した以上に悲観的だったことだ。法王が2014年に機中メッセージを発したあと、法王庁内の中国専門家が「中国との関係はそんなに甘くない」と語ったのをよく覚えている。

そしていま一つは、ある意味ではこちらのほうがより強く印象に残ったが、決して絶望しているわけではないという一種奇妙な自信のほどであった。

いずれにせよ、バチカンも中国も、悠久の歴史をもつ点では勝るとも劣らぬ大国である。一朝一夕に大きな成果が達成されることはないかもしれないが、細々とでも関係を保つ努力を厭わない強みがバチカンにはある。

こうした伝統がバチカンのインテリジェンス能力にも貢献していることは間違いない。

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